エルフ 20
「………聖が強い理由が判った」
「強い理由?私はここに来てから魔力を得たのよ?」
「…………違う……戦闘だけ…ではない……発言力…が…強い……地位が……ある者の……発言力が…強いのは…どこも一緒……だから……聖は強い理由」
「なるほどね。全てにおいての事ね」
「………そう………それにしても……聖の父親が…そこまで…凄い神様だったとは思わなかった………まさか……この世界ではなく……全ての宇宙を……支配しているなんて…………それと…私もエルフ族は……そんな事は……今まで思ってもいない」
「でしょうね。私だって話を聴くまで、父がそこまでとんでもないとは思わなかったよ。そして、私自身の立場もね?いきなりさ、『貴女の両親は実は王様をやっています。貴女はその王女です』。なんて、言われてもさ、私自身は、何言ってんだコイツは?頭がおかしいぞ、誘拐犯か?と思ってしまうわ」
「普通はそうかもね?世の中そんなうまい話は無いわよね?大半が誘拐犯の常套手段だわ。そして、闇商人達に売られてしまうわ」
「ここは身の代金要求ではないの?」
「ただの一般市民に沢山のお金を持っていると思う?それに、誘拐犯は孤児の子供も攫っているのよ」
「あっ!?そうだった。誘拐犯は貴族や商人達の子供は狙わないのだな。一般市民や身寄りがない孤児を狙い目なんだ?」
「そうよ。ま、誘拐犯の組織は貴女達が一つ潰したから良いけど、まだまだ、そんな組織が存在しているわ」
「そうだね。昨日、私達が潰した組織は氷山の一角にすぎないわね?」
「そう言うことよ」
「さてと、もうそろそろ、イスレイくんや子供達を呼ばないとね。遅くなると村の人達が心配されてしまうわ。誘拐されたばかりだからさ」
「そうですわね。メイドに行かせましょう」
「いいえ、私が行きますよ。イスレイくんに何か言われたら、メイドは強く言えないでしょう?」
「そうですわね。分かりました。お願いしますわ」
「はい」
私は席を立ち、イスレイくんの部屋に行きノックをしたが、内から返事がない。耳を澄ませて聴けば、子供達のはしゃぐ声が聞こえてくる。これは、ノックしても夢中になって遊んでいるから聞こえないな。
この段階でメイドは立ち往生する。なんて言っても王子の部屋だ。緊急事態以外は開けれない事になっている。
私は、躊躇なくドアを開けると、イスレイくんが気付き。
「お姉さん?ちゃんとノックして?いくらお姉さんでも勝手に開けないでよ」
と言ってきた。子供達も私を見ていた。こう言われたメイドはどう切り返すのかな?私は、
「ちゃんとノックをしたわよ。しかし、あなた達のはしゃぐ声で聞こえていなかったのよ」
そう答え。更に、
「はい、もう帰る村に時間ですよ。遊んだ玩具を片付けて、挨拶をして帰りますよ」
そう言うと、
「えー!!もっと遊びたいよ」
「まだ良いでしょう?聖お姉ちゃん!」
「村にはないから、もっと遊びたい」
「ボクも、せっかく出来たお友達ともっと遊びたい」
子供達が更にチワワのようなうるうるした目で訴えかけた。
「(うっ!そんな目で訴えかけても………)」
横に振り、
「ダメよ。村の人達が心配するわ。特にキミたち2人は誘拐されたばかりでしょう?また、一緒に遊べる時間を作ってあげるから、今日はここまでよ」
そう言うと、
「本当にまたイスレイ君と遊べるの?」
「じゃあ、今度は村で遊びたい」
などと言って来た。
「分かったわ。皆の要望した場所で遊びましょう」
『はい!』
子供達はイスレイくんの部屋を片付ける。
そして、陛下達に挨拶して、リクも連れて、村に帰って行った。
利き腕を怪我をしてしまいましたので次話の更新は未定です。




