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エルフ 9

 ~聖が去った後の議会室~


『へ、陛下。あの者は一体何者なのですか?』


『何故、陛下やクレア王女様と親しいのですか?』


『何故、あの者にエルフ族を任せたのですか?失敗したら、どうするのですか!』


 貴族達から次から次へと駆け足のように質問が飛び出して来る。


「黙れ!!聖殿は失敗はせん!!お前達がやるよりも遥かに成功する!!」


「それに、エルフの女王を見つけたあと、エルフの国には貴方方で誰が行くのですか?エルフ達はわたくし達王族を人質に取るとはっきり言っているのですよ?貴方方はそれが判ってて騒いでいるのですか!」


『………………』


 国王とクレアがただ喚く貴族達を黙らせる。


『し、しかしながら………あの者とて、我らと同じ事のように 「いいですか!彼女は、火と闇の貴族を潰すきっかけを作った張本人なのですよ。貴方方は、火と闇の貴族、両方を同時に潰す事が出来ないでしょうが、彼女はそれをやり遂げたのですよ。そんな彼女が、エルフの国に行ってもエルフに後れをとる筈がありませんよ」


 クレアは懲りない貴族の口を黙らせ、聖の実力を言う。クレアは、聖はエルフ族が束で掛かって来ても、勝てると確信している。それに聖にはミカエルという強力な天使が使い魔が付いているから、聖の負けは有り得ない。更に国王が、

「あの一件でいくつのも貴族達が没落したと思っている?お前達、よもや忘れた訳ではあるまいな?他人事ひとごとだと思うな!それと、聖殿に手を出す事は、火と闇と同じ運命を辿ると思え!!」

 貴族達に対してとんでもない事を言う。


『なっ!?』


『そ、それ程までに、陛下は我々よりもあの者を信頼しているのですか?』


 発言した貴族の声が震えている。


「そうだ!」


『ッ!?』


 国王が肯定した途端に、何人かの貴族達が落胆し下を向いた。国王を信じていたが、裏切られた気分だった。無名で、コックの服装をした女性を信頼していると答えのだからだ。更に国王は言う。


「聖殿は最早この王国になくてならない人物だ!政治力、軍事力は、将来、ここに居るお前達よりも群を抜くだろうな。たとえ、今、お前達、全員が、兵士達をも使って、聖殿に()()を売っても、聖殿が勝ってしまうだろうが、お前達が、聖殿に喧嘩を売った時点で、お前達の一族郎党の人生は終わるがな」


 国王はそうはっきりと言った。

 コレは、脅しでも何でもない、聖という人物に手を出した時点で、自分だけではなく、自分の一族郎党まで、死を承る事になる。

 しかし、貴族達にとってはそんな事は前代未聞な話だ。貴族達にしたら、ただの平民の女性に手を出した時点で、一族郎党までの人生が終わりなんて今まで訊いたことがなった。貴族達は周辺の人々と話してざわつく。


 これは国王とクレアは聖の正体を知っているからだ。

 この王国で祀り上げている神聖王の娘だという事を。

 その神聖王の娘に何かあったら、王国は一大事だ。最悪の場合、神聖王の怒りに触れる可能性があるからだ。そうなれば、このファーネリア王国は国民諸共消滅して、後はなにも無い大地になってしまうだろう。


 国王とクレアはそう思っている為に、貴族達に釘を刺したが、果たして、国王の言葉を信じている貴族達はどの位居るだろうか。


 ~カフェ~


 大事な話があるので、アルバイトの人達は別の場所に行ってもらった。


「ジェーン先生は私の料理を食べるのは初めてですね?」


「そうですね。本当に美味しいですね。以前からリリカとステラが聖さんの料理は美味しいと言うで、家族で食べにカフェ(ここ)に来ようと思っていましたが、私がなかなか時間が取れなかったのですが、食べられて良かったです。今度は、改めて、家族と来ますね」


「はい、お待ちしていますよ」


「はい、楽しみにしています」


「なあ?聖、先生って、どういう事だ?」


「この2人は学園の教師をやっているんだよ。副業でギルドもやっている。ステラ先生は私達の担任教師さ」


「えっ?教師?この国は公務員が副業をしても良いのかよ?」


「ここは、日本という国ではないんだよ。公務員という言葉は存在しない。この王国は教師をやっていても副業が出来るんだよ」


 私の指摘に、


「あっ!?」


 と、言った。リョウタは日本に居る感覚で話していたのに気付いた。


「教師は給料が少ないんだよ。ギルドをやらないと生活が出来ない」


「それに学園長もギルドに所属していますよ」


 ステラ先生とジェーン先生がフォローする。


「は!?学園長もギルドに入っているのか?そんなに教師という職業は給料が少ないのか?」


 リョウタはびっくりしていた。


「学園長は違いますよ。学園長はギルドにとってもなくてはならない存在ですから所属して居るのですよ。さて、本題に入りましょうか?」


「そうね」


 話のトータルすると、マリア達が森でクエストをやっている最中いつも以上に森全体が騒がしいと。そしてヒルドさんが、『しばらく、森でのクエストをやらない方が良い』と言ったので、マリア達は引き上げてきて、午後はクエストをやらないと決めたそうだ。


 ママ達も、人身売買達と客らの容疑者をギルド本部に送り届けた時に、本部の人にやはり森の現状を早急に調べてくれと頼まれた。

 行ってみると、やはり、森がいつもよりも騒いでいた。だが、これ以上の原因は判らない、お昼になるので、一端カフェに戻って来て、食べた後に、マリア達や他のギルドの者達と情報交換をする予定との事だった。

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