立ち会いと………… 3
私達は、教皇の部屋を中心に資料がないかと、探し回っていたが、その資料関係が一切合切見つからなかった。
おかしいな?と、思いながらも全員が懸命に探していた。
2時間探し回っているが全く見つからなかった。
「おかしいな?何故、教皇の資料関連が一つも無いんだ?オーイ!そっちは何か見つかったかー?」
調査員が違う調査員に声を掛ける。
「いいえ、今の所全くありません。どこかに隠し扉があるかと思い、目下捜索中です」
「そうか!分かった!」
と、各調査員が報告しあいながら、捜索にあたっていた。私も風帝と一緒に資料が無いかと捜索しているが、これが全く手応え無しだ。
調査員の1人が、
「オーイ!皆!来てくれ!」
と、大声で私達を呼んだ。ようやく、教皇の資料が見つかったのか?私達は、その調査員の元に集まる。
「資料は見つかっていないが、訳の分からない貼り紙があってな。これだ。誰か解るか?」
と、調査員が私達に訊ねて、指を差す方を見ると。
確かに貼り紙があり、その紙に文字が書かれていたが、
「な、なんだコレは?」
「えーと………これは………模様?でしょうか?それとも、文字………?でしょうか?」
「これが文字か?もしこれが文字だとしたら見たことが無いな?これは確かに発見すれば呼ぶな」
困惑する調査員達。
私は一目見て、
「げっ!?」
と、思わず言ってしまった。
「えっ?コレがなんだか判るの?」
「一体、これはなんなんだ?」
「ああ、これは、私に宛てた貼り紙ですよ。内容は、『(聖達へ)教皇の資料を全て貰って行く(わ)。あなた達は、教会幹部の不正の資料を探しなさい』。と、書いてあるのですよ」
そう、この貼り紙には日本語で書かれてあった。そして、書いたのは、母さんだ。どうやら、私達が来る前に母さん達が全て教皇の資料を全てかっさらって行った。道理でいくら探しても見つからない筈だな。
「一体、誰がそんな行為を?」
「やったのは神様ですよ」
「か、神様!?まさか、神聖王様が?」
ああ、そうか。彼らにとっては、神様=神聖王だったな。
「そうですよ」
貼り紙を剥がし、畳んで、ポケットに入れた。
「ちょ、ちょっと!!何をしているのですか!?コレは神聖王様に関する大事な資料を!」
「そうですよ。これは、神聖王様を研究している機関に送る貴重な紙ですよ。それに紙に書かれてあった文字も神聖王様がお使いになられているモノでしょう?そんな貴重で大事な資料を、なんの気兼ねもなしで折り曲げてポケットに入れるなんて!?」
と、紙一枚で調査員達が大騒ぎをしていた。
ただ紙一枚でこんなにも大騒ぎになるなんて、少し父さんの存在価値を見誤っていたな。
「コレは、私に対して残した置き手紙のようなモノですよ。それに、この文字も神聖王様が使っている文字ではありませんよ。言わば、私に対しての暗号文字です。私は神聖王様とは偶然知り合いになったのでね。知りませんか?本山に降臨して騒動になったのを?その時、ここまで案内したのが、私ですよ。以来、神聖王様と少しだけコネを持つようになったのですよ」
こうなったら、そう言うしかなかった。じゃないと調査員達は納得しない。
「そ、そうだったのですか!?」
「あ、貴女があの騒動の中心にいた?」
「そうですよ。と言っても、すぐに神様の魔法で元の部屋へ戻されてしまいましたがね。後の騒動は他の人達から聞きましたよ」
「なっ!?貴女!神聖王様と直接に会った事があるなんて!だったら、何故、あの時に言わなかったのですか!」
風帝が声を張り上げて、両手で私の肩を掴み体を揺らした。もう、興奮状態で私の正体をバラす勢いだ。
「そんなのは嫌に決まっているでしょう!私は無宗教なのよ。あの時も、ここに行くつもりはなかったのよ。ただ、どうしても案内して欲しいと頼まれたから仕方なく案内したのよ。こんなので、悪目立ちはしたくないのよ」
「えっ?無宗教?貴女は無宗教なのですか?」
調査員達が驚いていた。
「そうですよ。私の両親がそうなのでね、私も無宗教なのですよ。それに、今更、この宗教に入れと言われても、入る気も全くありませんね!」
当然だ。あんな事が立て続けに起きたのだから、当事者である私は、嫌気を刺しているし、誰が父さんを讃える宗教に入らなければならいけないんだ。
「う゛っ」
ここのシスターである風帝は声を詰まらせた。
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