ようやくデートが出来るね 8
私達は教会の一室を借り、領宰と今後の事を話をした。
「国王陛下、ご当主様、大変申し訳ございませんでした。本来ならば、このわたくしが全て解決をしなければならなかった事をお2人の手を煩わしてしまいました」
領宰は私達に頭を下げ謝罪をした。しかし、同じ筈の兄弟なのにまるで性格が違う。
「ウム、そうだな」
「はい」
「本当に申し訳ございませんでした」
再度、謝罪をした。
「どうして、あんなのが?」
との質問に領宰が、
「はい、アレがああなってしまったのはわたくしの父のセイです。しかし、父はアレが政治の才能が一切無いと幼少期の頃から見抜いておりましたので、アレには、貴族としての最低限のマナーと基礎学習しか学ばせなかったのです。そして、父が保有していた僅かな領土を分け与えただけでした」
「要するに、才能が無いと勝手に決め付けて、成人になったらさっさと追放したんだ?それは親の教育方針が間違っているわ。どんな子供でも、最初の親の教育方針が間違っていれば、どんな人間だって最終的にはクズになる可能性は高いわ。たとえ、政治の才能が一切無くとも、貴方と同じように教育を受けていれば、もしかしたら、貴族の地位が低くても、真っ当な人間で真っ当な貴族になって、這い上がった可能性もあったのにね?」
「……………」
私がそう指摘すると、領宰は黙ってしまった。
「ま、過ぎた過去は取り返しがつからないからね。さて、今後の事を話をしましょうか?」
「ウム、そうだな。と言っても、聖殿が火の当主になるまではそんなに時間がないので、貴殿にはそのまま、領主代理をやって貰うが、聖殿が就任した時に、領宰の職は降りてもらう。これは、この事件を起こしたペナルティーだと思え」
「はい………分かりました」
領宰はがっくりと頭を下げる。
「とはいえ、聖殿はまだ未成年者だ」
「えっ!?ご当主様は、まだ、み、未成年者だったのですか……?」
領宰が顔を上げて驚いていた。
「そうですよ。私は、学園に通う高等部1年ですよ」
「高等部1年…………」
更に絶句していた。
「そうだ。よって、余の娘テレサが聖殿が成人するまで領主の代理に就く事になる。そして、貴殿は、領宰を降りてもらうが、余の娘を支えて欲しいのだ。貴殿には領宰補佐のポストを用意する」
「えっ!?で、では?わたくしは(領政に)残れると………?」
領宰は、領のどこかの片田舎の役人として左遷されると思っていたようだ。
「そうだ。被害者とはいえ、親族の不祥事だ。現在、領のトップの貴殿に責任がないとは言えない。その責任として、降格処分という人事を下したのだが、その仕事内容は以前と変わらぬであろう」
「はっ!ありがとうございます」
領宰は叩頭した。
「ウム、より励め」
「ははっ!」
更に叩頭をした。
「陛下」
「なんだ?」
「貴族では出来の悪い子供を追放するという風習が未だにあるようですが、その風習を改善しないと、先程のような事件がまた起こりますよ」
この王国の貴族の風習で、出来が悪い子供は、要らない子供としてさっさと家から追放するという習慣が未だにある。今回の事件もそれに近く、追放されなかったが、要らない子供として、十分な教育を受けていなかった為に、善悪の区別がつかなく、悪を悪とは思わなく、今回のような非常識な貴族が誕生した。
「ウム、そうだな。その通りだな」
陛下が同意した。
「しかし、その出来が悪い子供を作ったのは、その親、自分達だという認識していないのが非常に問題です。それを子供のセイにするなんて、非常識ですよ」
「確かにな」
「私は提案します。今後、子供を追放した貴族には厳重な処罰を求めます。何の罪がない子供を追放するなんて以ての外ですよ。これは育児放棄と同じですよ。人間、努力次第でなんとかなります」
「しかしながら、それでも、ダメで、成人をした場合は?」
領宰が遠慮がちに聞いてきた。
「それは、その子供の責任ですよ。親が愛情を込めてその子の為に教育しても、どうしようもないクズになってしまった場合は、それこそ、話し合って何かしらのペナルティーを与えれば良いんですよ。私が言いたいのは、経済力が全くない子供を親の勝手で育児放棄をし追放するなということですよ」
「分かりました」
「分かった。余が議会に提案しよう。余も貴族達が自分の子供を追放している平然として態度には嫌気が差しているところだった。要らない子供として、全て居なかった事にし、何事もなかったようにする貴族達の態度がな」
陛下もその貴族達に憤りを感じていたようだ。
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