エリサの秘密
本当は2話構成でしたが、一つにまとめたので少し長いです。
私、エリサは、マリア達と別れて、自分の寮部屋に戻った。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
「ただいま戻りました。バースト」
数十人の執事やメイドが寮の玄関前で私を出迎えてくれた。そして、総責任者のバーストが代表として、言ってくれたのだった。
バーストは当時まだ20代という若さで、初等部から私の身の回りをお世話をしてくれる執事長にお父様から指名を受けていた。私から視てもバーストはかなり優秀な執事だった。
私の部屋は王室の部屋だ。そう、正式には、私はこの学園に通ってはいない。本当の私は宮殿の中で暮らしている事になっていた。
だから、今の私の身分は偽りの身分。この学園で私の正体を知っているのは、学園長以下極一部の教師だけだった。
勿論、マリアにも教えてはいないから、罪悪感があるわ。
広く広大な部屋は、相変わらず、綺麗に整理整頓がしているのが当たり前で、チリ一つ落ちていない。家具類も超一流の職人が丁寧造った物で、使い勝手も良かった。
私は高級なソファーに座ると、メイドが飲み物を出してくれた。
「お嬢様?久しぶりのカフェはどうでしたか?」
「ええ、良かったわ。それに新しい食べ物ケーキも食べられたわ」
「それはよろしゅうございましたね。で?我々にはお土産は無いのでしょうか?」
「無いわ。というより、マリアと一緒に出掛けたのだから、ありっこ無いでしょう?表向きの私は貧乏貴族なのよ?」
「そうでしたね?しかし、お嬢様は、王女様ですから、貧乏貴族の設定は些か無理がありますよ?」
「バースト?ここでは、王女は言わないでと言っているでしょう?」
「はっ。申し訳ございません」
私は宮殿以外の場所では、王女様と言われたくはなかった。この姿は王女の私ではなく、素の私だから。
「では、本題の話をしましょうか?」
「はっ!我々の調査ではまだ何も情報がありませんでした。相手もガードが固いです」
「そうね。私達は、この一年以上調べて来たけど、あまり手掛かりになる情報は無いわね?確証はあるけど、決め手となる証拠がないわ!それがあれば、一気に検挙が出来るのに!!」
「そうですね?学園初日ですから、相手も気の緩みがあるかと思いましたが、なかなか尻尾を出さないですね?それに関係者にそれとなく接触はしていますが、有力な情報も引き出せませんでした」
「そう。あまり時間も無いわ。もう、ギルドに依頼をしましょう。外からでも情報があるかもしれないわ。依頼のギルドは、私営ギルドで優秀なネコのメよ。中央ギルドは拙いわ。それと、学園長にも正式に依頼を出します。学園側にも関わる問題ですからね?」
「分かりましたが、ギルドマスターには、私が説明しましょう」
「いいえ、私が学園で説明をします。ギルドマスターには悪いけど、来て貰います。後、マリア達にも同席して貰います」
「えっ?マリア様にも?それに達とは?」
「マリア達はギルドマスターの娘よ。そして、ケーキを作ったのが聖 山瀬というリリカさん達が養子した娘よ」
「そうでしたか?それにしても、お嬢様と同じ年代の娘が新しい食べ物ケーキを作ったなんて信じられませんが?まだ料理の専門学校にも行かれてもないでしょう?」
「そうね?その辺りは詳しくは聞いていなかったわ。本人曰わく、今まで山奥で暮らしていたと言っていたわ。実際に魔力量も軽く1億を出していたわ。でも、まだまだ、力を隠し持っている感じだったわ」
「1億ですと!?その娘。本当にお嬢様と同じ年代の娘なのですか?1億なんて信じられません。お嬢様の年代で精々行っても7000万でしょうか?」
「そうね?7000万でも私達では破格値だわ。でもね?その聖を私達の味方に付ければ、かなり有利になるわよ?」
「そうですね。魔力量1億以上の御方がこちらに来てくれればかなり有利な状況になるやもしれませんね?」
そう、聖という手札があれば、一気にコトが進むわ。
でも、それは全てが上手く行った場合ね?マリアや聖が私の正体が解ったらどんな反応を示すのだろうか?特にマリアは長い間、騙していたのだから、嫌われしまうかもしれないわね?
「私は友達を親友を失いたくはないわ………」
私の独り言は誰にも聞かれずに広い部屋に消え去っていった。
制作裏話。
バーストの名前はセバスチャンから来ています。セバスチャンでは当たり前過ぎるので、セバスチャンのバスを取って、バーストとなりました。
エリサはイギリスの女王様からです。
当初はエリサは貴族でただのマリアの友達関係のポジションでした。
結構単純です。
制作裏話はたまに書いていきます。




