エルフ １２
しばらく街を散策をしながら歩いていると。
「あれ？聖お姉ちゃん？向こうに兵士たちがいるよ。それに今までの建物と違っているよ？」
「あっ、本当だ。どうしてなの？」
子供達でも気付く程、建物の形状の違いが分かるか。
「あちらは貴族達が住んでいる地区なのよ。一般市民と区画が違うのよ。で、一般市民は許可がないと、あの兵士たちに捕まってしまうのよ」
「聖お姉ちゃんでも？」
「そうよ。無許可で行こうとすると、捕まってしまうのよ」
「そうなんだ？」
「でも、観てみたかったな？」
「わたしも」
「わたしは怖いから観たくない」
「ぼくも同じだよ」
子供達がそれぞれに意見を言う。
「そうね。でもね、今回は行けるわよ」
「そうなの？」
子供たちが驚く。
「ええ、貴族区画の向こうにお城があるのよ。私達の街の散策のゴールはそのお城なのよ」
「お城？」
「聖お姉ちゃん？わたしたちはお城に行くの？」
「そうよ。お城にも見学に行くわ。その許可を取ってあるのよ」
そう言うと、子供達は喜んだ。そう滅多に行けない場所だからね。
「そして、エルフ、貴女を陛下達に会わせるわよ」
「……………そう……………聖は……………ここの王族と………知り合い………だった」
「そういう事。ま、ここの王族は優しいから大丈夫だよ。なにかあったら、守ってあげるわ」
「…………わかった………信用する」
「ありがとう、じゃ、皆行くよ」
私達は貴族区画に行くと、親衛隊隊長が出てきた。
「お待ちしておりました」
と頭を下げてから。
「陛下の要請に応じて、お迎えにあがりました」
「えっ？そうなのですか？」
これには私もびっくりした。
「はい、貴方方が無事に宮殿まで着けるようにと」
「これは、ご配慮ありがとうございます。では、お願いします」
「はい」
親衛隊隊長を先頭に私達は貴族区画を通過する。
「聖お姉ちゃん」
「ん？なに」
「なんで兵隊さんたちが付いているの？」
「私達を無事にお城まで連れて行ってくれる為だよ。貴族達は、平気で私達に絡んで来るからね。親衛隊隊長が居れば、絡んで来ないのよ。最も、私もそういう輩が出ないようにしてあるわ」
私一人だった場合は威圧感を発して、貴族達を牽制させる。そして、私は、ギルドランクⅩなので、貴族達を捕縛出来る権限を持っている。
「そうなの？」
「そうよ。だから、あなた達は気にせずに貴族の屋敷を見れば良いわよ」
『はい』
子供達とエルフは歩きながらも、貴族屋敷の外観を見ていた。
その間、兵士達は何も言わない。
貴族区画を過ぎて、少し休憩をした。
「貴族達の屋敷の街並みはどうだった？」
質問した。
「綺麗だったけど、なんか…………」
「うん、なんか変な感じ」
「そうだね。ぼくは、あれ？人がいない。と思った」
「うん、本当に住んでいるのかな？とぼくも思ったよ」
子供たちは困惑気味だった。
まあ、あれほどまでに使用人達でさえ屋敷から１人も出て来なかったのが、かえって不気味だったな。
「それは親衛隊が居たからだよ」
「聖お姉ちゃんが言ったように、おじさんたちが居たから周りが静かだったの？」
「ああ、我々、親衛隊は陛下にお仕えしている兵士なんだよ。我々にちょっかい出せば、いくら貴族でも言い訳が通らないのだよ。だから、貴族たちは出て来なかったのだよ」
「そうなんだ？おじさんたちは偉いんだね」
子供たちは純粋で尊敬する眼差しで親衛隊達を見ていた。
当の親衛隊達は少し照れていた。
宮殿まで後少しだね。
