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魔法陣に魔力を注入する 7

 私達は、魔法陣の部屋に転移した。


「よし、最初は魔力量最大でお願い!」


 私がママ達に頼むと、


「断る!アイツらの二の舞いになりたくはない!!」


「そうね。やるなら、約5千万の魔力量を聖にあげた方が良いわね」


「はい、魔力量最大で聖さんにあげるなんてまさに愚の骨頂ですよ。リリカが言うように約5千万の魔力量を聖さんにあげた方が効率が良いですよ」


 ママ達はママ達で魔法陣の事を考えていたようだ。そして、ママ達3人は、1人は私に約5千万の魔力量を渡し、2人は空間で休憩しながら、魔法陣に魔力注入をしていた。


 結果、昨日よりも多くの魔力量を魔法陣に注入する事が出来た。


「この方法の方が効率が良さそうね?」


「そうだな。1時間で魔力量が15億だからな」


「というよりも、空間での休憩が効いていますよ。聖さんの空間にお風呂、しかも温泉があるなんて信じられませんでした」


「そうね。私達も最初は驚いたわね」


「そうだな」


「まあ、でも、空間を利用してのこの方法ならば、雷帝達もそこそこ行ける筈だわ」


「そうね。そうでないと困るわよ」


「ああ。だが、私達がこうして話している間も魔法陣に設置してある魔力量を示す数値がどんどんと下がっていっているぞ」


「そうですね。私達の努力を嘲笑うかの如くどんどんと下がっていきますね」


 この下がっていくパラメーターを見るとやる気が薄れてくるよ。本当に魔法陣に魔力が注入が出来ているのかと?


 3日目。


 この日は、私に緊急の帝での依頼が来た。なんでも、一種類のモンスターが大群を造り、王国の土の領の村々を襲い壊滅状態に陥っていると、そして、地元のギルド員達や兵士達では歯が立たないとの救援の依頼が舞い込んで来た。帝で動けるのは、私、マリア、リクの3人だ。当初、クレアは私達3人を派遣しようとしたが、ママ達に止められた。私達、3人を派遣するのは拙いと、その理由はクラスの事で、私達3人が同時に居なくなる事が良くない事、3人で休んでいれば、他のクラスメイトに嫌疑をかけられてしまうと、言われて、クレアは、私だけに依頼をした。


 そして、私は、ミカ姉ぇ、ヒルドさん、ルエルさんを連れて、そのモンスターの群れを討伐に向かった。転移魔法で、依頼を出したギルドに赴き、そこのギルドマスターに話を聴いた。


 対象モンスターはゴーレム・バッファローという。


 ゴーレム・バッファローは、ロック・バッファローの上位に当たるモンスターで、全身が岩のように硬い毛と皮膚で覆われており、弓矢や槍、剣、はたまた名を知れた刀匠の名刀でさえ傷つける事が出来ないので、その名前が付けられたようだ。

 因みにロック・バッファローは腹の所が柔らかくなっていて、唯一の弱点になっている。


 ゴーレム・バッファローの特徴は全長は約2.5~5m。体重は約2t~4t。鋭く長い角を持ち、硬い毛と皮膚で覆われている為にその体格を活かし、集団で猛突進してなんでも破壊してしまうので、本来、人間の手に負えない。しかも、皮膚が異様に硬いのでゴーレム・バッファローを好んで食べる天敵も全く居ないので、ゴーレム・バッファローが大繁殖をし、おそらく食べ物を探しては、大移動中に点在する村々を次々と破壊していったのだろう。

 しかし、そこに住んで居た人達にとっては大迷惑な事だ。このゴーレム・バッファローをなんとかしなければ、安心して暮らせない。この場所が危険だからと言って、他の場所に集団移住をしたとしても、その移住先で、またゴーレム・バッファローの被害を受ける可能性もゼロではない。


「───と言う訳です。なんとか退治をして貰いたいのですが………」


 ギルドマスターは悲痛の想いで私達に話してくれた。


「ウム、確かに人間達では、そのモンスターはどうもならぬのう」


「そうですね」


「しかし、そのモンスターを絶滅させても良いのですか?」


 ルエルさんが、ギルドマスターに訊ねた。


「はい。所詮モンスターはモンスターですから、他の草食動物達もゴーレム・バッファローには困っていますよ。ヤツらは辺り一帯の全ての草を根刮ぎ食べ尽くしては移動しますから。他の草食動物達の食べる草が一本も無い状態なのですよ。それに草の根までを食べ尽くしてしまうとこの大地にも悪影響が出ますので」


 草の根まで食べ尽くしてしまうと砂漠地帯になる可能性がある。


「そうでしたか」


「ま、私達で討伐をするしか無いわね」


「そうじゃな」


「はい」


「しかし、この少人数でどうやって?」


「なに簡単なことさ」


「ウム、そのモンスターの周りに結界を張り、そこに炎をぶち込む。ただそれだけじゃ」


「そうですね。モンスターと言えども生き物ですからね。炎には弱い筈ですよ」


「これなら、私達だけでもカタが付くよ」


 私達はそう説明した。


「た、確かに理論上はそうですが、しかし、大群化したゴーレム・バッファローに向けてそんな大規模な結界を張れるのですか?」


「張れるからそう言っているのよ。ま、論より証拠だわ」


「そうですね。早速行きましょうか?」


「ええ」


「ウム、参ろうかのう」


 証人のギルドマスターを連れて、ゴーレム・バッファローが居る場所まで転移した。

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