人身売買を阻止しその組織を壊滅せよ 6 ~聞き取り 元同級生 1~
この家出エルフ女王は後回しとなった。はっきり言って、国家間レベルの話になる。
そして、最後、元同級生だ。
元同級生は呼ばれて、私と向かい合いの椅子におそるおそる座る。
【さて、飯は旨かったか?】
【ああ………】
【そうか!!そいつは良かったな!!】
私は元同級生に向けて、魔法玉をぶつけた。
元同級生は、魔法玉により煙りに包まれていた。
そして、煙りが晴れると。
「な、なにをするんだ!テメー!」
「フム、コレで、お前もこちらの言葉を話せるし、私達の言葉が判るようになったな」
「うん、言葉が判るわ」
「あっ?」
元同級生は自分の体をキョロキョロと見回していた。
しばらく待って。
「冷静になったか?予告するとお前は必ずビビるからな」
「あ?な、なんで判るんだ?」
「お前は昔からそうだっただろう?」
「は?お前は、オレと会った事があるのか?」
「あるよ。丁度良いな」
ママが来た。
「聖、サトルが来たわ」
サトルが、ママの後ろから現れた。ママはさっさと戻って行った。どうやら、他の被害者への準備で忙しいようだ。
「よっ、姉貴」
「お兄ちゃん」
私の代わりにマリアが答えた。
「よっ!私達が気になったか?」
「まあな?大捕り物だろう?そりゃあ気になるよ。で、成果は?」
「そこに居るだろう?元同級生が」
「は?な、なんで『伊勢リョウタ』が居るんだよ?姉貴!」
「私もびっくりしてな?今、それを聞き出そうとしたが、お前が丁度良く来たんだ」
「なるほどな」
その伊勢リョウタは。
「な、なななななな、なんで、聖が居るんだよ!!お、お前は死んだ筈だろう?ここは天国か?オレはいつ死んだんだ?それに姉貴って?」
私達を交互に指を差していた。
「落ち着け!俺達は生きているぞ!それに俺の名前は山瀬サトルだ。そして、姉貴が山瀬聖だ」
「は?」
今度は目が点になっていた。忙しいヤツだ!!しばらくして正気に戻り。
「ど、どういう事だよ?」
「簡単に言えば、私達は、神によってこの世界に転生したが、何故か私達の魂が2つになり、この私、山瀬聖と」
「この俺、山瀬サトルになっていたんだよ。で、姉貴も俺も共通の前世山瀬聖の記憶を持っているから、お前の事を知っているんだよ」
「…………し、信じられない」
「お前が信じられなくても、真実だよ。私達はこの世界ではお互いに別々の道を歩んでいる。で?お前は一体何故この世界に居るんだ?」
「し、知るかよ!気が付いたら、この世界に居たんだよ!そして、訳が分からずに、彷徨って、やっと小屋を見つけたと思ったら、訳が解らない連中に捕まるし、この世界の言葉も解らない。ろくな不味い飯しか食えない。そして、お前らに会ってこうして居るだ」
「そういや、リョウタのヤツ、ここの言葉を喋っているが?」
「私が魔法でそうしたよ。リョウタ本人は日本語で喋っているがな」
「なるほどな。って、姉貴の隣に耳が長いヤツが居るぞ?まさか、エルフなのか?」
「そうだよ。コイツと同じく捕まって居たエルフの国の女王様だよ」
私がそう言うと、サトルはびっくりしていた。ま、当然な反応だな。
「…………そ、そうか?エルフの女王様か?姉貴達が乗り込んで良かったな?」
サトルは投げやりな言葉を言う。
「まあな。さて、リョウタ?」
「な、なんだよ………」
「お前、気が付いたら、この世界に居たと言っていたな?では、こちらに来るその直前で地球で、何をやって居た?」
「…………」
黙ってしまった。
「そういえば、私達が死んだのはお前の家からの帰り道だったな?」
「そうだなあ。結構、嫌な思い出だぜ?急に白い物体が現れて頭に降って来たから、避けれなかった」
「ああ。そして、私達はほぼ即死だったからな」
私とサトルは死んだ時の事を話していた。
「…………俺は……自殺をしたんだ。飛び降り自殺をな」
「ほう?自殺を?何故だ」
私達が死んだのに、お前まで死ぬって、お前はアホか?命を大切にしろよ!!ま、何らかの理由でコイツは生きているが。
「………親がお前は家業を継ぐがなくてもいい。お前は好きな職業に就け!この店は俺達の代で終わらせると、言われて…………そのショックで生きる価値が見いだせなくて………」
「なるほどな?お前の家は、ケーキを中心に商売をやっていたな?」
「ああ、なのに!オレには継がせないと!」
「ふーん?そうか、お前に心当たりは?」
「無い!」
リョウタはきっぱりと言うが、コイツの家は開店以来からの完全な手作りを売りにしている店で街では知らない人間は居ないという有名店だ。
という事は……………?




