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ようやくデートが出来るね 7

 気絶したおデブ親子は、親衛隊達に連れて行かれた。


「陛下、あの者は領宰(※領の冢宰)の弟ですが、あの者は、政治の才能は一切ありません。言わば名ばかりの貴族です。階級は男爵です」


 おばあさんが陛下に報告をした。

 予想外の下流貴族階級だ。


「そうか」


「お久しぶりですね。おばあさん」


「久しぶりだねぇ。あンたの活躍は聴いているよ。けど、あたしはあンたとは会いたくなかったねぇ」


「そう言わないでよ」


「聖、知り合いか?」


「ええ、兄さんは知らないようだけど、この人はママのお母様よ」


「えっ!?お、おふくろの!?」


 案の定、兄さんはビックリしていた。


「あンたは、リリカとファルコンさんの息子かい?なるほどねぇ?ファルコンさんに似て筋肉質の体だねぇ」


「…………」


 兄さんは何も喋れなかった。女将が


「あ、貴女様は、火の貴族のご夫人!?では、あなた様達は、旧火の貴族の縁者?」


「違う!俺達は旧火の貴族とは関係が無い!!俺達は一般人だ!!」


「そうだねぇ。あたしと彼らとはもう赤の他人さ。ただ、血が繋がっているだけな事だねぇ」


 兄さんとおばあさんは否定した。


 まあ、事情が事情なだけに仕方ないと言えば仕方ない。


 女将も「大変失礼致しました」と謝罪をした。


「さて、聖殿」


「なんでしょうか」


「この混乱を収める為に聖殿には領民達に顔見せをやって貰いたいのだが」


「そうですね。あのおっさん達とは無関係とアピールしなければ、この混乱が収まりませんね」


「ウム」


 という事で、私達は、宿を出て、教会に行くことになった。そして、陛下は、貴族を含め全ての火の領民達も教会に集まるようにと指示を出した。


 ~教会内~


 私達は神父と再会した。


「まさか、あなた様が次期当主様だったとは………世の中なにがあるか分かりませんな」


「黙ってて申し訳ございません。次期当主はあくまで予定ですので、時期早々に言う訳にはいきませんでした」


「それに、火の領は今まで行った事がなかったから、視察観光で来たんだ」


 私は謝り、兄さんは説明をした。


「あなた様達が気軽に言える立場ではないというのは分かっております。あなた様なら良きご当主に成られましょう」


「ありがとうございます」


 神父は私達を汲み取ってくれた。


「聖様、準備が整いましたので、ご同行を」


「分かりました」


 私は呼びに来た兵士に、陛下達の居場所まで案内してくれた。

 陛下達と合流して、教会の広場の壇上に上がる。


 広場には領民達が沢山居た。


『静粛に!只今から、国王陛下、領宰と次期当主様のお話がある!まずは領宰』


 司会者が紹介した。

 領宰は少しやつれていた。


「皆の者。ワシは領宰で領主代理を務めている者だ。しかし、今回、領民達に出した命はワシが出したモノではない。更に言えば、ここにおわす国王陛下ならびに次期ご当主様のご命令ではないのだ。勝手に命を下したのはこの者だ!」


 領宰が言うと、拘束された3おデブ達が親衛隊達に引っ張られて来た。口にも轡が噛まされている。

 3おデブは今でも『んー!!んー!!』と喚いているからだ。


「この者はワシの親族に当たる。コトもあろうか、ワシを拉致監禁をし、その上、ワシの代わりに勝手に領のまつりごとをやり、その結果、この領を滅茶苦茶にした張本人共である!」


 領宰が言うと領民達が騒ぎ出した。


『静粛に!国王陛下の御前であるぞ!!』


 司会者が注意をすると、領民達は騒ぐのを止め静まり返った。


「この者達は、陛下を裁いて貰う事になっている。きっと厳しい処罰が下るであろう!!以上!!」


 そう言って、領宰は下がった。


『続きまして、国王陛下、お願い致します』


「ウム」


 陛下が前に出る。


「皆の者、今回の一件で領民の暮らしを混乱に招いた事を一国の王として大変申し訳ないと思っている。今回の一件は、王家としても重大な件と捉えている。この事件を起こしたこの者達を必ず厳しく処罰をすると皆の者に約束をしよう!!以上!!」


 陛下が下がった。


『国王陛下、ありがとうございました。続きまして、次期ご当主様』


 呼ばれて、私は前に出た。


「皆様、初めまして、わたくしが、この火の領の領主で火の貴族の当主を務める予定の聖 山瀬です。以上です」


 私はただ挨拶をして下がった。


『えっ!?これだけですか?』


 司会者が困惑している。


「はい、今回はイレギュラーなようなモノです。わたくしは顔見せと名前を名乗るだけですよ。この者の説明はここにおわす国王陛下と領宰が言ってくれましたので、わたくしがあえて言う必要はありません。わたくし自身、この領の政にはまだ携わってはおりません。正式な挨拶は当主に就任した時に行いますよ」


『分かりました』


 司会者は納得した。陛下が、


「この者達は、罪人として、しばらくの間は、ここに晒して置くが、けして、私刑はまかりならぬ!!勝手に私刑をやった者達は、罪人として、厳しい沙汰を下す事になる」


 領民に釘を刺した。


『以上を以て終わりとする!解散!』


 その号令共に領民達は帰って行く。今から、領民達に平和な日常生活が戻った。

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