マイケルに祝福を 2
「ここが城か………やっぱりすげーな」
「リョウタ?あまり、すげーすげーと言うな。お前は田舎者か。ある程度の都市に住んでいただろう」
「い、イヤ、こんな中世様式な城を入るのが初めてで………」
「それでも、静かにしろ!」
「わ、分かった」
宮殿に入ってから、バーストさんに陛下達の私室に案内をしてもらう時に、リョウタが周りをキョロキョロと見ながら、『すげーすげー』と大声を上げているので注意をした。
「こちらでございます。失礼致します。陛下、王妃様。マーカー様ご家族が到着致しました」
「ウム、入れ」
「どうぞ」
私達は、陛下達の私室に入った。まあ、私達は最早馴染みの部屋になりつつあるが、兄さんとリョウタは、初めてだろうね?2人共に部屋をキョロキョロと見ている。
「国王陛下、王妃様。初孫のご誕生おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます」
「国王陛下、王妃様。わたくし達を祝福の場に呼んで頂き誠にありがとうございます」
パパとママが、お礼を言って頭を下げた。私達もそれに続いて頭を下げる。
「ありがとう、ファルコン、リリカ」
「ありがとうございます。聖殿、ミカエル様。今日は宜しくお願い致します」
王妃様は頭を下げた。
「はい」
私達は返事をした。
「さて、行く前に見られぬ者がいるが、誰だ?」
「はっ、この者は、異世界からやって来た者でございます。自分で国王陛下と王妃様に自己紹介を」
パパがそう言った。
「えっ?は、はい………お、おれ……い、イヤ、ぼ、ぼく……ち、違った……わ、私は、い、伊勢リョウタと申し上げます」
緊張状態にあるのか、リョウタの言葉は滅茶苦茶だった。
「オイ?お前、何を言っているのか分からないぞ?それに何その『申し上げます』。って?」
私がそう言った。
「う、煩い!お、王様の前だから、き、緊張しているんだ」
「とりあえず、貴方の名前は伊勢リョウタなのですね?」
「は、はい」
「では、伊勢と呼びましょう」
と、王妃様がそう言った。
「王妃様。伊勢はコイツのファミリーネームです。リョウタがネームです」
私が訂正した。
「そうでしたか?分かりましたわ」
王妃様はそう言った。王妃様も人が悪い。以前に私のリョウタの名前を教えたのに、ワザとそう言う風に言ったのだから。
「リョウタとか言ったな?」
「あっはい!」
「神聖王様にお会いになっているのだろう?神聖王様と余とでは比べモノにならない小物だ。神聖王様の御前でも緊張をしていたのか?」
「い、いえ………えーと、神聖王様ではなく、聖のおじさんとおばさんとして、数回会った事があったので………まあ、聖達が神様と分かってびっくりはしましたが………それでも、知っている顔なのであまり緊張はしませんでした」
「そうなのか?」
陛下は私の方を見た。確認をしたいみたいだ。
「はい、リョウタは、両親が現れた時は驚きはしましたが、後は普通に喋って対応していましたよ」
「そうか?ならば、余とは普通に喋られる筈だが?」
「い、いいえ、初めて会うのでもの凄く緊張をしています。それに、実際に、こうして王様に会うのは初めで………」
「何を言っておる?神聖王様は神様の王ぞ!」
ヒルドさんが言った。
「えっ?そうなのか?聖?」
「そうだよ。私の父は、神の頂点に立っているよ。だから、神族の王族さ。で、私は王女の立場にいるよ」
「聖が王女様………?そんなガラじゃないだろう?」
「お前な?私達がそういう立場を望んでいなくても、先祖代々、王族に生まれてしまったら、否が応でも、立場上は神族の王族の王女に成るんだよ。お前が言う、ガラじゃないは、論外だ!」
「それにこの場に置いて聖さんが一番発言力や権限力があるのですよ」
ミカ姉ぇが言う。
「なっ!?」
「驚く事もないよ。本当の事だからね。例えば、リョウタ、お前をこの王国から追放しろ!と陛下に言う事も出来るよ」
「当然、余は聖殿の命令を無視する事は出来ぬから、それを実行するがな」
「……………」
「ま、それだけ、本来、私の発言力や権限力が凄いんだよ。だが、実際にはそんな事はやらないし、そんなアホな行動もしない。何故なら私はこの王国の一国民として暮らしているからだ」
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