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陛下達に報告 3

「ウム、我が王国の民達が殺される危険度があるのなら、その森は立ち入り禁止地域に指定としよう。今後一切、我が王国の民達の立ち入りを禁ずる!」


 陛下の一声で決まった。


「はっ!では、そのように王国の民達にもお触れ書きを出して注意喚起をます」


「ウム、頼む!」


 私の用事は済んだ。ここに居ても邪魔なだけだ。それとエルフ共を私達が皆殺ししたと言っても貴族達は信じないし、下手をすると私達の正体を明かす危険性がある。そんな事はしたくもない。


「陛下。私の用事は済みましたので、これで失礼を致します」


 挨拶をして帰ろうとしたが。


「聖殿、まだ残ってくれ、この際だ聖殿にも余の話を聞いて貰おう」


「え?」


 驚き、一体何の話だと思っていると。


「余は、ここに居る、聖 山瀬を新たな火の貴族当主として就任させる。就任式は1ヶ月後を予定とする。なお、聖 山瀬は、まだ未成年者だ。成人するまで、余の娘、テレサを聖 山瀬の後見人とする!」


 陛下がそう発表すると、貴族達がざわめいた。


「お待ち下さい陛下!その話はこの大会議の案件にありません!」


 冢宰が慌てて止めるが、これは予定に無い他の案件を入れると、時間がなくなってしまう事のようだ。


「そうだが、聖殿がこんなに早くエルフの件を片付けたのだ。それにこれまでも様々な功績を上げておる。今、ここで言うのが得策だ」


「た、確かにそうですが………では、新たな闇の貴族の当主はどうするおつもりですか?」


「闇の貴族は破棄する!今後は5大貴族とする!」


『なっ!?や、闇の貴族を破棄!?』

『陛下!何故ですか?』

『理由を訳を聴かせて下さい』


 陛下がそう宣言した途端に、貴族達が次々と質問をする。


「静かに!陛下はまだお話中だ!」


 冢宰が注意喚起をする。貴族達は『はっ』とし黙った。


 黙った所で、陛下が再び話し出した。


「ひとえに言えば、闇の貴族の後継者が居らぬ。闇魔法は只さえ特殊な魔法を使うが、中には危険性がある魔法も存在している。それに、ギルドでも帝の中には闇帝が居らぬ」


「それは前闇貴族が闇帝は作るなと、政治的圧力が掛かっておりましたが」


「そうだ。だからこそ、闇魔法を使う人物が最早いない」


 陛下がそう言い切ったが、魔道ローブを着たお婆さんが、


「娘さん?あンたは、闇魔法を使えそうだねぇ?」


「ん?貴女は?」


「これは失礼。あたしゃここの王宮の魔道師の長をしている者さ。娘さん?あンたの魔力は普通の人間よりも多いねぇ?尋常ではない多さだよ」


 私の魔力量を見破ったのか?かなり抑えていたが?


「それが、貴女となんの関係があるの?それと確かに私は闇魔法を一通り使えるが、得意な魔法ではないよ。私は光系の魔法の方が相性が良いみたいだ」


「魔道師よ。仮に聖殿が闇魔法が得意であっても、闇貴族は廃止だ」


「そうですか。分かりました」


 お婆さんはあっさりと引いた。冢宰が、


「陛下?闇貴族の領地はどうするおつもりですか?」


 そう訊いてきた。闇貴族の領地の住民達の中には、火の貴族がばら撒いた魔薬や麻薬のセイで中毒患者が蔓延している状態で、治安も不安定だ。今は王国の軍隊が入って統治していた。軍医が中毒患者達の治療。軍隊による違法遊郭やカジノ店などを取り締まっている最中だった。そんな領地を欲しがる貴族達が果たして居るのだろうか?


 いないだろうね。今の領地を欲しがる貴族がいたら、あらゆる、疑いが掛けられてしまうし、何よりも、莫大な資産が流出してしまう。こんな貧乏くじを喜んで引くヤツはいないわね。


「闇の領地は我が王領とする。闇領の立て直しが必要だ。立て直しには後数年は掛かる見込みだ」


「分かりました」


 結局、私は陛下からの命で最後まで大会議を付き合ってしまった。将来、火の貴族の当主に成るので、その予行練習として。

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