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S組のテンサイ 7

「貴女はとんでもないわね?既にヴァンパイアという規格を超えているわ」


「えっ?どういう事?」


「無自覚か?良い?貴女は、自分がいた世界から去って、この世界にやって来たのよ」


「それが?」


 人差し指を唇に当てて、首をコテンとする。本当に分かっていないな。


「ハァー。では貴女はこの世界にどうやって来たの?転移魔法では無理よ?」


 このヴァンパイアも例外ではない。星々との転移魔法は出来ない。


「当たり前でしょう。私でさえ星々との転移魔法は使えないわよ。自力で飛んで来たのよ」


「その星とここ星の間に宇宙空間があるのを知っている?」


「えっ?宇宙空間?うーん……?私がいた世界を飛び立った直ぐの時になんか飛びにくい場所がかなりあったような………」


 頭にクエスチョンマークが大量に浮かんていた。


「そこが宇宙空間だよ。しかも、空気が無い真空状態で、無重力状態で、とても寒い空間やとても暑い空間もある。おそらく、貴女は光速を超えて、宇宙空間を移動したから、そんなにも感じてはいなかった。しかも、生命がいるこの星に突入する時に必ず大気圏があるからかなり高温にその身体を晒されていた筈だ。にもかかわらず、貴女はぴんぴんしている。普通の生命体は生身でそんな事をやったら確実に死ぬよ」


「えっ?ウソ?そうなんだ?私って凄いわ」


 自分で自分を褒めているぞ。


「ハァー。なんだか、抜けているな?これで良くこの学園の首席を取れたな?」


「そ、それは関係が無いわよ!!」


「確かに聖が言うようにこれはとんでもないのう………」


「はい。聖さんが指摘しなかったら聞き流していましたね。まさか、この星の外に宇宙空間があるなんて知りませんでしたよ。その空間からやってきたアルクェイドさんのその能力はとんでもないです」


 学園長とジェーン先生の表情が青ざめていた。


「まさに驚異そのものだよ。こんな不老不死の生き物を殺せと実行したヤツの間抜け面を見てみたいわ」


「聖、おぬしでも無理か?」


「無理ですよ。アルクェイドの全ての細胞1つ残らずに消滅させるのはね。自然界でアルクェイドを消滅をさせる事が出来るのは太陽のみですよ」


 私の最大技指弾術は未完成だ。アルクェイドを倒すならば、最低でも光速の指弾術を用いいらなければ倒せない。おそらく、アルクェイドは、無限とも言える再生能力が備わっていると推測する。


「そんな………」


 ジェーン先生が更に絶句している。


「えっ?私の体ってそんなに凄いの?私を創ったヴァンパイア達がもの凄く弱かっただけではないの?」


 自分自身の身体を完全に把握出来てはいないようだ。


「貴女に比べれば、そのヴァンパイア達が弱かったのは頷けるよ。じゃなかったら、貴女は今ここにないよ。それにずっと人間として暮らしたかったら、貴女はその力を隠した方が良いよ。貴女の能力は驚異でしかないわ。人間は自分達が理解しがたい物を排除する傾向があるからね」


「そうですね」


「そうじゃな」


 学園長とジェーン先生もそう言って頷く。


「そうなの?私、人間と暮らすのはここ来てから初めてだったら、これでも大人しくしていたのが功を奏したのね………」


「大人しくしていた割には、トーナメント戦では派手にやったわね?大人しくしているならば、午前中で、わざと負けるようにするけどね」


「うっ!?や、やっぱり、やるからには優勝したいし、だからと言って、直接戦うと相手の体が吹き飛ぶし。だから、トーナメント戦ではああいう手ぐらいしか思い付かなくて…………」


「いやいや、他に手があるでしょう?貴女なら金縛りとか魔力で威圧感を出すとかさ?私も出来るし」


「えっ?それだと余計に疑われるでしょう?」


「そうでもないですよ。聖さんが既にやっていましたので、教師達は、聖さん以外でも出来る人間が居るのか?としか思いませんね」


「それにのう。聖は4月のトーナメント戦でいろいろとやったからのう」


「えっ?いろいろって?」


「相手の魔法を剣で斬ったり、高速で移動したりといろいろとやってくれましたよ。トドメは1億以上の魔力を発して相手を気絶させた事ですね」


「本当に魔力を発しただけで気絶をさせたの?」


「そうじゃよ。当時、稀代の悪じゃったガルーガに向けて放ったものじゃよ」


「あっ!?それ、聴いたわ。私が転入した時にクラスメイトが話してくれたわ。S組には稀代の悪が2人居たと。今は牢獄に居ると」


「そうじゃよ。もう二度と表には出てくることはなかろう」


「あんな屑共はどうでも良いですよ」


「まあ、クラスメイトの話を聴いても屑だなと思っていたけど、相当の悪党だわ」


 アルクェイドも呆れていた。が、


「でも、そんな奴を圧倒的な力で倒したのでしょう?ぜひともお手合わせを願いたいわ」


 真剣な顔つきでそう言った。


「あのね?私は貴女と戦う理由は無いわよ」


 私は断った。本当にアルクェイドと戦う理由などない。

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