陛下達に報告 2
「会議中失礼致します!聖様をお連れ致しました」
と、使いの人は大会議室の扉を開け、陛下にそう報告をしたのだった。
「ウム、ご苦労!下がれ!」
「はっ!」
使いの人は退出した。
陛下は私を見て、
「聖殿!エルフの一件、ご苦労であった!その成果を聞かせていただこうか」
「はい、エルフの女王を送ってエルフ側と今後の交渉を致しましたよ。エルフの女王は私達人間との戦争を回避して、人間達との関わりを二度としないと国民に向けて宣言しました。更に賠償金として金貨1000億枚を払いました。これが証拠ですよ。失礼しますよ」
ボックスから金貨を出した。これは実際にエルフが私に払ったモノだ。
その金貨が会議室内の中央に山積みとなり、それを見た全員が驚きの声をあげる。
ま、ここまでやらないと、他の貴族達には信用がないだろうからね。
「こ、こんなにの大量の金貨を?」
「エルフが一度に払ったのか?」
貴族達が山積みになった金貨を見て唖然としていた。
「どうもエルフ共は人間が嫌いなようですよ。実際、交渉中も我々を見下していましたよ。しかし、賠償金は応じましたよ。女王も出奔のその責任を感じたようですし、この為だけに何度も来られたら困るから一度で支払いましたよ」
「分かった。聖殿、もう一度、その金貨を仕舞ってくれ」
「分かりました」
陛下に言われて、山積みの金貨を一瞬の内にボックスに入れると、貴族達が騒ぎ出す。
「静かに陛下の御前である!」
偉そうに言うが、この人が新しい冢宰だという。その新冢宰が。
「質問。宜しいでしょうか?」
「なんでしょうか?」
「エルフの女王を一体どこで見つけたのですか?」
「ああ、女王は人身売買の犯罪組織に捕まっていましてね。たまたま、別の仕事で女王を見つけたのですよ。これは冗談無しで、一切合切、全く情報を知らなく、女王をどこかにリリースしていたら、エルフの軍勢がここにやって来てもなんら不思議ではなかったですよ」
私の言葉に貴族達がまたざわめく。
「では、もし、あのエルフの使いが王宮に来なかったら?そして、陛下が貴女にお伝えしていなかったら?」
「そうですね。使いのその態度にはかなりの問題がありましたが、やって来なく、私の方に情報が無かったら、明日には、王国は、エルフ共と戦争しているでしょうね」
「あ、明日!?期限はその明日までの筈ではなかったのですか?」
「エルフ共は、我々人間を舐めていましたからね。エルフ共は『どうせ我らの女王は見つかりっこない』と、高をくくっていましたから。明日にはここを攻め込む計画を立てていましたよ」
私の話を聴いた貴族達は更にざわめいた。
「なんと!?」
冢宰もその話に驚きを隠せないでいた。
「だからこそ、私はエルフ共に破格な賠償金を要求したのですよ。エルフ共の一方的な約束にも関わらずに自ら破ったそのふざけた態度にね」
「なるほど?その賠償金の事も訊ねようと思っていましたが、そういう理由でしたか?」
「そうですよ」
「確認しますが、エルフ達は我々人間と交流は一切しないのですね?」
「そうですよ。仮に我々人間がエルフの国に迷い込んでしまったら、その人間の命が無いと思って下さい。ですので、エルフの国に通じる森は立ち入り禁止地域にした方が良いでしょうね」
「そうですな。そうした方が我々人間の為でもあるが、陛下はどう思われますか?」
冢宰は陛下に尋ねた。
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