新たな命 8
食事中。
「で、母さん?話って何?」
忙しいから本題を聞く。
「リョウタ君の事よ。なぜ、この世界に来てしまったのか、その原因が解ったのよ。だから、明日の土曜日に9時頃までにここに連れて来て頂戴。それにリョウタ君が、この世界で暮らすか、元の世界に戻って暮らすかも聴くわ」
「判った。本人に伝えておくよ」
「では、私が言っておきます」
「頼みますよ、ミカエル」
「お任せ下さい、王妃様」
ミカ姉ぇに任せれば大丈夫だな。母さんは朝食を食べて帰って行った。まあ、ここは私達の家だから母さん達も自由にして欲しいわ。
「先生、私はイスレイくんを宮殿に送りますので遅れます」
「判っている。これは仕方ないな」
「えーっ!?もう帰るの?まだ、お姉さんと居たいよ……」
まだおねむなイスレイくんだが、帰ると聞くと一瞬に覚醒した。
「イスレイくん?もうお姉様の赤ちゃんが産まれているかもよ?見たくないの?」
「見たいけど、お姉さんと居たい………」
「また、今度ね。今度はゆっくりとしましょうね?」
「うん、約束だよ」
皆が行った後に私はイスレイくんを宮殿の屋敷に連れて行く。
屋敷の玄関前にメイドが立っていた。メイドの話によれば、まだ、休み中とのことで、私達が来るのを待っていたようだ。メイドの案内で、居間に行くと、ローランさんがいた。
「おはようございます、ローランさん」
「おはようございます、聖様、イスレイ」
挨拶を交わす。
「陛下達はまだお休みに?」
「はい、テレサの出産が深夜までかかってしまいましたので」
「そうですか?今、テレサさんと面会は出来ますか?」
「大丈夫です。ご案内します」
「ありがとうございます」
私達はテレサさんが居る部屋に案内をしてもらった。
「テレサ、入るぞ。どうぞ」
「失礼します」
私達が部屋に入ると、テレサさんが広いベッドの中央にいた。その横には産まれたばかりの赤ちゃんがいた。
「聖様、イスレイ」
「おはようございます。体調はどうですか?」
「はい、この通り大丈夫ですよ。けど、出産がこんなにも大変だったとは、わたくしの想像以上でしたわ。でも、こうして、無事に産まれて来て良かったです」
「そうですね。本当に無事に産まれてきて良かったです。イスレイくん?見える?」
「見えないよー!お姉さん、おんぶしてー」
イスレイくんはぴょんぴょんと跳ねていたが、赤ちゃんの姿が見えないようだった。
「分かったわ」
おんぶをしてあげると、
「見えるよ。赤ちゃんがいるー。お姉様?男の子?女の子?」
「男の子ですよ」
マイケルくんか。
「じゃあ、ボクの弟だね?」
「そうね。聖様、この子に聖様の祝福を捧げて下さい」
「今は、ミカエルがいませんので、やりません。ミカ姉ぇと一緒にやりますよ」
「分かりましたわ。その時にお願いしますわ」
「はい、では、私達は失礼しますね。イスレイくんも寝かせないといけませんので」
イスレイくんはうっつらうっつらとしていた。
「そうですか。聖様、ありがとうございました」
「いいえ、私も赤ちゃんが見られて良かったですよ。失礼いたします」
私達はテレサさんの部屋を出た。丁度、陛下達が起床したらしいので、陛下達の寝室に行った。
「おはようございます」
「うむ、おはよう」
「おはようございます、聖殿。昨晩はイスレイを見ていただきありがとうございます」
「いいえ。私達も楽しかったですよ」
私はイスレイくんを陛下達に託して、自分の部屋に帰った。準備をしてから、教室に行く。
午後に宮殿からテレサ王女が、男の子を出産をしたという放送が流れて、王都中がお祝いと祝福ムード一色に染まり、お祭り騒ぎとなった。しばらくはこのお祭り騒ぎは終わらないだろうね。
そして、私は赤ちゃんが作れるのか心配になった。今度、母さんが来たら聴いてみようと思う。
補足:ローランとテレサの結婚及び御懐妊の事も国民達に知らせてあります。
これで新たな命編は終わりです。
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