立ち会いと………… 7
どの位の時間が経ったのか?それとも、刹那か?
「……………!?」
「…………ッ!!」
「…………様!!」
「ひ…り……!!」
周りが五月蝿い…………。
「うっ!?…………」
「聖様!!」
「気が付きましたか?聖様!!」
「ぇっ?…………な、なに………?」
私はまだ半覚醒状態だ。頭が痛い………。
えっ?頭が痛い?………そう言えば、私………後頭部を何かで殴られて………それで……………?
「はっ!」
完全に覚醒をした。
「つっ!?」
頭が痛いので、回復魔法で処置をしようと手を後頭部に回そうとしたが、『ジャリッ、ガキーンッ』という音がして、手が動かない。
どういう事だ?周りを見回すと、女性調査員と仮面を取られた風帝ことセシルさんが居たが、2人共に下着姿で大の字で両端の壁に枷によって拘束されていた。
という事は、私も同じ姿で、中央の壁に拘束されているという事になる。
「い、一体、何コレは!?どういう事よ!?」
「わ、判りません。私も食事中に急に眠気が来て、周りの人達も急に倒れ込むように寝ていていました………気付いたら、このような状態で………」
「それに、この拘束具は魔力を封印の効果があるようです!魔力が集まらずに霧散してしまい、魔法が使えません!」
と、調査員とセシルさんが報告をしてくれた。
私も魔法を使ってみるが、全く発動しなかった。これじゃ、回復魔法も使えないぞ。
「こ、これは、や、やばいわね………私も使えないし………集中力が…………うっ………」
後頭部のダメージで、また気を失い、体がだらりと落ちた。その光景を見た調査員が、
「ふ、風帝様!貴女様は言いましたよね?聖様ならこの状況下をなんとかしてくれると!!しかし、今のこの人は役立たずじゃないですか!!」
セシルさんに八つ当たりをしていた。
「しかし、本来の聖様の魔力量を見れば、この状況においても頼りになると思ったらですよ!しかし、今の聖様は明らかに様子が変ですよ!!」
「た、確かに、また気を失っていますね?何かのダメージでも受けたのでしょうか?」
「判りませんよ!ならば、私達がやることは、この枷をどう自力で外すかですよ!!言い争いをやっている暇はありませんよ」
「そ、そうですね?ご、ごめんなさい。しかし、どうやって外れるの!?わ、私、こんな所で死にたくないわ!!」
調査員は体全体を使ってガチャガチャとやっているが、全く外れる気配はなかった。セシルもなんとか外そうとしているが、全く外れる気配がなかった。
「うっ……………」
私が再び気が付いたが、どの位の時間が経ったのだろうか?セシルさんも調査員も既にぐったりとしていた。
「ふ、2人共、大丈夫なの?」
「あっ!気が付きましたか?」
「…………」
風帝は喋る気力もないようだ。
「なんとかね………」
「貴女様が気を失っている時に枷を外せるかと、いろいろと試みましたが………」
調査員は首を横に振った。
「そう………」
「聖様もダメなのですか?」
「今、やっているが、この枷は、呪文、カオスワードで、開閉するようだわ。しかも、魔力を利用してね。拘束されて魔力を封印されている私達にはどうしょうもなさそう………」
見る限り、枷に鍵穴がどこもなさそうだ。一度、拘束したらこれで終わりでもなさそうだった。あたりを付けてそう言った。
「そんな………じゃあ、ここで死ねと?」
「落ち着いて、質問に答えて!この質問は、私達が生きるか、死ぬかの別れ道に繋がる大事な質問なの」
「えっ?な、何を答えれば?」
「うん、これから質問するわ。私が気を失っている間に一度でも、偉そうな人物が来た事がある?」
「えっ?これが私達が生きるか、死ぬかの別れ道の質問ですか?」
「そうよ。さあ、答えて!」
「は、はい!まだ、来てはいません」
「そう。ならば、まだ助かる可能性があるけど、そいつが来ないと助からないが、もし、そいつが来たら、私がやることに口を挟まずに黙って見てて」
「分かりました」
「風帝!貴女もよ!」
「あっはい……分かりました………」
もしも、来なかったら、最終手段を使う決心も付いたが、そいつは、必ず来ると私は確信していた。
補足説明:聖が聖様と呼ばれた訳。
食事中。
リーダー「皆いいか?今後は聖様とお呼びしよう。魔法の腕前もさることながら、陛下とも親しいご関係のようだ」
捜査員1「確かに」
捜査員2「今朝、陛下とご一緒にご入室してきましたよね?」
捜査員3「そうだったな?仮に鉢合わせになってご入室なされても、陛下よりも早く入室するのが常識だが、自然とご一緒にご入室なされたな」
調査員4「もしかしたら、陛下の隠し子か?」
調査員5「そんな噂話はありませんが?」
リーダー「とにかくだ!今後は聖様とお呼びし、聖様に失礼が無いようにしょう!」
「「「「はい!」」」」
こうして、調査員達は聖を聖様と呼ぶ事になり、その事は風帝にもその旨を伝えたのだった。
と、いうのが経緯です。その後、何者かの手によって眠らされてしまいましたが。
次話は来週の月曜日に更新します。
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