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魔法陣に魔力を注入する 1

 今週の火曜日はイスレイくんの家庭教師と臨時の定例会議がある日だ。


 いつものように勉強が終わるが、どうしてか、今日に限ってイスレイくんが『お姉さん、どこも行かないでよ。今日はボクと一緒に居て』と言い、私から離れようとしなかった。臨時の定例会議があるので、イスレイくんのわがままを聞く訳にはいかず、王妃様の元にイスレイくんを連れて行くこととなった。


 また、王妃様も臨時定例会議があるという事も知っているので、私と共にイスレイくんを説得していた。


「イスレイくん?お願いだから、離れて。ね?」


「嫌だ!今日はずっとボクと一緒に居て欲しいの!離れたくないの!」


 私の体に手を回しくっ付いている。


「イスレイ。そうわがまま言うのではありませんよ。聖殿は次のお仕事に行かなければいけないのですから」


「お仕事なら、ボクも付いて行くの!今日はとにかくお姉さんと離れたくないの!」


 と、全く私達の言葉を聞かない。また反抗期なのかな?


「イスレイ。そこはクレアも居るのですよ。付いて行ったら、クレアにお尻ペンペンされてしまいますよ」


 王妃様はそう言うが、イスレイくんは、


「お姉さんが守ってくれる」


 と、言って、更にギュウと私に抱きしめてた。効果無しだ。時計を見ると既に臨時定例会議が始まっていた。私が慌て出す。


「いい加減にしなさい!聖殿を困らせる事は許しませんよ。こんなにわがままを言うのなら、聖殿を家庭教師から降りてもらいますよ!それでも良いのですか!」


 王妃様が叱った。すると、イスレイくんの目がみるみるうちに涙目になって、こう言った。


「だっ、だって、だって、お姉さんが、お姉さんが死んじゃうもん」


 と。


 言った途端にイスレイくんは泣き出した。


 私と王妃様は『えっ?』と言って顔を見合わせた。そして、イスレイくんをあやしてから。


「イスレイくん?それはいつの話なの?」


「えっぐ!今日、夢で見たの………お姉さんが死んじゃう夢………」


 詳しく聴けば、今朝方の夢で、どこかの部屋で私が血を流して死んでいる悪夢を見たようだ。それがリアルだったようで、イスレイくんは私をどこにも行かせないようにしていたようだった。


「そう、だったのね………」


 私も王妃様もイスレイくんの理由を聞いて納得した。大人でも親しい人がなにかしらで亡くなった夢は、怖くてたまらない悪夢でしかない。


「うん………今も凄く怖くて………だから、ずっと居て欲しかったの」


 まだぐずりながらも話してくれた。


「ん。心配してくれてありがとうね。イスレイくんの話を聞いたから、慎重に行動をするように心掛けるよ」


「うん………」


 まだ、心配そうな表情を見せる。


「大丈夫よ。私はもう油断はしないし、怪我もしないわ。イスレイくんを悲しませる事はもう二度としないわよ」


 イスレイくんを抱きしめて頭を撫でる。


「うん……約束だよ」


「はい、約束」


 イスレイくんは漸く私から離れた。

 私は帝の格好をして、王妃様に挨拶をしてから、会議室に転移した。


「────以上が新しい帝です。続き」


 シュン。

 転移魔法で私が会場に現れた。


「申し訳ございません。大幅に遅れました」


 クレアに向けて、頭を下げる。


「創帝?何故遅刻をしたのですか?(貴女の為に開催時間をずらしたのに?)」


「誠に申し訳ございませんでした。行く時に()が駄々をこねましてね」


「そうでしたか………分かりました。席に着いて下さい」


「はい」


 席に座るが、隣りに居るマリアとリクは緊張しているようだ。


「では、続きを言います」


「あのう?」


 水帝が手をあげた。


「なんですか?」


「はい、遅れて来た創帝にペナルティーは?」


「ありませんよ。その弟というのはわたくしの弟なのですからね。創帝は弟の家庭教師をやっていますから、なにかしらの理由で駄々をこねたのでしょう」


 と、言うと事情を知らない水帝、雷帝、光帝の3人が『えっ!?』と驚きの声をあげる。


「そ、創帝は王子様の家庭教師をやっているのですか?」

「では、王女様は、前々から創帝の事を?」


 3人は私とクレアを交互に見回す。


「はい、知っていましたよ。しかしながら、創帝の実力は本物だと、あなた方も先の臨時定例会議で知った筈です」


 クレアの問いかけに3人は頷く。


「では、新たな全帝を決めますよ。この中で、新たな全帝を推したい帝はいますか?」


 クレアの問いかけに光帝が手をあげて。


「創帝にやって貰うのはどうでしょうか?創帝は前の全帝に勝っておりますし」


 と言った。


「断るよ。私は、帝に成ったばかりだ。それに前の全帝を倒したと言っても、一般王国民や貴族階級が納得しないよ。それに私自身プライベートでももの凄く忙しいから更に全帝をやったら、それこそ過労死をしてしまうよ」


 私は即座に拒否する。


「えっ?か、過労死って………?」


 そこまで忙しいのか?と思っているようだ。


「そうですね。創帝は向こう10年、いいえ、20年以上は忙しい日々が続きますね。全帝をやったら本当に過労死になってしまいますね」


「に、20年以上も………」


 クレアが恐ろしいフォローを入れ、光帝は絶句していた。


「王女様?全く、フォローになっておりませんが?」


「真実でしょう」


「そこまでじゃ!話の内容がズレておる」


 言い合いになる前に学園長が止めた。


「そうでした。失礼致しました」


 クレアが謝罪をした。

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