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S組のテンサイ 6

「おぬしらに集まってもらったのはほかでもない。今学期の成績がトップじゃったのでのう。その栄誉を讃え賞状を授与する」


「待って下さい。確かに私は実技と学力と共にトップを取りましたが、この生徒は、実技は居ませんでしたが?」


 アルクェイドが疑問を呈した。


「ウム、そうじゃが、こやつが実技に出ると、他の生徒達の成績が平等に審査が出来ぬのでな。実技は免除になっておるんじゃよ。まあ、おぬしも次回から実技は免除じゃよ。教師達から戦い方を聴いておるよ。おぬし、ただ立ったまま相手を気絶させておるとのう。はっきり言うが、そんなおぬしに一般生徒が相手にならぬよ。よって、次回の実技から免除じゃ」


 学園長はそう言った。更に、


「しかしのう?どうやったら、立ったまま相手を気絶させる事が出るのかのう?それが不思議じゃ、教えてくれまいか?」


「お断りします」


 アルクェイドはきっぱりと断った。


「そうか?しかしのう。おぬしが相手を気絶させている時に魔力を発してはいないとの報告を受けておる。となると、魔法での攻撃ではないのは明白じゃ。となると他にどういう攻撃を仕掛けておるのか知りたかったのじゃよ」


「知ってどうするのです?」


「同じような事が起きれば、聴いてきた他の者達に説明をしなければならぬ時に学園長であるワシが答えなければならぬからのう。判らぬでは話にならぬ」


「…………」


 学園長はそう言うとアルクェイドは黙ってしまったが、


「お断りしますよ」


 と、アルクェイドは再度断ってきた。沈黙ではなく考えていたようだ。


「そうか?ならば仕方あるまい。実はのう、あの戦いを見た一部からおぬしは本当に人間か?と疑問が出ておるのじゃよ。それを払拭したかったが、おぬしが断るのならば、仕方あるまい」


「ッ!?」


 アルクェイドが驚いた顔になった。


「当たり前の事じゃよ。魔力を発してはおらぬのに、相手を気絶させる光景を見たらその疑問が出てくる者達が居る。まだ魔力を発して、その魔力に中てられての気絶させているのならば、そんな疑問はなかったかもしれんがのう?」


「…………」


 学園長の問いかけにアルクェイドは今度は黙ってしまった。


「黙りか?黙ると言う事は、おぬしが人間ではないと肯定と捉えるが良いかのう?」


「私が人間ではないとしたらどうするつもりよ?」


 アルクェイドが認めた。アルクェイドは、万が一の為に臨戦態勢に入っている。


「学園としてはどうもせぬよ。おぬしは今まで何もやっていなく、平穏無事に学園生活を送っておるからのう。ただのう、学園としておぬしがどういう種族で、どういう能力を持っているのかを把握しておきたいのじゃよ」


「もし、貴女が正体を明かさなく、この学園で怪奇事件が起きた場合に真っ先に貴女が疑われる可能性がありますので、その嫌疑を無くす為に私達は貴女の事を把握をしないといけないですよ。貴女も嫌でしょう?仮に怪奇事件が起きる度に疑われるのは?」


「他の人間達に口外するの?」


「しませんよ。もし、貴女が人間ではないとしても私達は差別はしませんよ。今まで通りにしますよ」


「しかし、この生徒に聴かれているけど?」


 アルクェイドは私を見た。


「聖さんは大丈夫ですよ。他の人達には口外はしませんよ」


「そうだね。というよりは、気付けよ?」


「何が?」


「私が居るのに、学園長達が普通あんな話をすると思う?するのなら、私が居ない時に話すよ」


「あっ!?あなた達は最初からグルだったのね!?」


 アルクェイドは私達に対して再び臨戦態勢に入り殺気を出す。


「グルではありませんが、聖さんは、今や5大貴族の1人ですので、貴女の事は聖さんも把握しておかないと、王国の貴族として、貴女に対して難しい対応をしなければなりませんね?」


「そういう事。貴女が人畜無害ですと、宣言しても信じない人間達が大勢居るわ。それに貴女は同盟国のイザイヤの貴族だから余計に王国の貴族として、それなりの対応をしないといけないのよ。それと、私は貴女の正体はヴァンパイアと思っているわ」


 もう面倒なので、私から言う。


「なっ!?何故判ったのよ?私がヴァンパイアだって?」


 アルクェイドがヴァンパイアを認め、動揺していた。


「あら?結構有名だよ?貴女のその名前はね?」


「えっ?私の名前が有名って?」


 アルクェイドに説明をした。


「なっ!?そ、そんな…………わ、私の名前が……そんな由来の、な、名前だったなんて………」


 説明したらショックを受けていた。まさか、アルクェイド自身知らなかったのか?というより、誰が付けたか分からないが、もしかすると、知ってて付けた可能性もあるな。


「あれ?貴女自身知らなかったの?ヴァンパイアの隠し名を?」


「ええ…………私は、ヴァンパイアの真祖だから………真祖を冠する名前だとそう聴いていたのに………」


「し、真祖!?貴女は最初の原初のヴァンパイア!?」


 私は驚愕する。これは名前どころではない。まさかアルクェイドが真祖で原初のヴァンパイアだとは思ってもいなかった。しかし、アルクェイドは、


「いいえ。私は他のヴァンパイア達に新たなる真祖として創られたのよ。ヴァンパイアとしての弱点を全て克服する為だけにね」


 そう言って否定をした。創られた真祖のヴァンパイアとなると………。


「貴女自身は、ヴァンパイアの弱点を全て克服したヴァンパイアてこと?では、他のヴァンパイア達は貴女を創って、新たなる真祖である貴女に自ら再度血を吸わせる事で?」


 私がそう言うとアルクェイドは頷き、


「そうよ。貴女の言う通りよ。彼らは、私を創って、自分達も弱点を無くした完全無比のヴァンパイアになろうとしていたのよ。だけどね。私に血を吸われたヴァンパイア達は全て死んだのよ。おそらく、私の能力にヴァンパイア達の細胞が対応が出来なかったのよ。拒絶反応を起こして、皆、ミイラになってしまったのよ。で、生き残ったヴァンパイア達は、不良品と決め付けて処分する為に私に攻撃を仕掛けたのよ。全く馬鹿げた話よ。弱点を克服する為に創った私に対して、同族のヴァンパイアが攻撃をしても何も効かないのにね」


 確かに弱点を克服する為に創られた新たなる真祖アルクェイドは他のヴァンパイア達よりも強い。ではなければ、アルクェイドはこの場に居ない。しかし、同胞を殺されて我を忘れてそんな彼女に攻撃を仕掛けたとはなんともマヌケな話だ。


「それで返り討ちにしたと?」


「そういう事よ。で、私はその世界を去って、この世界にやって来たのよ。この世界でちゃんとした地位が欲しかったから、たまたま訪れたイザイヤという国の王侯貴族達に幻術を掛けて、私が元々居る貴族としたのよ。この王国に来たのは、この世界の仕組みをより知る為よ」


 アルクェイドはそう話した。アルクェイドはさらりと話しているが、生身のままで宇宙空間でも余裕で生きられるヴァンパイア。とんでもない生き物が私の目の前にいる。

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