エルフ 13
私達は、宮殿の門まで来た。
親衛隊隊長が。
「我々はここまでです」
「そうですか。ありがとうございました」
『ありがとうございました』
私に倣って子供たちも挨拶をした。
親衛隊達は笑顔で応え、去っていった。
私は宮殿の門番と会話を交わして中に入った。
「聖お姉ちゃん?さっき、兵隊さんが聖お姉ちゃんの事を先生と言っていたけど?」
子供達は私と門番との会話が気になったようだ。
「ああ、私、王子様の家庭教師をやっているのよ。それを知っている兵隊さんがいてね、それで先生と呼ばれているのよ」
あの一件で、宮殿に居る一部の兵士達は私の顔を覚えたようだ。その一件で、あの上官は降格処分にされたが、上官は自ら辞職した。
「家庭教師?」
「ああ、家庭教師というのはね、個人に勉強を教えるのよ。来年に学園に入るから、その前の予習みたいなモノよ」
「勉強?わたしたちもその勉強は出来るの?」
「出来るわよ。やりたい?」
「うん!やってみたいな。わたし、勉強というものは知らない」
「そうか、そうだったわね、勉強というものは学ぶ事なのよ。ほら、先ほどまで、街並みや貴族達の屋敷を見学した後にキミ達は意見を言ったでしょう?これも観て学んで、そして、自分自身で考えて、意見を言う事もそうなのよ。そして、遊びもそうなのよ、どうやったら、相手を負かされるのかを考えるでしょう?これも学びの一つなのよ。皆は自然と学んで勉強をいるのよ」
「そうなの?」
「ぼくらは学んでいるんだ?」
「そうよ。そうね、あなた達も学園に行かせた方が良いわね。より、勉強が出来きて、将来、色々とやれるわね」
「本当に?」
「やってみたいな」
「うん、やりたい」
「………私も……学びたい」
「お姉ちゃんも?」
「………うん……私……(人間達の)勉強をしたことが………ない…故郷と………違う………事を……学びたい」
エルフがそう言った。
「そうか、なら、帰る前に少し体験をさせた方が良いわね?」
「…………いいの…か?」
「ま、ステラ先生や学園長に聴かないといけないけどね。子供達もだけどね?」
子供達は来年をメドに学園に入学をさせてあげたい。エルフは体験入学だね。
門から花壇を通ると。
「うわぁー!!凄く綺麗なお花がたくさん咲いている」
「本当だ。凄く綺麗」
「初めてこんな綺麗な花を見た」
「………私も………花は……自然に…生えて……咲くのに……ここの…花は…綺麗」
「うん、凄く綺麗。どうして、こんなにも綺麗に咲いているの?」
「それは庭師が、毎日、丁寧に世話をしているからだよ」
私がそう答えた。
「………そうなのか?………花は……勝手に……咲くもの…ではない…のか?」
「そうね、勝手に咲くわ。でもね、その勝手に咲く花をこうやって綺麗に咲かせるのが庭師の仕事なのよ。庭師は、咲く花達をどうやったら綺麗に同時期に咲かせるかを計算しているのよ」
これは長年培って来た経験だ。しかし、自然が相手だから、ちゃんと花が咲くかは、花次第になるが。
「………そうなのか?…………庭師……という…者は…凄い」
「そうだね。凄いね」
「本当だね」
しばらく、子供達とエルフは宮殿の花壇を見ていた。
「はい、皆!宮殿内に入るわよ」
声を掛ける。ここでずっと見ていれば、日が暮れてしまう。
皆はそれに気付き、私に付いて行く。宮殿の扉に着いた。
その扉を開くと。
「待ってていたわよ」
「お、お待ちしておりました」
クレアとリクが出迎えてくれた。
「えっ?な、なんでリク様が居るの?」
攫われた2人を除く子供達がリクの姿を見て怯えだした。




