演技を終えて
私と大道芸人達は謁見の間に戻る。
陛下は玉座に座り。
「大道芸人一座よ。大変良い大道芸だ。お前達を呼んだ甲斐があった!大儀である」
「はっ。ありがとうございます。わたくし共も陛下のお褒めの御言葉に満足しております」
「ウム。さて、褒美を取らす。受け取れ」
陛下は兵士に渡しその兵士がダンさんに渡す。
「陛下、ありがとうございます」
「以上だ。食事を用意をしてある」
「えっ?わたくし共もですか?」
ダンさん達が驚いていた。まさか、自分達が、王族と食べられるとは思ってもいなかったと思う。
「そうだが。食べたくないなら、このまま帰っても良いが?」
「い、いいえ。ご一緒させていただきます」
ダンさん達は更に頭を低く下げた。
「では、参ろうか」
「ははっ」
食堂へと行くと、何故かミカ姉ぇ達もいた。理由を聞くと、バーストさんが呼びに来たようだった。呼んだ人物は陛下だった。気を利かせてしまったようだ。
えーと?ステラ先生はいないな?まあ、帰ったら、先生が好きな物を作ってあげるかな?
そう思いながら席に着くが。
「お姉さん、こっちに来て一緒に食べようよ」
と、イスレイくんが私を呼んだが、イスレイくんの席は王族が座っている席で、私達が座っている席は来賓席でしっかりと分けられていた。それに、私が王族席に座る事は出来ないし、イスレイくんが来賓席に座る事も出来ない。コレはルールで決まっている事だ。
「イスレイくん。私がそこに行く事は出来ないわ」
「えー?どうして?」
納得が行かないようだ。私が説明するが。
「お父様?ボクは、お姉さんと一緒に隣りの席で食べたいです」
「イスレイ?決まりだから我慢しなさい。食事中だけだ」
陛下がイスレイくんに言うとイスレイくんの目に涙が溢れ出て…………これはまずい。
「うわーん!!ボクはただお姉さんと一緒に食べたいのにー!!」
イスレイくんが一気に感情を爆発させて泣いてしまった。
「お昼だって一緒に食べられると思ったのにー!!うえーん!!」
更に大泣きをする。
「ちょっと、イスレイ!お客様が居るのよ?泣くのを止めなさい」
クレアが言うけど、効果なしだ。
「イスレイ?一体どうしてこんなに我が儘になったの?」
王妃様が困惑している。
「おそらくは、反抗期なのでしょうね?小さい頃には起こる現象ですよ」
「反抗期ですか?でも、どうして?」
「甘えられると思った私の存在ですね?でも上手く行かないので、ああなってしまうのですよ」
「そうでしたか?テレサもクレアも幼い頃は反抗期はありませんでしたので………」
「ああ、そうでしたか?私達は結構な反抗期でしたのでね」
「そうだったな?俺達はがぶり姉ぇにかなり反抗していたな?」
「ガブリエルに対してそんな事があったのですか?」
ミカ姉ぇが驚いていた。
「まあね。ずっと、ウチでは両親が帰って来ないし、同じ年の子供達に聞けばパパが日曜大工でこれを作ってくれたとか、ママが料理であれを作ってくれたとか。家族で国内や海外旅行に行ったとかさ。いろいろと聞かされたからね。だからかな?余計にがぶり姉ぇに対して反抗期になってしまったのは」
「そうだな?あの頃は他の奴らがもの凄く羨ましく思ったから、それで、がぶり姉ぇにあたったのさ。俺達があたれるのはがぶり姉ぇしかいなかった。それにがぶり姉ぇを追い出せば、両親が帰って来てくれると、子供が思った浅はかな考えでコトを起こして、逆にがぶり姉ぇを怒らせてしまった」
「あのガブリエルを怒らせたって?ガブリエルを怒らせれば、とんでもない事になっても可笑しくはないですよ?怒った時のガブリエルの戦闘力は私よりも高いのですよ?聖さん達は良く生きてきましたね?」
ミカ姉ぇは青ざめていた。過去に相当の悲劇が遭ったようだ。
「そうなのか?良かったな?姉貴?」
「ああ………そうだな?」
と言っても、がぶり姉ぇは、私達の乳母で、母親だ。怒ってもそんな事は起きなかったが、当時の私達にとってはもの凄く恐かった。
で、イスレイくんはまだ泣いている。クレアとテレサさんがあやしていた。




