帝の定例会議 聖、帝デビュー 5
G盗賊団の殲滅は、全帝から王国の軍隊に主導権が渡った。
次の議題に移った。
「次の議題です。勇者召喚です」
「やはり、勇者召喚を行うのじゃな?」
学園長がクレアに声をかけた。
「はい。どうしても勇者召喚を行わないといけない事態になって来ています」
「ほう?どんな事態じゃな?」
「はい、最近、ナチ帝国が不穏な動きが活発化してきています」
「ナチ帝国か………あそこは昔からの軍事国家の軍事政治じゃ。この王国に戦争をふっかけたのは数知れずじゃ。その為、王国の防衛の為に、ワシらも勇者召喚を行ったのう」
懐かしむように言った。
「そうです、その再現を早めにします」
「そうはいうものの、王女様?私が聴いた話による所、昔、勇者召喚を行った魔法陣はかなりの魔力量を注入しなければ動かなかったと聴いたわ。今はどうなるのですか?」
光帝が質問した。
「そうですね。魔法陣は、その昔の魔法陣を使おうと思っておりますよ。あっ、メンテナンスはしっかりと王家で行っておりますわ」
「先ほど光帝がかなりの魔力を使うと言いましたが、どの位の魔力量が必要になるのですか?」
水帝が質問した。
「魔力量は100億以上必要です。だからこそ、今、言うのですよ。先ほど、ナチ帝国が不穏な動きと言いましたが、実はこれは表には公表してはいません情報です。この間、断絶した闇の貴族と火の貴族の両屋敷から使用人達全員が行方不明になったと公表していますが、実は、これは、ナチ帝国の犯行です。ナチ帝国は、他国の人間達を攫っては、攫った者達を奴隷にして強制労働をさせているという情報があります。ナチ帝国にどういう目的が有ろうとも、おそらく、我々にとっては、ろくでもない事でしょうね?」
「……………」
ママは沈黙している。
「魔法陣に100億の魔力量にナチ帝国の不穏動きか?どちらにせよ、私達にとってもとんでもないわね?でさ、聴きたいのだけどさ?もし、全員で、魔法陣に魔力量を注入した場合でも、普段と変わらずに普通の仕事に帝のクエストにレポートをやるの?そうなれば、私達ってさ、まともな睡眠時間があるのかしら?ナチ帝国ではなくても、私達はかなりの労働時間を強いられるわよ?最悪は帝全員が全滅してお陀仏だよ?」
私が指摘すると、クレアと他の帝達が動揺し始めた。ブラック企業も真っ青な労働時間だ。
「まさかと思うけど考えていなかったかい?」
「は、はい………そこまでは………」
クレアが落ち込んでいた。
「そうだね?良い都合しか考えていなかったのは仕方ないよ。だから、魔法陣への魔力注入は、何組かのグループを作っての当番制にしてやって行くしかないよ?それと、注入中はレポートを制限した方が良さそうだしね」
私が提案する。
「そうですね?帝の仕事はクエストは毎日ある訳ではないですが、魔力を注入する帝はクエストをキャンセルして、他の帝に代理を立てるしかなさそうですね」
「そうだね。明確な理由があれば、依頼者も納得すると思うわ」
「くっ!」
全帝が悔しそうな声を上げる。
「王女様、勇者召喚日はいつになる予定ですか?それが解れば魔法陣に注入する開始日が解ると思いまして」
全帝が言う。
「その前にここに居る帝の魔力量だ!全員が最低でも1億以上あるのだろうな?」
雷帝が言ってから私を見た。
私は魔力を押さえているからな。
「なるほど?一流である帝の貴方は私の魔力量を見抜けてはいないと?」
「な、なんだとう!!」
「雷帝?貴方?私が言った事をもう忘れたのですか!!」
クレアが怒っている。その証拠に自分の事を『わたくし』ではなく『私』になっているからだ。
「い、いえ………そんな事はありません………」
声を荒げたり、小さくなったりと忙しいな?
「ならば、何故、貴方は創帝を見たのですか?創帝はこの私と地帝、拳帝、火帝、時帝、空帝の6人が推挙した人物ですよ?その創帝の魔力量が1億以下の筈がある訳が無いですが?」
「そうじゃよ。ワシは最早、1億の魔力量は無いがのう。創帝の魔力量や潜在能力はおそらくこの中では1番高くなる筈じゃ」
「「なっ!?」」
雷帝と全帝が驚く。
「当たり前だな。創帝を冠した時点で、コイツの能力の高さを感じ取らなくてはな」
ステラ先生が言った。
「創帝の能力の高さだとう!?」
雷帝が絡む。まだ納得が行かないようだ。
「ならば聞くが、この帝の中で、創帝以外で創造魔法を使える者が居るか?」
『……………』
全員が黙り込む。
「居ないだろう?時間という特殊魔法を使える私も使えないんだ。創造魔法はそれだけ難しい魔法なのさ」
ステラ先生はそう言った。時間魔法という特殊魔法が使える先生の言葉には説得力がある。
「創造魔法は時間魔法と並んで難しい特殊な魔法じゃ。会得をしようと思っても出来ぬ。これらの魔法はおそらく最初から生まれ持ってきた者が使える限定の魔法じゃろうな?まあ、まだ、詳しい研究がされていないので、ワシの仮説じゃがのう」
「あー、地帝の言う通りかもな?時間魔法は割と自然と出来た感じだな。他の特殊な魔法は使えるか色々と試してみたが無理だったな。お前達もそうだろう?一般的な魔法も得意な魔法と不得意な魔法があるだろう?それと同じだが、特殊魔法は魔力量の消費は一般的な魔法よりも多いぞ?私の場合は時を数十秒止めるだけでも最上級魔法を何発も連続で撃っている状態だからな?それを踏まえて言えば、創帝の魔力量が1億以下なんて有り得ないだろうが!」
「……………」
雷帝が黙り込んだ。
「雷帝?黙り込むという事は反論がないんだな?お前は、王女様から注意を受けたのにもかかわらずに、また、新人の創帝を軽視するとは何事だ!私達は一流の者達が集まった帝だぞ?その新人も既に魔力も魔法もその能力が既に一流だという事が分からないのか?お前の考えは新人は皆、準一流以下だと思っているのか?ならば、お前は、帝失格だぞ!!」
「くっ………」
「雷帝?時帝の言う通りですよ。貴方のその態度は依頼人の人達もその態度で接しているかと、わたくしは疑っていますよ。頭を冷やして反省しなさい!!」
「はい………」
雷帝はうなだれていた。これは謹慎処分確定だな。
「えーと、話を戻します。召喚の月日でしたね?わたくし達の予定は8の月の××日を予定しております。それまでに100億以上の魔力量を溜めて下さい」
「はい。これだけの帝がいますので、余裕で100億以上の魔力量を溜められるでしょう。一ヵ月前からで宜しいでしょうか?」
全帝がそう言うが地帝がそれを否定した。
「イヤ、一ヵ月前からでは遅すぎるのう。あの魔法陣は、注入した魔力が抜けてしまうのじゃよ」
「なっ!?で、では、前回の勇者召喚はどうやって?」
クレアが驚き、学園長に聴いた。
「ウム、その当時ワシらも焦ってわい、魔力を注入したのに次の日には無くなっているからのう。じゃから、ワシらは魔力量が多い人間達を集めて一気に注入したのじゃよ。そして、100億以上になったので、慌てて勇者召喚を行った訳じゃ」
「な、なるほど?そうでしたか………。しかし、今は魔力量が多い人間達がいませんね?(聖達を除けば)」
「そうじゃな。ワシらの時代は3億以上の人間がかなりいたがのう?今は………数えるでも無いいない状態じゃな?(聖達を除くがのう)」
「となると、俺達帝は、地帝の時代に合わせれば、小粒の魔力量しか無いという事か?」
パパが言うと。
「そう言う事じゃな。2億なんて、洟垂れ小僧とバカにされた時代じゃな。ちなみ1億なぞ論外じゃよ。しかし、今、現代には何故か、2億以上の者達が居らぬのが不思議じゃよ」
学園長がそう答えた。学園長はいろんな人間達を長年に渡って見てきたから言えるんだ。
「という事は、早めに魔法陣に魔力を注入した方が良いでしょうね?」
クレアが言った。
「そう言う事じゃな。それに創帝が言うたグループ毎ならば余計にじゃな。いくらも溜まるまい」
「分かりました。今日は、ここまでに致しましょう。勇者召喚は後日改めて行います。それと創帝と創帝を推挙した5人は残って下さい。お話がありますので、では解散と致しましょう」
これで終わろうとした時に。
「王女様、待ってください!私の存在を忘れておりますよ!私の魔力量は2億以上あるのですよ!私にかかれば、魔法陣の注入なんて直ぐに終わらせてみせます!」
自信満々な全帝。だけどさ?たったの2億程度で何になるの?さては学園長の言葉を聴いていなかったな?
次回の更新予定は来週の月曜日です




