制裁 3
~金曜日の夜~
私達帝はギルド本部の会議室に居る。
「では、臨時の定例会議を行います」
クレアの言葉で臨時の定例会議が始まった。
「まず、この場に居ない風帝ですが、帝を辞任しました。本人曰わく、諸事情により自分の田舎に帰る事のようです。そして、今後、2度とこの王都には来ることはないそうです」
と、クレアが話した。まさか、私との戦闘で本人が死亡したとは言えない。
「風帝の新たな後任者は今の所居ませんが、早い内に後任を選出したいと思います。続いて、今週の月曜日に全帝が発した臨時の定例会議ですが、あれは、わたくしを含めて、全ての帝達に通知が行き渡ってはいなかったようですので、わたくしの名前の下に全帝が発した定例会議に出ないようにとこの臨時の定例会議を通知致しました」
『なっ!?』
クレアの発言を聞いて、雷帝、水帝、光帝の3人が驚きの声をあげた。ママの読み通りだった。
「あなた達には全帝が発した通知が行っていたのですね?」
クレアが聞く。
「は、はい………その後、王女様の通知が来ましたので、参加をしなかったのですが………しかし、何故ですか?何故、極一部のそれも私達だけに?それに王女様に通知が行っていないなんて………」
光帝は戸惑った声でそう答えた。
「そうですね。わたくしも地帝に教えてくれなかったら、この件は全く知りませんでしたよ」
「で、では?連絡が行っていたのは?」
「わしら4人だけじゃな。もしかすると、風帝にも通知が行っておったかも知れぬがな。全帝は風帝が辞めた事は知らぬからのう」
『なっ!?』
再度3人が驚きの声をあげた。
「で、では………後の帝達は?」
「知らん!!クレア王女様からの通知を受けて、その内容文の意味が全く判らなかった。どこから全帝が出て来たのだと思ったくらいだ!」
ステラ先生が答えた。
「その通知内容文は謝りますが、一体、誰が全帝の通知を受け取ったのか判りませんでしたのであのような通知になってしまいました」
謝罪をしながらそう言った。
「そうですわね?この通知は他の帝達との連絡を行う機能がありませんので、確認のしようがありませんわね」
「それにしても、全帝は何故、我々だけに?」
「分からないわね?しかしながら私は今の全帝を好ましく思っていませんので、何を思って寄越したのか?」
水帝の質問に光帝が答えたが、その光帝は全帝を嫌っているようだ。
「俺もそうだが、だが、たとえ相手が好ましくなくても臨時の定例会議を開催すると通知がくれば参加はしていた。臨時ならば、余程の重要な会議内容だと思うだろう?」
「俺もです。俺も臨時定例会議を開催をすると通知すれば、たとえ嫌っているヤツの通知でも無視は出来ないが、しかし、今日通知して今日開催するというのは驚いたが」
「私も驚きましたわ」
雷帝と水帝も全帝を良く思っていないようだ。
「じゃから、わしが王女様に確認をしたのじゃよ。まさか、王女様に通知が行っていなかったとは思ってもいなかったがのう」
「そうですね。だから、あの通知となった訳ですよ。この一件によって、全帝はこのわたくしを下に見ていると判りました。よって、わたくしは全帝の解任を提案します。もちろん、全帝の解任理由はそれだけではありません。前回、わたくしは全帝にクエストに行って下さい。と命令をしましたが、しかしながら、全帝は今日までそのクエストには全く行ってはいない事を確認済みです。これでは、全帝の責務を果たているとは言えいません。そんな、責務を果たせない人にはもう全帝の役職が勤まる筈がありません。もう相応しくはないのです」
そう言い切った。
「確かに。いくら、魔力量が多いと言えども、全帝の責務を果たせない輩は最早この帝に要らない」
パパがクレアに同意した。
そして、他の帝達も頷く。
この時点で全帝の解任が決まった。
そこに全帝が慌てた様子で入室して来た。
「なんですか?ノックも無しで?もうあなたの席はここにはありません!出て行きなさい!」
クレアの怒号が飛ぶ。うん、マジで怒っているな。
「なっ!?私は全帝ですよ!それに何故、全帝であるこの私をこの場に呼ばないのですか!!」
自分の事を棚に上げてこの言いようだ。
「その口が言いますか!!ならば、何故わたくし達を除いた、この帝4人だけに臨時定例会議の通知をしたのです!その理由を言いなさい!!」
「納得する理由が欲しいわね?」
「どうして、俺達4人だけに通知した?」
と、光帝と水帝が全帝を睨みつけてそう言った。
「それは、そこにいる創帝の解任ですよ!新人のクセに態度が気に入らない!だから、根回しの為に開催をしたのですよ!」
そう言った。
それを聴いたクレアは。
「はぁ?何を言っているのですか?前回の創帝の発言は真っ当な発言内容ですよ!発言内容が悪かったのはあなたの方ですよ!!創帝はあなたのその発言内容が悪かった為に指摘したのです。しかも、あなただけではなく、わたくしもその指摘を受けました。ですが、その真っ当な発言をした創帝が気に入らないから解任の根回し為の臨時定例会議を開催?何ふざけているのですか!!」
激しくテーブルを両手で叩き、更にブチ切れた。
「全くだわ!呆れて物も言えませんね?開いた口が塞がらないとはまさにこの事ですわ」
「この為だけで臨時会議を開催するとはな?参加しなくて良かった」
「ああ、俺もだ。バカバカしいぜ」
「なっ?ら、雷帝!?あなたは創帝に?」
「ああ、前回はいろいろと言われたな。だがな、あれは、一方的に俺が悪い!その事で創帝を恨んじゃいねぇーよ!だいいちよ。そんな程度の逆恨みでな、気に入らないから解任させるなんてな、そんな事を一々やっていたら、この仕事はやっていけねぇーよ。そんなに創帝が気に入らないのならお前が辞めれば良いだろう?」
「なっ!?」
雷帝の言い分に絶句する。全帝は少なくとも雷帝は取り込めると思っていたようだ。
「それにのう?創帝はワシも推薦したのじゃ。そんな事で解任させる訳がなかろうが」
学園長も怒っている。
「だいたい、初めて参加させた奴を気に入らないから解任って?貴様は子供か?聞いて呆れるぞ!」
「全くだわ!」
全員が全帝の発言内容に呆れて返った。
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