親 7
「あ、あなた!!このメッセージを見て下さい!」
「なんだ?いつもの罵詈雑言だろう?さっさと消せ!!」
と言ったが、あまりにもしつこく言うので、渋々スマホ画面を見ると、目を見開いた。
「お、おい!このメッセージは?」
「ええ、どうやら、リョウタにタバコを吸わせた張本人が来るようですね」
メッセージの内容はこうだった。
『リョウタがタバコの代金を踏み倒した。代わりにあんたらに貰いに行くからな!耳をそろえて代金を用意していろよな!!上乃上』
と、書かれていた。
これを見た両親は確信した。全ての元凶はコイツだと。その元凶がこの家に来るという。果たして、この元凶はどのように来るのか?
この元凶、上乃上は、札付きのワルだった。地元の高校では自分に逆らう人間はいないと勘違いした人間だった。だから、生徒の親も自分に逆らえないと勘違いし、今、話題になっている家に突撃をする。
ネットのゴシップ記事の元となった情報を流したのも上乃上だった。
上乃上の作戦は、マスコミ関係者を引き連れて、家に乗り込み、リョウタが踏み倒したタバコ代金を取り立てる作戦だ。
リョウタの両親は泣きながら、このオレにタバコ代金を払うだろうな。そして、このネタで更に金を毟り盗る事が出来るだろうと、ニヤニヤとしながら考えていた。
が、
世の中は甘くはない!
第一にゴシップ記事情報を流したのが匿名での情報提供だった。仮に実名で情報提供をしたとしても、当然、マスコミ関係者は上乃上の事を全く知らないし、興味もない。
しかも、上乃上は違法改造したバイクに乗り、違法改造した為に辺り一帯爆音を鳴り響かせながらやって来る。しかも、自身は、両親を威嚇する為にサングラスにタバコを咥えてやって来た。
マスコミ関係者は『何事だ』と爆音が鳴った方向を一斉に振り向く。
そして、シャッター音とフラッシュが一斉に上乃上に浴びせる。各局テレビカメラも上乃上を映し出す。
上乃上はご機嫌だった。なんせ、自分が目立っているからだ。
しかし、ここまでだった。
各局の何人かのディレクター達が違法バイクで警察に通報をしたからだ。レポーター達も上乃上が思っていた事とは全く違った質問をする。その質問もバイクの違法改造の事ばかりだ。
気の短い上乃上は、『うるせんだよ!今から、リョウタが踏み倒したタバコ代金の取り立てるんだよ!邪魔するんじゃあねぇーよ!』と堂々と言ってしまった。マスコミ関係者がそれに一斉に反応した。リョウタが失踪したのが、タバコを吸った事だからだ。マスコミ関係者は、その事で上乃上にしつこく質問をする。フラッシュも更に増える。マスコミ関係者にしたら、この男が、リョウタの失踪に関わった重要人物だからだ。
しかし、上乃上にとっては、リョウタの失踪はどうでも良い事だ。消えたら消えたで、自分自身の人生に関係無いからだ。しかし、マスコミ関係者がしつこく質問をして来る。とうとうキレた上乃上はマスコミ関係者の1人を殴った。それが、トドメになった。殴った瞬間を全国に流れたからだ。上乃上はマスコミ関係者達に取り押さえられ、やって来た警察に逮捕された。
その後の取り調べで、上乃上は洗いざらい吐いた。ネットのゴシップ記事のリークや在学の高校生達に対してタバコの違法売買やバイクの違法改造の違反、脅迫や脅迫未遂などで検挙され、裁判で有罪判決を受け上乃上は少年院送りなった。当然、高校は退学処分を受けた。
そして、リョウタの両親の疑いが晴れた。元々、未成年でありながらタバコを吸ったリョウタ自身がいけない事だから。親としてそれを注意するのは当たり前の事だ。その後、警察からの発表でリョウタは正式に行方不明者としてリストに上がり、捜査を続けるが、数年後に迷宮入りになる。
そして、リョウタの両親は、上乃上やマスコミ関係者に対して名誉毀損や店の損害賠償の裁判を起こした。その担当弁護士は山瀬グループの顧問弁護士軍団が着いた。
最高裁まで争った結果。勝訴となった。
これで親編は終わりです。
補足説明:山瀬グループの顧問弁護士軍団は人間と天使の混合です。世界規模で会社があるので、弁護士の数も凄い人数を雇っています。弁護士軍団の頭はメタトロンとサンダルフォンの転生兄弟天使です。この天使達は本編には出てくる予定はありません。
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