就任式 2
就任式当日の朝。
「おはようございます」
私は王族専用の食堂で朝の挨拶をした。
「おはよう」
「おはよう聖殿」
「お姉さん、おはよう」
と、返事を返してくれた。イスレイくんは、私に抱きついた。イスレイくんは今日も元気いっぱいだ。
「聖殿?昨晩は眠れましたか?」
「いいえ、緊張してしまってダメでしたが、眠りの魔法をかけて強制的に寝ましたよ」
「そうでしたか………」
「でも、体調は万全ですよ。それに疲れたら、私の空間で休めば良いのですから」
王妃様が不安な表情を見せたので、私はそうフォローを言った。
朝食を食べ終わり、陛下がテレサさん達の事を話してくれた。
「夜にテレサ達が私達の所に来てな。やっと、王族から解放されると言っていた」
「そうなのですか?」
今日の就任式でテレサさんは王族の籍を降りる臣籍降嫁をする。
「ああ、元々、テレサ自身は自分は王族の器でないと話していた。自分が王族だった身分が嫌だったのだろう」
「テレサは、わたくし達にとっては最初の子。この王国の国王に女王に成らせる為に幼少期の頃から厳しく躾や教養をさせて来ました。テレサ自身もわたくし達の期待に応えようとしましたが………」
「しかし、私達がテレサに対してあれこれと事細かに指示を出したのが原因だった。テレサ自身、それに付いて行けずにな………」
「当時はまさに分刻みでテレサを管理していましたので、テレサが挫折を感じたのでしょうね?だから、自分は王族の器ではないとその頃から思ってしまったのでしょうね………」
陛下達、夫婦は当時の事を思い出して、後悔しているようだ。テレサさんの教育方法を間違っていたと。
「なるほど?私も分刻みの生活は嫌になりますね。小さい頃のトラウマは大きく成ってもかなりのダメージが心に残りますからね」
私も正直に言う。私も分刻みのスケジュールなんてきっと出来ない。
「そうですわね………当時、それが当たり前だと思っていたわたくし達が恥ずかしいですよ」
「ああ、けして、テレサに王族の器がないのではないが、私達もテレサをこれ以上縛るのは良くないと思っている」
「そうでしたか。でも、テレサさんは陛下達に感謝していますよ。陛下達は、自分の子供を立派に育てようと尽力しました。だから、テレサさんもそれに応えようとしました。そして、感謝の言葉や挨拶に来た事が証拠ですよ」
「ああ、私達のやり方や方法は間違っていたが、立派に育てようとした事は事実だ」
「そうですわね」
陛下達は私の言葉に救われたという表情をしていた。
「結婚式でテレサさんが陛下達に感謝していたのは私も見ています。嘘偽りはないでしょう」
「ああ、私もそう思っている」
「わたくしもです」
「私が思うに、テレサさんが昨日言った言葉は、陛下達を自分達の事で心配をさせない為に言った言葉だと思います。私達は、自分達の力でやっていけると、だから、自分達の事は極力心配しないで良いと」
「なるほどな……」
「あの子の事ですから、そうかもしれませんね?」
「ああ………」
話が終わり、私は王妃様と一緒に別室に行き、就任式の為に着替えをした。就任式は正午からだ。
まず、ドレスを着るが、その前にコルセットで私のウエストをぎゅうぎゅうに締めるが、私の筋肉が邪魔をして上手くいかない。
「聖様の筋肉が凄くてこれ以上は締まらないわ」
「男性並みの筋肉だわ。私達では無理だわ」
2人かがりで締めていたメイド達が嘆いている。
「そんなに締めなくても良いわよ。このドレスは着られるわ」
「そうですね。元々、聖様のウエストは太くはありませんしね」
「それでもある程度で締めますわ」
私がそうフォローを言うと、メイド達は半ば諦めた様子でそう言った。
ドレスを着終わったら、メイクをする。
スタイリストが私にメイクを施す。
「これはすごいわ。髪や地肌が綺麗ですね。これは化粧なんて要らないくらいですよ。普段は、眉やアイライン、それと口紅を施すだけで十分に良い白い肌ですよ」
「ありがとうございます」
「でも、私もプロでスタイリストをやっておりますから、貴女をより美しく施しますわ」
なんか、スタイリスト魂に火が点いたようだ。1時間も時間をかけて私にメイクを施してくれた。髪はそのままストレートで下ろしたままだ。
鏡を見せてくれた。
「どうですか?私の渾身のメイクは」
会心の出来とばかりにスタイリストは満足げにしている。
鏡に映った自分を見て、
「これが私。ですか?」
転生した時と同等な衝撃を受けている。まるで別人だ。漸く見慣れた私の顔とは全く別の顔が映し出されていた。
「どうですか?良い出来でしょう。聖様の肌の下地が良いので、より美しく、より綺麗なメイクが出来ました。私にとっても今までで一番の最高の出来ですよ」
「ええ。まるで私ではないみたいに凄いメイク技術です。こんな顔をした私があったのですね。驚きです」
「気に入っていただき光栄です。私もメイクをやった甲斐がありました。では、アクセサリーを付けましょう。より美しくなりますよ」
ダイヤを散りばめたネックレスとダイヤのイヤリング。そして、同じくダイヤの指輪を付けた。これらは王家にある物を借りている。
「これで完成ですよ。まるで、どこかのプリンセスのようですよ」
「ありがとうございます」
お礼を言った。私は神族の王女様だからその言葉は間違ってはいないけどね。
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