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魔法陣に魔力を注入する 10

「控え室に戻りましょうか?」


 話が一段落したので皆に声をかけた。


「ああ、そうだな。もうここに居ても仕方ない」


 パパがそう言ったので、私は転移し控え室に戻った。


「お帰りなさい。結構速かったわね?貴女達ならかなり掛かると思っていたけど?」


「それがね。10分程度で50億まで貯まっちゃってさ、だから早々に切り上げて来たのよ」


 マリアがそう答えた。


「えっ!?たった10分で50億!?まあ、聖達の魔力量ではそうなるわね」


 ビックリしていたが、私達の魔力量を知っていれば直ぐに理解が出来る。


「………そう、結構貯まるのが速かった。これなら私達だけで、100億行く」


 エルフは確信してそう言った。ま、私達だけで、あの魔法陣に100億以上を貯める事は可能だ。


「そうだけどね。コレは帝達のプロジェクトだからね?だけど、聖達が居なかったら、おそらく、このプロジェクトは最初から頓挫しているわ。こんなに魔法陣に魔力注入で苦戦しているから」


 クレアは困惑していた。私達が居なかったらと、想像をしたようだ。


「そうだね。このプロジェクトは出来ないわね。もし、注入口に触れる事が出来ても、成功には最低でも2年は掛かるわ」


 もし、私達が居なくて、クビになった全帝、力帝、風帝が、居たとして、注入口も何事がなくても魔法陣に浸透するだけで何ヶ月かかるか分からない。


「そうね。最初に誰かが死んでしまう可能性があったわね。それに私達には違う魔法陣を用意する手だてが無いわ。同じ魔法陣を描くのに何ヶ月掛かるか分からないわ」


 帝の仕事は勇者召喚の魔法陣だけではないから、年単位だと、余計に困難なプロジェクトになる。だから、クレアは私達が居るから短期を選んだ。


「そうだね」


「でも、現に聖達が居るわ。このプロジェクトは成功出来るわ」


 クレアは成功すると確信している。


「その期待に応えるよ」


「宜しくね」


「クレア?聞くのを忘れていました。私が帝の時、クレアを呼ぶ時は、王女様と呼んだ方が良いのでしょうか?」


 リクがそう質問した。


「そうね。私達は姉妹だけど、まだ、世間にはリクの事は公表してはいないし、帝の時は全てが秘密扱いになっているわ。だから、私を呼ぶ時は王女様でお願い」


「分かりました」


「あっ!私もそうだわ。どうしても、クレアと普通に言ってしまうわ」


 マリアがそう言った。それに慣れてしまっていると、切り替えが難しい、無意識にクレアだけになってしまう。


「そうね。私もそうだわ。どうしても、マリア達の名前が先に出て来てしまってね、大変なのよ」


「そうだね。私を初めて紹介する時に、『ひ』が口に出たからね」


「それは言わないでよ。自然と出てしまったのよ。私も焦ったわ」


「そうなんだ?」


「私達の時はなかったですね?」


「それはそうよ。私も同じ間違いはしないようにしているわよ」


 それはそうだ。


「まあ、そうだね」


「はい。私も気を付けます」


 うん、リクはやらかしそうだわ。マリアも不安の所があるわね。姉として心配な私であった。


 4日目。


「創帝?魔法陣の魔力量表示が、30億を示しているがたった2日でこんなにも魔力量が貯まったのか?」


 魔法陣の部屋にやって来た私達は、魔法陣の魔力量表示をみるなり、私は、早速、3人から質問責めにあった。


「それは、2日目に時帝と空帝に協力してもらって、休憩が出来る空間を創ったわ。3人共、その空間に入って、説明をするから」


 私一人で創ったなんて言えないのでそう説明した。その空間の入口を開けた。3人が入るとその空間内を見回している。


「説明するよ。この空間は、私達、帝の休憩用として創った施設と思ってくれて良いわ。この空間内の時間は現実よりも早く進んでいるわ。現実時間が1秒として、この空間内の時間は1時間との割合でね」


『なっ!?』


 3人が驚きの声を上げた。


「当たり前でしょう?現実時間と空間時間が一緒ならこの空間を創った意味が無いわ。この空間は、私達の魔力量を早く回復させる為の空間なのだから」


「これを貴女達が創ったの?」


 信じられないと呟いている。


「そうよ。皆が短時間でくたばってしまっていると、期間内に100億の魔力量は絶対貯まらないわ。だから、合作で創ったのよ」


「確かにそうだが…………」


「しかし、こんな空間を創れるなんて…………」


「これも、成功させる為よ。休憩場所は男女別々になっているわ。今居るのが男性用よ。後、お風呂も完備しているからね。自由に使って、もし必要な物がある場合は自分で持って来てね」


 風呂場にはこの世界で一般で使っている物しか置いていない。


「風呂までもか!?」


 3人がまたしても驚きの声を上げた。


「そうよ。現実時間で2、3秒は、ここでは2、3時間よ。十分お風呂に入れるでしょう?でも、実際にはもっと時間があるわ。なんと言っても、1人ずつ魔力を私に渡すのだからさ」


『あっ!?』


「ここの空間時間で1日過ごしてしまう可能性もあるのか?」


「そうね。24秒で1日だからね。ここにずっと居れば、食事も必要になって来る可能性もあるわね」


「たった24秒で1日………ありえないわ」


「それに食事もって?」


「現実時間で24秒が空間では24時間………確かに必要になって来るかもな?」


「そ、そうか……時間が経てば腹が減るな。この空間も同じだな」


「実際にそうよ。もう他のグループが実用しているのだからね。現実世界では、空間に入ったと思えば直ぐ出ているからね。それに実際にまだ1秒も経っていないからさ」


『あっ!?』


 またしても驚きの声を上げた。


「これはとんでもない魔法だわね」


「ああ………この空間があれば、たった2日でも30億の魔力量が貯まってもおかしくはないな?」


「そうだな……合作とはいえ、この魔法は凄すぎだろう?」


 3人は呆けていた。それにこの空間がある為に魔力量が想像以上に貯まったのだな?と納得しているようだ。これはミカ姉ぇ達の説明も必要なさそうだ。


「はい!空間の説明は以上よ。空間から出て、魔力注入をやるわよ」


 私がそう言うと3人は正気になり魔力注入をやった。

 3人も当初は現実時間と空間時間に戸惑っていたが、だんだんと慣れてくれば、スムーズに魔力注入を行えていた。

 これなら、期限内に100億の魔力量が貯まる筈だ。

これで一旦魔法陣注入編は終わりです。次話から新しい編に入ります。

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