親 4
「今の今まで前振りだったのか?」
サトルが言った。
「ああ、リョウタ君のご両親が本題だ」
「オレの親?」
「ああ、マスコミが飛びついたと言ったが、当然、キミのご両親にもマスコミ関係者が多数押し掛けるな?そして、マスコミも警察並みにキミら家族の事をも徹底的調べ上げる」
「えっ?」
「そして、キミが失踪した原因は、ご両親に非があると報道した。それにネットのゴシップ記事がそれを拍車をかけた。タバコを吸っただけで自殺や失踪に追い込んだとな。今、ご両親の店は、当然閉まっているし、店のホームページは大炎上している。更に多数のマスコミ関係者が家の周りを取り囲んでいる」
「じゃあ?親は?」
「今も家から出られずに缶詰め状態だな」
「そんな………オレ、やっぱり地球に帰ります!帰って、両親を助けます!」
「止めた方が良いぞ。お前が行っても何も役に立たないし、かえって火に油を注ぐようなものだよ。それにお前なんて言うつもりだ?自殺をしそこなって異世界に行っていました。と、言うつもりか?それこそ、笑い者にされるぞ?まだ、UFOに攫われたと言った方がマシだぞ?」
「そうね。聖の言う通りだわ。かと言って、無関係な私達が出て行くのも拙いわね?」
「ああ。俺達は地球では大企業の社長とその夫人だ。海外にいる筈の俺達がノコノコと出ては行かれないし、神としては、ただ観ているだけだ」
「じゃあ?どうすれば良いんだよ!」
リョウタは両手でテーブルを強く叩いた。
「簡単な話さ、タバコを吸った原因を作った時に両親に素直に話せば良かったんだよ。その時に話していれば回避が出来たかもしれないぞ」
サトルがそう言った。
「そんな事を話せるかよ!格好悪い!」
リョウタが即座に否定するが、
「そもそもお前が両親に話さなかったからこうなったのだろう?それに、格好悪いのはお前自身だろう?」
「なに!?」
リョウタはサトルを睨みつけた。
「普段、お前は両親が居るが、俺達には居なかった………居るのは、母親のがぶり姉ぇだ。でもな、俺達はお前が羨ましかった。本当の両親が家に居てな…………」
「聖、お前…………」
「だからな!格好悪いのはお前なんだよ!!両親に言えない方が、凄く格好悪いだろうがよ!親の気持ちも判ってもいねぇーで、格好悪いとか言うなよ!!」
「くっ!?」
「リョウタ君?サトルが言った通りだ。リョウタ君のご両親は、キミだけのご両親だ。子供を守るのが親の務めだが、俺達が言っても説得力がないな」
「そうですね。私達は、理由はともあれ、世間から見れば聖達を放置していたと変わりませんからね」
サトル?『えっ?母さんが一般常識的な事を言っている』。という顔をするなよ!!バレたら恐いんだからな!
「そんな事はないでしょう?父さん達が居なければ、神界が大混乱になっていたのでしょう?それに私達を地球に逃がしたと考えればね?」
フォローと本音を言った。
「聖、貴女………」
「あ、姉貴は女になったら、丸くなったな?」
サトルも私のフォローに気付いたようだな?
「ふん、お前とはもう別人さ。それよりも、リョウタ、お前が生きている証しとして、自筆で手紙を書け!そして、両親に向けて謝罪のDVDを撮れ!母さん、カメラを持っているでしょう?」
「そうね。生きている事が分かれば、ご両親も少しは安心するでしょうね?ただし、私達の事を言わないというのが条件ですよ」
「分かりました」
「では、空間に行くぞ」
私達はリョウタを連れて空間に入り、謝罪の撮影と手紙を書いて、その手紙をチェックを入れて、OKとなり、母さんが、それらをリョウタの両親の元に送った。
そして、用事が済んだ父さん達は神界へと帰って行き、エリサとバーストさんはそのまま宮殿に、サトルを公園に送り、私とリョウタはカフェへと戻った。
リョウタは、パパ達にこの世界に残る事を伝えて、改めて、パパに頭を下げて、『オレを弟子にして下さい。お願いします師匠!』と言った。それを聴いた、パパは茹でダコになり、後ろを向いて『フン!元からそうだ!厳しく行くから覚悟しろ!もし、一本でもタバコを吸ったら追い出すからな!』そう言った。
パパはリョウタを正式に弟子したが、当初の予定通り、体内からタバコが切れるまで皿洗いで、ケーキ作りはさせないが、レシピ作りはやらせるようだ。そのレシピを元にパパが代理で作るというところからやるみたいだ。ま、リョウタには頑張って、この世界で最初のパティシエになって欲しいな。
まだ、親編は続きます。
補足:リョウタはギルドの独身寮部屋に住んでいます。それと、今まで未確定だったので、聖の空間の施設を利用する事は出来ませんでしたが、聖は、条件付きでファルコンの料理部屋と風呂は開放しました。
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