復帰 1
次の日の朝食。
「やっぱり聖のめしは旨い!もう、怪我をするなよ。私が一人寂しく食べる事になるのだからな!!」
と、ステラ先生が言いながらガツガツと食べている。
と言ってもね。アレは不可抗力だしね?それでも、先生は私の事を心配してくれている事位分かっているので。
「分かりました」
と、答えた。
いつものように4人で教室に行く。
「おはよう」
「おはよう」
私が言うと、エリサが答えてくれた。
そこに、昨日、大道芸を観に来ていたクラスメイトが数人やって来た。そして、1人がこう言った。
「委員長とヤジリ様の関係ってなに?それに委員長はいつからヤジリ様と大道芸をやっていたの?」
と。
「あいつは生き別れになっていた双子の弟だよ。ヤジリというのは大道芸人としての名前だよ。ま、あいつの本名は明かさないがね。あの芸は私があいつに仕込んだだけさ」
そう教えた。嘘でもないからね。
「ふ、双子!?委員長とヤジリ様は姉弟だったの?」
私の話を聞いたクラスメイトが驚いていた。
「そうだよ。最近になって私達の関係が判明して、再会したのよ。で、昨日が最終日だったから、助っ人として共演したのよ。あの舞いは元々複数人で舞う演目なのよ」
「そうなの!?」
「けど、委員長が大道芸が出来るなんて思わなかった」
「ああ」
「もしかして、あのピエロも委員長なの?メイクしていたけど、背格好が同じように見えた」
「オレも観てて、アレ?もしかして?と思った」
そう言われたので、
「そうだよ。アレも私だよ。助っ人の私が素で2回も出たら拙いからね。始めの方はピエロになって演じたのさ」
ここまで言われるとごまかしが効かないのでネタばらしをする。
「やっぱりそうなんだ?けど、あれってどうやって芸をしていたの?」
「観てて不思議だったな?」
「魔法を使っている事は分かったけど、その原理が分からないし、どうやって水を自在に動かして操っていたのかが不明だ」
クラスメイトは頷き、私を見る。
「それは、ひ・み・つさ。芸人が、持ち芸のネタを簡単にばらす訳にはいかないのさ」
そう答えた。
「それに教えて直ぐに出来る芸でもないよ」
そう言ったと同時に、ホームルームの始まるチャイムが鳴る。クラスメイトは席に着く。
しばらくすると、ステラ先生が来た。
「居るヤツは居るな?居ないヤツは知らん!」
先生がいつものセリフを言う。
そして、
「聖、怪我が治って良かったな。またバリバリと使ってやるからな!」
ニヤリと笑う先生。
全く、前半は心配してくれていると思って好感度が上昇したのに、後半での言葉で好感度急降下だよ。
「病み上がりなので勘弁して下さい!」
そう言うが、
「知らん!授業に出て来られるという事は完治しているのだろう。ならば、使えるモノは使うのが私の信条だ!」
と、一蹴された。先生は全て解っているから、私に対してこんな無茶ぶりな事が言える。
しかし、事情を知らないクラスメイトは『うわっ!悪魔だ!悪魔がいる』『委員長がかわいそう』『容赦なさすぎ!』『やっぱり、生徒嫌いだな』と、口には出さずに心の中で言っていた。
「それとは別に昼休みになったら学園長室に行け!学園長がお前に話があるそうだ」
「そうですか。分かりました」
ホームルームが終わり、授業に入った。
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