最終公演 3
本日は2話投稿しました。前の話を読んでからお読みください。
不定期更新です。
私達は細かい動作を確認をしながら最後にもう一度舞った。
「うん、そこそこだな」
「そうだな」
練習が終わり私達は空間から出た。
「ヤジリ、練習終わったの?」
「ああ、一応な」
「一応?」
「ま、客に見せられるレベルになっているという事だ」
「ああ、その一応ね?で、本当に大丈夫なの」
メアリーが心配していた。
「ああ、かなり練習を重ねた」
「ヤジリ!聖様」
ダンさんがやって来た。
「団長」
「今回の芸をやる順番を伝えに来た。その順番は、始めにニートとゴンザの芸、次に聖様の水芸、またニートとゴンザの芸で場を繋ぎ、そして、ヤジリと聖様の剣舞、最後はメアリーという順番でやって行く」
そうダンさんが説明してくれた。
「分かったわ。さて、私は水芸をやる前にピエロのメイクをするわ」
「ピエロ?何故?」
メアリーが質問をした。この世界にもピエロの恰好をした大道芸人は居る。
「水芸にちょっとしたお笑いを取り込もうと思ってね。それに水芸と次の剣舞でも私が素で出てきたら、『なんで、同じ助っ人が2度も出てくるんだ?』と客に思われてもイヤでしょう?」
「なるほどな?」
「確かに」
「分かったわ。私のメイク室に案内するわ」
2人で空間に入る。
「ここよ。ヤジリが創ってくれたの」
「そうなんだ。ありがとう」
「じゃあ、私は先に行っているわ。挨拶もあるしね」
「分かったわ。ところで、メアリー?」
「なに?」
「貴女は、私の名前を一度も言ってくれないのね?」
「っ!?」
「まあいいわ。いずれ、私の名前を言ってくれる事を期待しているわ」
メアリーは、黙って、空間から出て行った。
「うーん。少し意地悪過ぎたかな」
私はそう言いながらも、ピエロのメイクに取りかかった。
「…………」
「メアリー?どうした?」
メアリーの異変を気付いたサトルが声をかける。
「貴方のお姉さんに私の名前を言ってくれないと言われてね………」
「そうか、確かに、メアリーは、今まで姉貴の名前を言っていなかったな?」
「…………言えっこないでしょう?貴方と同じ名前の人を………それにどうして、私が貴方の事をヤジリを呼んだか、もう分かっているでしょう?」
「ああ。当時、俺が巻き込まれた場合の対策だな?」
「そうよ。万が一、私達と一緒に捕まった時に本当の名前だと貴方が困ると思って、咄嗟に出たのよ。名前を変えた方が貴方の為だと思ったから……それに貴方の名前は、そう言っちゃった手前もう恥ずかしくて呼べないわ」
「そうか。だが、俺の今の名前はサトル 山瀬だ。聖 山瀬は、俺にとってはもう前世の名前だ。その名前は姉貴が受け継いでいるだけさ。俺と姉貴は既に別人さ」
「分かっているわ。でも!」
メアリーは顔を逸らした。
「そうか。ま、時間はあるのだし、今後も姉貴とも顔を合わせる事がある。メアリーが決心が付いた時に名前を言えば良い」
そうサトルが諭すように言う。
「そうね………」
黙って聞いていたダンが、
「メアリー」
「なに?パパ」
「俺達はプロだ。芸では引きずるなよ!」
そう言って、ダンはどこかに行ってしまった。
「分かっているわよ」
ダンに言われてメアリーの目つきが変わる。プロの芸人としての目つきになった。
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