聖対ミカエル再び 2
聖とミカエルが戦っている時。
残されたリリカ達は心配そうに2人が戦っている方向を見ていた。
「お姉ちゃん達は大丈夫だよね?どっちかが死んだりはしないよね?」
マリアが心配そうにリリカ達に声を掛けるが、それを明確に答えられる人物はいない。ただ『大丈夫だわ』。としか答えられない。
「しかし、変ではない?ミカエル様と聖の魔力が全く感じないわ?もしかして2人の戦いはもう終わっているのでは?」
エリサがそう言ったが、ルエルが否定する。
「いいえ、まだ、お2人は激しく戦っていますよ」
「えっ?だ、だって、2人から全く魔力が感じていないわ?これって、もう終わっている証拠では?」
「いいえ、魔力がかなり高まっていますので、普通の人間達がお2人の魔力をまともに感じ取ったら頭や心、精神心に支障をきたします。よって、本能的にお2人の異次元的魔力を感じ取るのを拒否しているのです」
ルエルが説明をした。
「これで俺達は2回目か?」
「そうね」
「ああ」
ガイが言うとリリカとステラが応える。
「えっ?」
「に、2回目?」
「ど、どういう事です?」
「1度目はマリアと聖が戦った時に経験したわ。あの時、私達は、マリアの魔力が解らなかったの。あの時は王妃様が説明してくれたわ。あの時と同じ現象だわ」
知らない3人に対してリリカが説明をした。
「私がお姉ちゃん達同じ現象を………?」
マリアはあの時の戦いで自分自身があんなふうになっていたなんてとても信じられなかった。
「マリアさんの魔力は人間としては並外れています。マリアさんも魔力コントロールが上手くなれば、今、戦っているお2人の魔力を感じ取る事が出来ますが、先ほど言ったように精神心面も鍛えないと廃人になってしまいますよ」
ルエルがそう指摘した。
マリアの精神心面は他のメンバーの中では1番脆い。いくら魔力量が多くても、精神心面が脆くては、戦えない。精神心面の克服をするには経験は重ねるしかない。
○●○
私、ミカエルは、聖に戦いを挑みましたが、目下苦戦を強いられています。聖が対私用対策をこんなにもやってくるとは少し予想外ですが、それはそれで嬉しく思いますね。妹の成長振りを肌で感じて戦えるのですから。
私も姉として威厳を出さないといけませんね!!
「第2ラウンドだ!!」
そう言って、聖が突っ込んできました。私は慌てて魔法を使って、聖の突進を止めようとしましたが。
「食え!ムラマサ!!」
聖の魔武器であるムラマサが私の魔法攻撃を全て柄へと吸収していきます。まさに魔法を食べているようでした。そして、その吸収したその魔法で刃として利用されるのですから敵としたら屈辱しかないですね。
私もそうです。
ただ聖の魔武器に魔法を与えているだけですからね。
これで私の魔法攻撃は全て封じられました。あの魔武器の容量がどの位で限界をむかえるのか解りません。限界まで魔法を与えたとしても、私の方が限界をむかえてしまいます。
これは厄介な魔武器ですね。
ならば、補助魔法と私の剣の技術で戦いましょう!私の剣の腕前は聖よりも遥かに上ですから。
魔法攻撃を多少喰らっても私の鎧は耐えられる筈です。
私はエクスカリバーを持って、聖を迎え撃ちます。
聖は急に進路変更をし更に高く宙に飛び最高地点で一気に私に向かって剣を振りかざし急降下して来ました。
この技は以前対呂布戦で見せた技です。一度見た技は私には通じません。いくら降下のスピードを上げてもです。
聖の攻撃間合いを抜け出し、技が終われば隙が出来ます。そこに攻撃を加われれば、私がかなり有利に動きます。
私達はずっと空中で戦っていました。私に躱された聖は勢いよくそのまま地上へと降りて行きます。私は追撃態勢取って、聖を追いかけました。着地した瞬間、次になにかしらの行動に移す時にその動きが止まっている時は隙だらけです。私はその瞬間を狙って、聖を戦闘不能にして勝利し終わらせようと考えていましたが、聖の攻撃はまだ終わってはいませんでした。
聖はそのまま地上に着地し、しゃがみ込んだ反動でまた飛び上がりました、ものすごいスピードで私の方に攻撃を仕掛けてきました。私は追撃態勢を取っていましたので、私にとっては完全なる不意打ちです。先ほどの技は、私への囮でしたね。そして、一瞬の隙をワザと作り、私に大きな隙を作らせたのです。
本当やってくれましたね。
迫る聖の攻撃に私は追撃態勢から無理やり防御態勢に移りました。もう、躱せる距離ではありませんから。
聖の攻撃をエクスカリバーで受け止めましたが、聖の攻撃の勢いがあり過ぎて聖と私は更に宙へと持って行かれてしました。
なんというパワーなんでしょうか?私は聖の攻撃に驚きを隠せません。
驚いていても仕方ありませんので、聖の刀を弾き、その勢いで聖も飛ばし間合いを作りました。今度はこちらの攻撃ですよ!聖を休ませる訳にはいきません!私も疲れていますが、それは回復魔法を使って疲労回復をさせますよ。
私は聖に向かって剣を振るいました。聖は一本刀を失っています。
もう勝負を決めましょう!!
私は聖に斬り込みます。
聖は魔武器を利き手の右に持ち替えて応戦しています。しかし、私の剣撃の方が速く、聖の鎧にキズをつけますが、聖の体まで届きません。おそらくは、私のエクスカリバーの鋼よりも堅い金属を使用して作った鎧ですね?しかも、鱗状にしてあるので上手く斬れません。刃が鎧で欠けていく感覚です。ダメですね………何度も同じ所を斬り付けないとこの鎧は壊れませんね。
そう思いながらも聖に攻撃をしますが。聖は剣撃と魔法攻撃を同時に私に仕掛けて来ました。
くっ!私が魔法攻撃が出来ないから、聖は見せつけているように魔法攻撃を容赦なくやって来ています。私も魔法攻撃で聖の魔法攻撃を全て撃退しようと打ち出しましたが。
「食え!ムラマサ!」
聖は刃が出ているにもかかわらずムラマサの能力を発動し、私の魔法攻撃の全てを吸収してしまいました。これは完全に予想外です。柄から刃が出ている限り魔法を吸収が出来ないと踏んだのですが、その予想は見事にハズレてしまいました。そして、私は防ぐ手立てを失い、聖の魔法を喰らってしまいました。この時ばかりは、防御結界を張って発動しておけば良かったと後悔した。
一度勝った聖を相手に過信していましたね。
使い魔召喚の時はお互い全く魔法を使ってはいなかったですね。おそらくは、結界を張っていたとはいえ、私達が暴れれば、周りが只ではすまないと聖が思って、魔法無しの勝負に私を誘ったのでしょうね。もし、聖が魔法を使っていれば、あの時の戦いの勝敗も判らなかったでしょう。
「がはっ!!」
攻撃をもろに喰らい、不覚にも吐血してしまい。エクスカリバーを地面に突き立てて、ダメージがある私の体を支えています。
聖がやってきて。
「ミカ姉ぇ?まだやる?」
と、私に聞いて来ました。
私は私の体と武具を調べました………………これは私の戦闘不能ですね。
私は首を横に振って。
「参りました」
と、答えました。私の完敗ですね。
でも、次は、勝ちますからね。覚悟をして下さい。
書いていて、『あれ?これって、聖がムラマサがある限り勝っちゃうよなあ?』と思ってしまいました。(しかも、鎧もあるフル装備なので)
本当は引き分けにして、戦いの中で魔力の消耗が激しい指弾術に変わる新技を披露する予定がなくなってしまいました………。またいずれ出します。
さて、魔武器ムラマサは、持ち主の聖の魔力を一切喰わずに敵の魔力・魔法を喰ってしまうという魔武器です。ですから、聖と敵が魔法攻撃で撃ち合っていても全てムラマサが敵の魔法攻撃を全て喰って(吸収)しまい、敵が防御結界を張っていない限り、被弾していまいます。敵にとっては嫌な魔武器です。
最早、ムラマサを持っている限り、聖には魔法攻撃が効かない事になります。
ムラマサが魔力魔法を貯めておける容量の限界は、ぶっちゃけまだ考えていませんが、とりあえずは持ち主である聖の魔力量と同等ですかね。
※次の更新は来週の月曜日の予定となります。




