人身売買を阻止しその組織を壊滅せよ 1
ミカ姉ぇとの戦いから数日後。夜22時を回った時。私達は、とあるBARの前にいた。
ママの指示でBARを取り囲むギルドメンバーに兄さん、マリア、リク、ルエルさん、ヒルドさんのがその班に加わる。
そして、中に入るのは私達(私、ミカ姉ぇ、パパ、ママ、ステラ、ジェーン)6人とベテランのギルドメンバーの数人だ。
「じゃあ、聖。頼んだわよ」
「はい。【世界の時が止まる】!!」
時間停止の呪文を唱えた。
「なっ!?」
「まさか?本当に時間停止呪文があったのか?」
ベテランのギルド達がざわつく。
「静かに!これで聖の実力が分かったでしょう?この子とそのパートナーが本気になれば、依頼掲示板の依頼が全てなくなってしまう事を?」
ママが言った。ベテラン達を同行させたのがこの理由だ。私がギルドに入った以来、全くクエストに行っていないのにその私がいきなり事実上最高ランク、Xランクに昇格したのを他のギルドメンバーが疑問視した事だ。誰もが帝に成れば自動的にギルドランクがXランクになってしまう。私のランクは最低ランクのEランクからの異例のランクアップだからだ。
ギルドマスターであるママは、メンバー達に説明をしたが、信じてもらえずにいたが、この大掛かりな依頼が飛び込んで来たので、ギルドメンバー達の全員を参加させ、この証拠としてベテラン達を参加させた。
「あ、ああ………」
「こんな魔法を使われたら、本当に1日で依頼全てが無くなってしまうな」
「マスターの言う通りだった。というより想像以上に遥かに凄いぞ………」
「実際に目の当たりしないと信じられない光景だ。俺達以外、皆止まっているからな」
そんな話をしながら、BARに入ると、まだこれからが本番だという感じで客が沢山居て、ジョッキ片手に客同士で話をしているのだろうか?
「この中には一般客も居そうだな?」
パパが言うと。
「そうですね?どうしますか?」
ジェーン先生がママに訊ねた。
「そうね。どうせ、時が動き出して、騒いで逃げても外のギルドメンバー達に捕縛されるから、全員、拘束しておきましょうか?その前に地下に続く扉が在るはずよ。それに客の中に組織の人間がいる筈だわ」
「ここにいるバーテンダーは絶対に組織の人間だよね?」
「そうね。ミカエルさん、ここに居る全員を拘束して下さい」
私がママに言うとママはミカ姉ぇに拘束をお願いした。
「分かりました」
ミカ姉ぇは光りの輪で拘束した。
「すげぇな?あっという間に拘束したぞ」
「ああ、拘束するのには時間が掛かるのに、あっという間か………」
「オイ!これをやられたら俺達は本当に廃業だぜ?あの2人がギルドに四六時中居れば、討伐や犯人探しのクエスト関係なら、ギルドが十分保つからな。本当なら俺達はこの作戦に必要ないぞ。本来ならこの2人でここを制圧が出来るからな…………」
「そうだな。これは圧巻だ。この場に居合わせた俺達は、知らないヤツやこれから入ってくる新人共に注意喚起をしなければ、この先はこのギルドでは食ってはいけないぜ」
と、ベテラン達は話し合っていた。
「オイ!リリカ。アイツら、漸く、聖やミカエルさんの実力を分かって来たようだぞ?」
「そのようね。私がそう言っているのに全く聴かないのよね?」
ステラ先生がママに言うとそのママが溜め息混じりにそう言った。
やっぱり、私達が現実というモノを見せなければいけないと理解が出来ないのであろうね。
そして、客全員を拘束して、地下に続く階段の入り口を見つけて、全員が階段を降りると廊下に出た。その廊下には用心棒だろうか?屈強な男達が既に得物を出して佇んでいる。
「既に得物を出しているとは、コイツらは頭が悪いな?いかにも悪い事をやっていますと言っているな」
「そうですね。それにこの廊下は広くないので下手をしたら、同士討ちをしてしまいますよ?」
「別に構わないのでは?コイツらの見た目の人相は頭が悪そうよ。ま、コイツらも拘束しましょう」
ママは先生達の言葉を肯定して、ミカ姉ぇに拘束を頼んだ。
「分かりました」
ミカ姉ぇは、また、あっという間に用心棒達を光りの魔法で拘束した。
「さて、いよいよね?」
「その前にプラン変更」
「えっ?まさか魔力が限界なの?」
「違うよ。配置に付く前に被害者の人数と安全確保をしたいのよ。せっかく止まっているからさ」
「確かに被害者の人数を確かめる事が重要だな。敵に人質にされると俺達が困るな」
「それに被害者の安全確保も大事ですね。動き出したら、また恐い経験をするのですから」
「そうだな」
私達は乗り込むプラン変更を打ち合わせをした。
「これで行きましょう。被害者の安全確保が第一よ!」
『はい!』
私達は人身売買をやっている会場に乗り込んだ。




