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長期休み 3

 更に別の日。


 私は宮殿でクレアに日本語を教えていた。

 その理由は舞達が来る可能性が高いからだ。とはいえ、私達でも勇者召喚の魔法陣がどこの国や地域に現れるのかは分からないが、がぶり姉ぇならどこの国や地域に出現した魔法陣の魔力を感知して転移出来ると信じている。

 だから、私は、がぶり姉ぇを信じて、クレアに日本語を教えているのだが、マリア、リク、エルフ、イスレイくんも習いたいというので、まとめて教えている。


 休憩中の時に。


「お姉さん?日本語って、不思議だね?」


「イスレイくん、不思議とは?」


「だって、普通、自分の名前はネームから言うでしょう。けど、日本語はファミリーネームから言うから」


 その説明に納得する。


「ああ、だから、不思議と言ったのね?」


「うん!」


「そうね?日本語の場合はファミリーネームから言うから、ファーネリア・クレア・エリサと言うのでしょう?なんか自分の名前なのに言いにくいし違和感があるわ」


 クレアはそう言った。確かに言いにくそうに喋っていた。


「アハハ。そうだね。でも、日本語でもいつものようにネームから言えば良いわよ」


「そうなのね。良かったわ。でも、どうしてファミリーネームから言うの?」


「いろいろと諸説があるけど、昔はファミリーネームを持っているのは身分が高い人だけだったんだよ。普通の一般人はネームだけなのよ。だから、ファミリーネームから言うようになったのよ」


 後は、今の中国の影響もあるが、それは皆に言っても分からないだろう。


「そうなのね?でも、同じ名前が居たらどうしたの?」


「それは、地名と名前(どこどこのなになに)と言ったようだよ」


「そうなんだ?」


 休憩が終わり、授業を再開した。


 ○●○


 勇者召喚儀式の前日。


 私達、帝はギルド本部の会議室に集まり、定例会議を行った。


「帝の皆さん、今日まで魔法陣に魔力注入大変お疲れ様でした。魔法陣に貯まった魔力量は、当初の予定よりも多い150億になりました。王家代表として感謝致します」


 クレアは私達に頭を下げた。


「いいえ、これはお仕事ですので」


 責任者の私が答えた。


「しかし、僅か2ヶ月足らずで満タン以上の魔力量を貯めるとはのう。昔のワシら以上に凄いのう」


 学園長が驚きの声をあげていた。


「それは空間魔法を利用をしていたので、かなりスムーズに貯める事が出来ましたよ」


「そうじゃたっな。当時のワシらはその魔法に気付く事が出来ぬままやっておったからのう」


「しかし、あの空間魔法は凄すぎだったな。なんと言っても、ここでは1秒が空間の中では1時間だ。空間魔法があるとないでは体の負担が全く違うな」


「本当にそうね。その空間魔法がなければ、まだ私達は魔法陣に魔力注入をしているわよ。とてもじゃないけど、予定日の明日までには絶対に間に合わなかったわ」


「確かにな」


 雷帝と光帝がそう言うと全員が頷いていた。


「貴方達の言うとおりですね。わたくし達も魔法陣の注入を軽く見ていました。しかし、今回の案件で、難題でも工夫次第でどうにか出来るという事も証明されたと思います。よって、今回活躍した創帝に明日の勇者召喚の付き添いをお願いします」


「分かりました。お引き受けします」


 私はクレアに頭を下げた。私の身内が来る可能性が高いから事前の打ち合わせで決まっていた。


「しかし、クレア王女様、創帝1人だけでは危険ではないのですか?我々もさることながら、兵士たちも伴った方が御身が安全ではないのですか?」


 と、水帝が訊ねた。確かにこの場に居る帝全員と兵士たちも魔法陣の部屋に行けばそれだけクレアに降りかかる危険性が低くなるが。


「そうですね。しかし、明日、一体、どのような人物が召喚されるのかは、わたくしにも分かりませんが、でも、召喚された側の立場に立ってみると、得体の知れない人間達がずらりと取り囲んでいたら、怯えるか、自分の身を守る為にわたくし達に攻撃を加えて来る可能性もあります。ですから、わたくし達も最小限で、尚且つ、防御結界を張れる創帝が適任ですよ」


 クレアはそう言って否定した。


「た、確かに、元全帝の魔法攻撃をいとも簡単に防いだ創帝ならば、たとえ、召喚された人物の攻撃も防げるでしょう」


 水帝が納得した。


「では、明日、勇者召喚の立ち会いは創帝にします。そして、帝の皆さんは、宮殿の控え室に控えて下さい。召喚された勇者様を貴方達に紹介しますので」


「えっ?我々は国王陛下よりも先に見られるのですか?」


 学園長が驚きの声をあげた。まさか、陛下よりも先に勇者を見られるとは思ってもみていなかったようだ。


「はい。魔法陣注入の褒美みたいなモノです。貴方達はその功績者ですからね。その功績者達を蔑ろする訳にはいきません」


「ありがとうございます」


 学園長が頭を下げた。


 そして、夜が明け。


 勇者召喚儀式当日を迎えた。

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