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ようやくデートが出来るね 2

 住人達から何も話を聞けなかったので、私達は、ここのギルドに行くことにした。ギルドはあちらこちらに点在している。所属が違うが、クエストの為に地元の情報は聴けるようにはなっている。


 近くのギルドに行く途中に教会があった。その教会を通ると、年老いた神父と子供達の会話が聞こえた。


「神父様?まだ、シスターは帰って来ないの?」


「そうですね?シスターも本山で神聖王様のお仕事をやっておるのでしょう。もうしばらく待ちましょう」


「うん」


「セシルお姉ちゃんー!!早く帰って来てよー!!」


 との会話が聞こえた。


「セシル………?シスターセシル………?うっ」


 私はその場で気を失い倒れ込んでしまった。


「オイ!聖!しっかりしろ!!」


 兄さんは慌てて、私を支える。


「どうかなさいましたか?」


 異変に気付いた神父が訊ねて来た。


「すまんが、ベッドか寝られる場所を貸してくれ、連れがいきなり倒れた」


「分かりました。どうぞ、こちらへ…………」


 しばらくして、私は意識を取り戻した。


「ここは………?」


「聖?気が付いたか」


「兄さん?私?確か………」


 少し思考回路が働かない。


「急に倒れたんだ。覚えていないか?」


「あっ!?」


 セシルさんの名前を聞いて、倒れたんだ。まさか、ここでセシルさんの名前を聞くとは思ってもいなかった………。


「うん、思い出した」


「そうか。神父を呼んでくる」


 そう言って、兄さんは部屋を出た。

 しばらく待つと神父を連れて戻って来た。


「気が付きましたか?」


「はい。ベッドを貸していただきありがとうございました」


「いえいえ、困った時はお互い様ですよ」


 神父は穏やかな表情でそう言った。私は神父の顔を見て確信する。


「神父さま?貴方はローランさんとテレサ王女様の結婚式に立ち会った司祭ですね?」


「えっ?」


 兄さんはびっくりしていた。その神父は、


「はい、そうですよ。それを知っている事は神聖王様の御降臨も?」


「ええ、私達も居ましたよ」


「そうでしたか。あの出来事は誰にも言うなと、陛下からキツく厳命をされましたので………」


「そうですね。まさか、神様が来るなんて誰も思ってもいませんでしたよ。しかし、こんな場所でお会いするなんて」


 私はてっきり本山から呼んだかと思っていた。


「私は元々ここに務めておりますよ。しかしながら、テレサ王女様とローラン様を一時的に保護した経緯がありましてね。そのご縁で、もし、私達が結婚式が挙げる日が来るのならば、私に司祭をやって貰いたい。と、お願いされましてね。まさか、保護した女性がテレサ王女様だったとは、その当時は分かりませんでしたよ」


「ああ、そうでしたか」


 ま、あの時の2人は身分を隠して逃亡していたから仕方ない。


「ところで、貴女はシスターセシルを知っているのでしょうか?シスターセシルは、本山に行ったきり帰って来ないのです。私ももちろんの事ですが、子供達もシスターセシルを心配しておりますので」


「……………はい、知っています」


「本当ですか、で、シスターセシルは今どこに?」


「この話はここだけにしておいて下さい。けして、子供達に話さないで下さい」


「分かりました。神聖王様に誓いましょう」


 私はセシルさんの最後を話したが、真実は語ってはいない。語る必要がない。


「────という訳で、シスターセシルは私を庇って、私の代わりに死にましたが、公式の場では、彼女は、自分の故郷に帰って行ったという事になっております。彼女は、王都では重要な役目を補っておりました」


 私は脚色して話た。


「そうでしたか………シスターは死んでいましたか………」


 神父は落ち込んでいた。神父はセシルさんの真の正体に気付いてはいなさそうだ。


「はい、私もあの時、命は助かりましたが、頭に大怪我を負い、静養をしていました。しかし、シスターセシルがどこの教会に属しているのかが判らず仕舞でしたから………それに、前々から、兄との約束でこの火の領に旅行に行こうと計画を立てておりましたので、何故かこう運命を感じます」


「そうですね。私もそう思いますね。これも、神聖王様のお導きなのでしょうね?」


「そうかもしれませんね?しかしながら、今の火の領の商店街の現状は余りにも酷いですね?私達は、ギルドに所属しております。住人達に事情を聞こうとしたら、皆、口を噤んでしまって、話を聞く事が出来ませんでした。そこで、私達は地元のギルドに情報を聞こうとしたのです」


 話を変え、今のここでの現状を言った。


「そうですね。………ここ一週間前の話になります。この火の領を治めている代理の領主様からこんなお触れが出ました…………」


 と、神父は内容を話してくれたのだが、その内容が余りにも酷いモノだった。

 だから、商人達は目の色を変えて強制的に商品を売りつけていたのだ。

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