覚醒2
「えーっと?あれは確か………ガブリエル?いつだったかしら?」
「知りませんよ!!私も聖さんと同じ意見でしたよ。一体、王妃様はいつの時代の本を参考にしたのですか?」
がぶり姉ぇまでつっこんだ。
「がぶり姉ぇ?どうして母さんに育児の事を教えなかったの?」
「聖さん達のお世話は、基本、私が全て任されていましたが、王妃様が私もと言われて、お教えしようと思いましたが、『大丈夫。任せて』と自信満々で答えましたので………それに私は神聖王様や王妃様の命令は逆らえないモノで………」
「で?俺達は、毎回、毎回、色々と被害に遭ったと?」
「はい………『今度こそは、今度こそは、大丈夫よ』と帰ってきた度に言いましてね……まあ、私も、その言葉は信じられなくなりましたが………誰にも言えませんでした………」
「あら、酷い言い草だわね?」
まあ、がぶり姉ぇは、お手伝いさんという立場だったから、誰にも言えなかったのだろうね。
「ハァー。まあ、がぶり姉ぇの立場を考えると言えなかったのは分かったよ」
「はい、ごめんなさい……」
がぶり姉ぇは頭を下げた。
がぶり姉ぇのせいではないのに。
「がぶり姉ぇ、頭を下げないで、悪いのは全て母さんだからね?」
「何故よ!!」
「破天荒な事をやったからだよ!それに俺も母さんと再会する前に凄くびびっていたんだよ。会った瞬間にどんな無茶振りをふっかけてくると思ってさ」
「ああ、それで、体が震えて、言葉もおかしかったのですね?」
「そうだよ。ミカエルさん」
「そんなにビクビクしなくても良いのよ?」
「誰のせいだ!誰の!それよりも、俺の封印を解いてくれよ!」
もうこれ以上ここに居るとなにされるか分からない。
「そうね。………はい、これで良いわよ」
「えっ!?もう?何も感じなかったが?体が光ったり、何かが出たり?」
「そういう事は、二流の術師がやる事よ。一流はなにも影響がないままやるのよ」
「そうなのか?まあいいや、じゃあ、そういう事で」
次元の扉に手をかけるが。
「待ちなさい!まだよ」
「なんで!?」
さっさと帰りたいのにな。
「まだ、貴女には用があるのよ!」
「用って?」
「ふふん。貴女が思っていた以上に美人だからね。モデルとして、これらの服を試着して頂戴」
母さんが指を鳴らすと、大量の服が出てきた。
「はぁ?モデル!?」
「そうよ。今度、山瀬グループで、服のブランドを立ち上げる事になったのよ」
「相変わらず色んなジャンルに手を出しているな?」
山瀬グループは多種多様の事業を展開しているからな。ライバル会社も増えていく一方じゃないか?
「そうよ。で、私が服をデザインしたのだけどね?ほとんどボツになったのよ。でも、聖、貴女が着れば、そのボツ服達も良く見えると思うわ」
「言っている事が意味不明だよ。ボツ服達も良く見えるって?俺が着ても変わらないと思うが?」
「そんな事はないわよ。いいから着なさい。ガブリエル、貴女は写真撮影係ね」
「はい。お任せ下さい」
がぶり姉ぇが意気揚々としているぞ?なんか変な方向に行っているぞ?




