少し真面目な話 1
「漸く言うたのう?さっさと真顔で言えば良いものの」
と、ヒルドさんは、盛大にため息を吐いた。
「ま、真顔で言えるかよ!」
しかも、俺以外全員女だぜ?真顔で言うって、どんな拷問だよ!
「ま、及第点だな」
ステラ先生がそう言った。
「ステラ。おぬし甘いのう」
「サトルは、まだ大人に成っていないからな。サトルの歳は思春期真っ盛りだよ。姉の聖の事とはいえ、異性の裸の感想を言うのはキツいだろうよ。これが、30代、40代と年を重ねていけば、精神状態が安定して、ヒルドさんが言うように、真顔で言えるだろうな」
「そうなのけ?それは知らなかったのう。人間はそういう生き物かえ?」
「言うか、俺の精神状態を判っているなら、強要するなよ!」
俺はステラ先生を睨んだ。
「だから、先程から言うように聖や王妃様にヘタレと言われる以上に何か言われても良いなら言うなと言った筈だぞ?それにここに居る私達は最早身内のようなモノだよ。赤の他人に、お前が不利益な事は言わんよ」
「それは助かるがな」
「言いっこないわよ」
「そうですよ」
そう言ってくれた。
「しかしのう?おぬしらには年子の妹が居るのじゃろう?聖は妹と同じような感じではないのかえ?」
ヒルドさんはまだ納得がいかないようだ。
「全く違う。舞の胸は少年の胸だよ。舞の胸を見ても何も感じなかったよ。そして、毎年、舞は俺に胸を見せるものだから、いつも『何も成長してい無い』と言って、ケンカになるんだよ」
「おぬしらは、実の妹に対して酷くないかえ?」
「酷くないよ。と言うよりも、自分から実の兄に何の抵抗もなく胸を見せる舞の方が異常だろう?そのつるぺたな胸を見せられるこっちも酷だぜ」
「でもね。その事をお姉ちゃんにも話したのだけどね?舞って、お兄ちゃん達の事が好きなんじゃないの?だって、いくら、兄妹でも、普通は見せないわよ?私だって、兄さんには、自分の胸を見せた事はないわ」
「じゃあ何か?舞は俺達の事が好きだった為に気を引こうとああいう行動に出たのか?」
「多分ね。私だって、お姉ちゃんの事が好きだから、気を引く行動をついついしちゃうもん」
と、言った。
「私もです」
「………私も」
オイ!コイツらは、どれだけ姉貴の事が好きなんだよ!姉貴はよくコノ状況を許しているよな。
「と言うか、姉貴は寛大だな。日本という国に育った手前、一夫一妻という概念が拭いきれないけどなぁ」
「ほう?そうなのか?まあ、この王国も基本は一夫一妻だが、やはり、跡継ぎの問題があるから、特に王侯貴族達が複数の妻を娶る事もあるんだ。ま、当然だな。男も女も、子供を産まなければ、その血族の子孫繁栄には繋がらない。だから、最初の妻が上手く子を成せなければ次の妻を娶る」
「じゃあ、子供が産まれかなった時はその妻のその後は?」
「様々だな。そのまま、その家で暮らすか、別れて、違う夫に嫁ぐかだな。もしかしたら、相性の関係がある可能性もあるからな。違う夫のところに嫁いだら、子供が出来たという話も聞く」
「そうなのか?もしかして、魔力の関係があるとか?」
「かもしれないな?そこらへんは、まだ分からないが、しかしな、子供が出来れば、双方共万々歳だろう」
「双方共万々歳って?別れた処もか?」
「そうだな。子供が出来なかった原因がどちらか分からないからな。別れた後に子供が出来たなら、喜ばしい事だろう?子孫繁栄の為ならばな?いつの時代でも子供は宝だからな」
「それが、たとえ夫婦に愛情が無くてもか?」
「それは政略結婚の事を言っているのか?ま、政略結婚は元々愛情なんか無いな。それこそ、男女が淡々に子供をつくるだけだな。ま、そのうちに互いの愛情が芽生える夫婦もいるがな。私が最初に言った話は恋愛がある男女の事だよ。お互いに子供が欲しかったが作れなかった。が、子供を作るために別れて他の者と一緒に成ったら子供が産まれた。コレは、双方にとって嬉しい事だろう?違うのか?」
「うーん?その考え方が分からないな?たとえお互いに好きならば、子供が作れなかったとしても、一緒に暮らすのが幸せじゃあないのか?」
「そういう所も存在するが、この世界は、基本は、貴族も平民も自分達の子孫を存続させる事が重要で不可欠なんだよ。そうしないと、一族が存続しないとなると、この王国が滅びる事になるからだ。だがな、私みたいに、子供を要らないと考えているヤツが居るのも事実だよ。それらは、色んな人間達が考えた上の結論だよ。そして、考え方が違う奴らにその議論させてもそれは平行線で終わるだろうな。でも、私はそれはそれで良いと思っているよ。世の中は子供を産むのが絶対に正しいとは限らないからな」
そうステラ先生は言った。
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