覚醒1
この回は母と子(聖)の会話が主です。
俺は次元の扉で帰ろうとドアノブに手をかける。
「分かったわ。貴女の能力を覚醒させてあげるわ」
「能力?」
「そう、貴女の能力よ。まあ、私達が封印していたからね」
「封印?」
「判らない?父さんが言ったでしょう?二十歳になったら全て言うつもりだったとね?あなた達を神としての能力も解くつもりだったのよ。勿論魔力もね?貴女の魔力はレイナから貰った魔力でしょう?貴女の本来の魔力はレイナと同等な魔力があるのよ。それに能力も更に増えるわ。特に転移魔法は事故がなくなって使えるわよ」
「て、転移魔法!?かなり高度な魔法だって聞いた。魔力の多い俺でも難しいと」
ママから聴いた話では、転移魔法が出来る人間はそんなに居ないと、失敗すると、体が空間切断されるや木や岩・壁などに入り込んで同化して死んでしまうという事故死がかなりあると。
「そうよ。人間では難しい魔法よ。でも、神である私達は普通に使えるわ」
「その転移魔法が使えれば、地球にも行けるのか?」
「それはダメよ。こればかりは、許可は出来ないわ」
「許可?」
「そう、私は空間を司る神なのよ。空間を管理をしているのよ。転移魔法もそうよ。人間が異世界から異世界の転移魔法が出来ないように私がしているのよ。勿論、この神界にもね?まさか、貴女が次元の扉で来るとは思わなかったけどね?ま、それだけ、切羽詰まっていたのね?」
「そうだよ。しかし、地球にいけないのか?」
「当たり前です。地球人から見れば、貴女は、言うなれば、宇宙人よ?解っているの?」
「あっ!?」
「そう、たまたま、地球人と同じ姿をしているけどね?異世界から来ようが定義は宇宙人になるのよ。それに異世界と言ってもやはり宇宙という空間で繋がっているのよ。凄く遠いだけで」
「じゃあ?地球と今、俺が居る惑星は同じ宇宙で繋がっているのか?」
「そうよ。それを私達神が全て管理をしているのよ」
「まじか?」
「マジよ。だから、私達神々は星の数だけ居るのよ。私達だけでは賄いきれないわ」
「………」
言葉が出ないな。父さん達はどれだけの広大な宇宙を管理をしているのだろうか?そう考えると頭が割れそうだ。
「少しは分かったかしら?私達の事が?」
「ああ。俺達に構う余裕がない事はな?」
「いいえ、私達は貴女達と住む予定だったのよ?神界での天変地異がなければね。ある程度の段取りはつけていたもの。貴女達を人間として育てたかった理由は、人間としての感性や知識を養ってもらいたかったのよ。それにレイナを見れば解ると思うけどね?神の成長は遅いのよ。人間でいう二十歳になるのにその10倍の時間がかかるのよ」
「そんなに早く俺達を成長させて神の仕事をさせるつもりだったのか?人間の知識を得てさ?」
「それも違うわ。私達は、しっかりと子育てをしたかったのよ。神としてはあり得ない現象で貴女達が立て続けに産まれたからよ。年子の神の子はあり得ないのよ。神は出産後は、約100年は産まれないけど、立て続けに貴女達が産まれたのよ。だから、私達は二人で貴女達をちゃんと育てたかったのよ。しかしね、主神である私達夫婦が長く子育ては出来ないのよ。で、私達の事が知られていない地球で育てる事になったのよ」
「知られていないって?全ての主神でしょう?」
「ええそうよ。地球では、父さんの事を神聖王と呼ばれていなかったのよ」
「あっ!?確かにそうだな?全く聞かないな」
「でしょう?各諸所によって、神の名称は違うけど、全て、父さんの事を指しているのよ」
「そうだったんだな。母さん達がそこまで考えていたか?でもな?あの破天荒振りはなんなんだ?たまに帰ってきたら、俺達に町内を10周走らせた後に宿題をやらせるとか、もっと酷いのは何も準備を一切していなく、いきなり山奥地で俺達だけで何日もサバイバルをやらせるって?おかしいだろう?当時、がぶり姉ぇもあたふたしていたし、俺達も泣いたぞ?特に、全身、蚊に刺された時なんて余計にだ!」
「えっ?一般家庭教育では当たり前ではないの?皆そうやっていると本で読んだわよ?」
「なあ?いつの時代の本を参考にしたんだよ!!」
俺は叫んだ。




