再会7
ミカエルさんが。
「聖さん?かなり体が緊張していますが?」
と言ってきた。
「母ちゃまとの対面はキンショーちない方がおがちいですとよ。ミカエルしゃん?」
「言葉もおかしいですよ?」
緊張し過ぎで、呂律が回らなくなっている。
「聖さんリラックスして下さいな?お母様は別にとって食おうとはしませんよ?おそらく(ボソッ)」
「えっ?な、なに最後は?」
「い、いえ、なんでもありません。さあ、入りますよ!王妃様、失礼致します。聖さんを連れて参りました」
がぶり姉ぇは母さんの部屋に入る。俺も仕方なく入った。部屋の中は言うまでもなく豪華な物で溢れかえっていた。そして、ソファーに座っている母さんが。
「聖なのね?」
「ああ……俺だよ。母さん………俺………」
もうこれ以上は言えなかった。
「良かったわ。無事だったのね。それに美人で可愛い女の子になって」
「す、好きでなった訳ではない!」
「解っているわよ。でも、どんな姿でも聖は聖でしょう?」
「ああ……」
言葉に詰まる。なんか、いつもの母さんと違う、いつもの母さんは俺達に無茶振りをしていたが、今回は何故か何もしてこない?
「聖、どうしたの?」
「イヤ、な、なんでもないよ………」
「変な聖ね?」
変なのは母さんの方だよ。妙に優しいのが気になる。
「そうだわ。ねえお腹空いていない?久しぶりに一緒にご飯を食べましょうか?」
「あ、ああ………」
母さんとテーブルに着き、天使達が料理を運んで来る。がぶり姉ぇ達は後ろで控えているから食べづらいので。
「がぶり姉ぇ達も食べよう。というより、がぶり姉ぇ達と一緒に食べたい」
「お気持ちは嬉しいのですが、神様と天使との一緒の食事は禁止されております」
と、ミカエルさんが答えた。
「命令でもか?」
チラッと母さんを見る。
「ミカエル、ガブリエル、私達と一緒に食べなさい」
母さんが命令をした。
「分かりました」と2人が答えて、俺達と同じテーブルに着いて、天使達が2人の食事を持って来た。なんだよ?ちゃんと2人の食事の分を用意してあるじゃん。
「王妃様、聖さん、ありがとうございます」
がぶり姉ぇがお礼を言う。
「がぶり姉ぇ?俺達は家族だろう?家族に神界のルールなんか関係ないよ?」
「ありがとうございます」
「さあ、冷めないウチに食べましょう」
母さんが言うので食べる。
「母さん?この料理は天使達が作ったのか?」
美味くも不味くもない普通の味だ。
「そうよ。ガブリエルよりは遥かに腕は落ちるけどね?」
「そうだな。がぶり姉ぇの方が美味しいよ」
というより、俺の方がこの料理よりも美味く作れるな。
「ありがとうございます。料理担当の天使達もこれでも努力はしていると思いますよ?」
なんか冷めた言い方だな?
「ガブリエル?それはフォローになってはいないわよ?ガブリエル、貴女が料理担当の天使達にも教えてあげれば良い事でしょう?」
確かにそうだな。俺みたいに教えてあげれば良い事だな?
「いえいえ、料理担当の天使達が自分達で頑張りますと言うのでね。私は放置しているのですよ」
「なるほどね?その料理担当の天使全員は本日限りでクビです!全く、腕が上がっていなかったのはそういう事だったのね?」
「何年ぐらい担当していたの?」
「ガブリエルがあなた達の所に行った時からよ」
「いや、早く気付けよ!」
「いずれ美味しくなりますと言うからよ」
「そのいずれが、15年も続いていたのか?俺なら、このままの味なら3年でクビにするぞ?」
「そうね?で?聖」
「なに?」
「貴女、この神界に住むつもりはないの?」
母さんも勧誘するのか?
「父さんにも言ったが、俺はまだ人間として生きたいんだよ。色々と経験をしたいしな」
「そう。でも、その体は苦労するわよ?」
「えっ!?まだ何かあるのか?」
「ええ、レイナはとんでもない体を聖に与えたわね?」
「そうなのですか?」
ミカエルさんが不安げに言った。
「ええ、まずは、体から出たフェロモンは同性に好かれるようになっているわ。それにあの日は無いようだけど、その代わりに、半年に一度、何日かは体が動かなくなってしまうようね?」
「はぁ?な、ナンダソレハ?あの日って?生理のことか?まあ、それが無いのは良いが、その代わりが体が動かなくなるって?」
「体のメンテナンスのようね?」
「俺の体は機械か!!どうにかならないのか?」
「ならないわよ?なっているならとっくに父さんが全て治しているわよ。だから、神界に住まいかと聴いているのよ。貴女が神さえ成れば、全ての問題は解決するわよ?」
「母さん!レイナに会わせてくれ!!あいつなら治せるよな?」
「ダメよ。レイナは謹慎中なんだから、誰にも会わすわけにはいかないのよ」
「そうか。分かった。俺は元の世界に帰るよ。じゃあ、母さん元気で、また会おう。がぶり姉ぇも元気で、最後に会えて良かったよ。妹達を宜しく」
次元の扉を出した。もうここには用はない。がぶり姉ぇと再び別れるのは辛いがな。
「待ちなさい!貴女、その体で苦労しても良いの?」
母さんが帰るのを必死に止めた。
「良いよ。俺は人間として生きたいんだよ。そして、学校もやり直したいんだよ」
「学校?」
「前世の中学の時は良い思い出がなかったからな。高校ではやり直したいんだよ。それに妹のマリアに帰ると約束したんだ。帰らないといけないんだ!」




