災難? 1
「これは………?」
「ああ、これはね、転移魔法の練習用のドアだよ」
「転移魔法の練習用ドア?」
「そうだよ。元々はこのドアで、パパ達の世界に行けたのだけどね?けど、パパ達が来るのを禁止したでしょう?だから、その劣化版で、転移魔法の練習用として置いてあるのよ」
「ああ、なるほどな?で?誰か試してみたのか?」
周りの人達に聞くと、
「試してみたよ。でもね、しっかりとイメージをしないと違う場所に行ってしまって、結構難しいのよね?」
「はい。私も試しましたが、私が行きたい場所とは違う場所に出てしまいますね」
マリアとリクがそう言った。
「それだけ、転移魔法が難しいというだよ。転移魔法は、失敗すると、命を落とす危険な魔法なんだよ。だからこそ、授業も高等部3年のそれも後半で習う魔法だが、たとえ習ったとしても、そうそう使えるモノではないな」
ステラ先生が説明してくれた。
と、なるとこのドアは、転移魔法の事故、死亡を取り除いた安心安全なドアだ。まさしく、転移魔法の練習にうってつけのドアだな。その事を皆に言った。
「まあ、そうだな。このドアは、本音を言うと、学園で買い取りたい程の代物だ。なんと言っても、転移魔法での死亡事故がないのだからな。イメージがあやふやだと死ぬが、これは、違う場所に出るだけだ。まあ、その違う場所が危険な箇所だった場合はシャレにはならないがな」
「確かにそうだな。しかし、このドアがあれば、姉貴の所に転移魔法が使えない俺達でも行けるぜ?」
俺がそう言うと、『あっ!』という声がした。
「た、確かにいけるわ」
「………うん、行ける。聖の所に」
「このドアでお姉さまの所に」
3人がそう言った。
「じゃあ、俺が試しにやってみようか?」
そう提案し、実践してみることに。
マリアの説明では、まずはノブを握り、行きたい場所や人物を思い浮かべる。そして、鮮明になったら、扉を開けるという仕組みだ。
姉貴をイメージした。
「開けるぞ」
「ゴクリ」という誰かののどが鳴る音が聞こえた。
扉を開けるが………。
「ん?」
「……………」
俺は一瞬固まる。だってな?
「あ、姉貴?これは…………?」
俺は絞り出すように言う。
「見て分からないか?ミカ姉ぇに私の体を拭いて貰っているんだよ。なんだかんだで、体が汚れているからな。それよりもどうだ?私の体は?特に生乳なんてがぶり姉ぇ以来見ていないだろう?」
姉貴は、上半身裸だった。そして、自分の胸を持ち上げて更に強調している。ミカエルさんが、
「はしたないから止めなさい」
と、姉貴を怒っていた。
そこで、俺は、扉を閉めた。
「…………」
タイミングが悪かった………。しかも、姉貴の裸をマトモに見てしまった…………。
「ねぇ?どうしたの?お姉ちゃん達の声が聞こえたけど?」
「ああ…………」
俺は状況を説明したが、俺のその顔は真っ赤っかになっているな。
「ほう?」
「お兄ちゃんもお姉ちゃんの裸を見たのね?」
「ふ、ふか「どうだった?お姉ちゃんの裸は?すごかったでしょう?」
「はぁ?」
俺が不可抗力だ。と言おうとしたが、マリアは興奮していたために俺の話を聞いていない様子だった。
「お姉さまの裸は惚れ惚れしますよね?」
「…………うん、聖の裸は見てて飽きない。ずっと見ていられる」
2人も言ってきた。あれ?俺が姉貴の裸を見たのは良いのか?
俺はおそるおそる言ったが。
「それは仕方ないでしょう?」
「そうじゃな」
「はい」
「………うん」
「そうですね」
「お前の言う通りコレは事故でタイミングの問題だった。聖の方も、しっかりと見ろと言った時点で、お前がこのドアを見つける可能性が高いと踏んでいる。そして、自分の方に来るとな。だが、それが判っていても、いつ来るか分からないし、誰が来るかも分からないから、自分の事を優先したのだろうな。私達は聖の裸は見慣れているし、聖も今更だろうな」
ステラ先生がそう言うと、他の皆も頷いた。
ハァー、皆、姉貴の考えが判っているよな。やはり、ここで一緒に暮らしているからか?
「でさ、お姉ちゃんの裸はどうだった?お兄ちゃんの感想を教えてよ」
はぁ?なんて言う事を言っているんだよ?マリアは?俺が姉貴の裸感想を言える訳が無いだろうが!!
マリアの破天荒な質問にてんてこ舞いな俺だった。
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