転入初日6
あー、すっきりしたな。
「オイ!マリアの対戦相手を気絶させるな。この後どうするんだ?」
ステラ先生が渋い顔をした。
「えっ?」
「お姉ちゃん!!」
「ん?」
「ここに正座!」
「はい?」
「良いから正座しなさい!!」
「は、はい!」
俺はマリアの前で正座する。
「お姉ちゃん!周りを良く見て!」
周り?
マリアに言われて周りを見回すと。
あっ?生徒達が一カ所に固まって怯えている?エリサは呆けている?コレ、全て俺のせいか?
「状況が分かった?」
「はい………ごめんなさい………」
マジで反省だな。
「で?お前の対戦相手はまだ伸びているぞ?どうするんだ?」
ステラ先生が指摘する。
「勿論、お姉ちゃんに相手を務めてもらいます」
俺にか?ま、俺が気絶させたのだからな。仕方ないか。
「分かった。マリアの相手をしよう。先生?宜しいですか?」
俺が改めて聞く。
「ああ、構わん。やれ」
「ありがとうございます。マリア、やろうか?」
「うん。いっくよー」
マリアは生き生きと俺に仕掛けて来た。
全く、やりやすいからといって、張り切っているな。
マリアはフレア・アローを考えもなしで打ち込んでいる。
そして、
「ハァーハァー」
マリアの魔力が尽きた。
「マリア?張り切り過ぎだ」
「ごめんなさい」
「はい、チェックメイト♪」
「あっ!?」
「そこまでだな。次の番号の奴ら来い!」
ステラ先生が、次の生徒達を呼ぶが、おっかなびっくりだった。
俺達は無視してエリサの所に戻った。
「聖?貴女は一体何者なのよ?私達の年で1億の魔力量なんてあり得ないわよ」
「ん?ただの孤児だよ。山奥からひょっこりと出て来ただけさ」
もう、勝手に設定を作る。
「こんな魔力量を持っていて、今まで隠れ住んでいたの?信じられないわ」
「ま、私は田舎者でさ、山には魔物や獣がいるから、どうしても強くならないいけなかったんだ。言葉使いも意識していないと荒くなるし、キレると、男言葉にもなるよ。平気で自分の事を俺と言ってしまうからなぁ。マリアに注意されてしまうんだよ」
「そうだね。お姉ちゃんは私達の時は結構普段でも言っているよ。馴れたけどね」
「そうなのね?それは仕方ないわ。けど、美人だから、もったいないわね?」
「でしょう?だから、私が指導して直しているのよ。でもなかなか直らなくて」
「ごめんね。私も頑張っていたけどな?難しいんだ」
「クセなのね?」
「まあね」
そして、授業が終わった。先生は各自の実力が分かったと言っていたが………。ま、気にしても仕方ないな。
で、生徒達は俺の魔力にびびって、近付いて来ない。この日は、貴族のエリサだけが友達になっただけだった。
お昼時間になり、昼食の時間になった。生徒達は、学園の食堂で食べるのが殆どみたいだ。
俺とマリアは俺が作った弁当があるからな。このまま自分達の部屋で食べても良いか?
と、考えていると、エリサがやってきた。
「貴女達、食堂に行かないの?」
「うん、お姉ちゃんがお弁当を作ってくれたからね。お姉ちゃんは料理が上手なんだ。ウチのカフェが繁盛しているのはこの為なのよ」
「へぇー?そうだったのね?意外ね?」
「意外でもないよ。孤児だったからな。自分で作らないと食べられないでしょう?」
「あっ!そうよね?なら聖のお弁当を食べてみたいわ」
「ん、良いよ。はい。私の分は作るから、はいこれ、マリアの分。……出来た」
「えっ?」
エリサがぼう然としていた。
「ありがとう。食べよう」
「えっ?い、今なにやったの」
「(空間で)料理を作っただけだ」
「早くない?」
「うん、早いよ。でも、出来ているでしょう?」
「そうよね?それが不思議だわ」
「良いから食べよう。私、お姉ちゃんのお弁当食べたいのよ」
ということで、3人でお弁当を食べる。エリサが一口食べて。
「あっ美味しいわ」
「でしょう?お姉ちゃんの料理は美味しいでしょう?」
マリアは胸を張った。
「そうね。聖のおかげでカフェも美味しくなっているのでしょう?行ってみたいわ」
エリサの言葉で、俺達はカフェに行く事となった。




