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マイケルに祝福を 3

「聖はそんなに偉かったのかよ……」


 イマイチ納得がしていないようだ。


「私が偉いのではない!私の身分がそうしていているから、偉いのだよ。よって、私もそれ相当な行動を示さないといけないんだよ。そして、その行動責任もな。これは、私が望んだ事でもなくてもな。その親の元に生まれてしまったらな。だが、お前は私達とは違う、お前はどうしてパティシエに成ろうとした?」


「そ、それは、両親がやっていて、オレもそれに憧れていて」


「だろう?お前は一般人の両親から生まれた。幼い頃から両親がやっている仕事にお前が憧れるのは当たり前の事だ。お前もそれなりの覚悟があった筈だ」


「ああ………あったよ。今でもそうだ、オレはパティシエに成りたいんだよ」


「そうだ。お前はまだ自分で自分自身の道を決められるが、私達、王族は違うよ。王族は決められた道しか走れないんだよ。王族の職業はずっと王族だよ。生まれた時からな?だが、お前は、仮にパティシエを挫折しても違う職業に就けるが、王族は挫折をしても王族を辞める事は出来ないし、例え辞めても元王族としての振る舞いをしなければならない。だから、王族という職業は一生付いて回る。それが、王族と一般人の違いだよ」


「……………」


「それにこの世界は、身分のこだわりがまだある。陛下を始め、王族の方々は、良心があるが、貴族達はそうでもない。一般人の命をゴミと見ている輩は沢山いる。お前は、魔力がないから、魔法攻撃をされたら、直ぐ死ぬ。即死だ」


「えっ?そ、即死………?」


「そうだ。お前は魔力に抵抗力が無い。だから、王侯貴族に対して舐めた言葉を使うな」


「うっ!?」


 リョウタの顔が青ざめていた。


「さて、そろそろ参りましょう。子供達は既に会場におりますので」


「ウム、そうだな。参ろうか」


 王妃様と陛下がそう言った。それに対してパパが、


「陛下、王妃様。先に行ってて下さい。私はリョウタに話がありますので」


 と、そう言った。


「そうか、分かった。慌てなくても良いからな」


「はっ!お気遣いありがとうございます」


 パパは頭を下げた。


「では、皆さん参りましょう」


 私達は陛下達の私室を後にした。


 陛下達の私室に残ったのは、ファルコンとリョウタの2人。


「リョウタ」


「はい!」


「何故、聖があんな事を言ったか判るか?」


「………い、いいえ。判りません」


「聖はお前に死んで欲しくないからだ」


「えっ?まさか、聖がオレの事を心配している………?」


「そうだ。なんだかんだで、お前の事も心配しているんだ。まあ、お前に対して冷たい態度は、おそらくテレからきているかもしれんがな………そこは俺の勘だ」


「勘だって?」


「仕方ないだろう?俺が聖の父親に成ったのは2ヶ月前で、聖と一緒に暮らしたのは1ヶ月も無かったのだからな。聖達は普段は学園の寮で暮らしているんだ」


「あっ!?」


「とにかく、お前が、貴族達に対して変なことをしなければそれで良い。お前は俺の下で修業を積んでいろ!そして、この世界のルールや常識を学べ!」


「はい!」


「では、俺達も行くぞ。陛下達を待たせる訳には行かない。俺に掴まれ」


「えっ?」


「転移魔法を使う」


「分かりました」


 ファルコンは転移魔法を使って、会場に向かった。

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