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宮殿で披露する

 夕方、私は一度カフェに戻った。


 マリアとリクを迎えに行く為だ。


「リク?起きている?」


「はい、お姉さま。マリアさんから内容は聞きました」


「行ける?」


「大丈夫です。行けます」


「無理はしないでね?」


「はい、お姉さま」


 リクは着替えて、私達共に大道芸人達の所に行き、宮殿へ向かう。門番の人に来た主旨を伝えると、陛下から話が伝わっていると、私達を通してくれた。


 宮殿に着くと、兵士が、謁見の間に通してくれた。陛下達は謁見の間で私達と会うつもりだ。


 陛下が1人でやって来た。そして、玉座に座った。


 大道芸人達は(サトルを除く)その間は畏まって頭を下げていた。


 私達は立ったまま一礼をした。


「大道芸人達よ。良く余の要請に応えてくれた感謝する」


「はい、こちらこそ、手前どもの一座のご指名していただき誠に感謝申し上げます。陛下のお目汚しにならぬよう一生懸命に演じます」


 ダンさん達は更に頭を下げた。


「ウム、期待しておる。では、舞台上へ案内いたそう。付いて参れ!!」


 陛下が先頭になって私達を池がある広い場所に移動した。


「ここで芸をしてもらいたいのだが?」


「はい、大丈夫でございます。では舞台の準備がございますので」


「ウム」


 陛下と私達は一家が居る場所に移動した。一家は全員いた。全員が椅子に座っていた。


 イスレイくんは私の所に来て抱きついた。


「あら?マリアとリクも来たの?」


 クレアが言った。


「うん。お姉ちゃんが誘ってくれたわ」


「はい………」


「そうなのね」


「リク?顔色が優れていないようだわ?どうかしましたか?」


 王妃様がリクに訊ねた。


「は、はい………えーとですね………」


 リクは私の顔を見た。症状の名前が出てこないようだ。


「王妃様、リクは今は月モノになっております」


「ああ、そうでしたか?誰か?イスを2脚用意を」


「はっ」


 控えていた、執事達が動き椅子を運んで来た。マリアとリクがその椅子に座る。


 私も芸の準備があるので、皆と別れて、大道芸人達の所に行く。


 順番は最初にゴンザさんとニートさんの芸をやり、次に私達の剣舞をやる。メアリーのナイフ芸で、最後は私の水芸で締めるという事になった。


 私達はゴンザさんとニートさんの芸の内に剣舞の完成度を更に高める為にまた空間で練習をする事にした。


 大道芸人達の準備が出来て、ダンさんが挨拶をする。


「この度はわたくし共の一座をご指名して下さいまして誠に感謝申し上げます。わたくし共の一座は少人数でございますが、大道芸の腕前は一流でございます。皆様、心ゆくまでご堪能下さいませ。では、開演でございます」


 ゴンザさんとニートさんが出来て、2人で息があった個人別のジャグリングから始まった。


 そして、そのジャグリングの棒が2人の間を行き来する。それがどんどん加速しても2人はミスをする事もなくやりきった。2人のジャグリングが終わると、大玉に両手で乗りバランスをとっていたり、その大玉の上でまたジャグリングをしたりと、2人は芸を見せていた。


「凄いですわね?」


「ああ、大道芸を観るのは初めてだが、良く出来るな?」


「そういえば、大道芸人達をバカにする貴族達も存在しますが、この芸を見てもバカに出来ますかね?」


「いや、出来ないだろうな?出来るなら、自分達でやってみろと言いたくなるな?」


「そうですわね?観ていたら簡単そうに見えますが、実際は凄く難しいのでしょうね?それをあたかも簡単に見せるのが芸ですわね」


「ああ」


 陛下と王妃様がそう話していた。


「続きましては、ヤジリと聖様による剣舞ですが、今日が初披露となります」


 ダンさんをそう説明をした。うーん?今後、私も大道芸をやるなら芸名を付けた方が良いかな?本名は恥ずかしいわ。


 私達は着物姿で登場した。サトルはもちろん男物の着物だ。お互い、腰に差した日本刀を抜き剣舞が始まった。


「えっ?お姉ちゃん達の踊り凄く綺麗だわ」


「本当だわ。2人の息もぴったりだわ」


「お姉さま達はいつ練習をしたのでしょうね?」


「そうだね?」


 クレア、マリア、リクの3人は私達の事を不思議がっていたが、この3人は空間の存在を忘れているな?


 剣舞は、最終局面に入り、殺陣をやる。本気で斬り合いではないが、刀のスピードはお互いに速い。それらをお互い刀で受け止めている。


 そして、舞って終わった。


 皆が拍手してくれた。


 拍手を貰って嬉しかった練習した甲斐があったな。


 ま、メインで出るメアリーにプレッシャーが掛かるがそれは仕方ないな。


 舞台を降りたら、メアリーが。


「2人共やってくれたわね?私はあなた達以上の芸をしなければいけないでしょうが!」


 私達が思いの外大盛況だったので、メアリーは、激おこぷんぷん丸だった。


「ま、頑張れ。貴女なら出来るプロだから!なあ?」


「えっ?ああ……そ、そうだな……」


 サトルは困惑していた。何故なら、この剣舞を続けて行くつもりだからだ。しかし、メインのメアリーよりも喝采を浴びると次に出るメアリーがやりづらくなってしまうからだ。サトルよりも更にいい芸をしないといけないからな。そして、束ねる団長であるダンさんも順番を変更しないといけなくなった。ま、私が悩む事ではないな。


「ハァー。まあいいわ。あなた達は短時間でかなり練習をしていたものね?練習はウソをつかないわ。だからこそ、あれだけの演技が出来た。だからと言って、私も負けないわよ?」 


「ああ、そうだな。この一座のメインはまだまだメアリーだな。俺だけなら、おそらく、演技は半減するだろうな。あの剣舞は複数人でやるものなんだよ」


 そう、これは私達、舞や更夜、がぶり姉ぇとミカ姉ぇの6人でやるように作った剣舞だ。


「そうなのね?」


 そして、的の準備が出来た。


「続きましては、我が一座のメインのメアリーです」


 ダンさんの紹介でメアリーが出て行った。


 メアリーは、いつも以上に激しく踊りながらナイフを的に当てていた。負けず嫌いで大道芸魂に火が点いたのだろう。


 そして、メアリーは最後に昼間やった果物を的に2本同時投げの芸をやる。もちろん、私が指名されたよ。見事に果物を同時に当てた。イスレイくんやマリアは私の事を心配そうな顔で観ていたけど、果物が同時に当たった時はホッとして、芸が成功して喜んでいた。芸が終わると、拍手が起きた。メアリーは一礼をして舞台から降りた。


 私は残っている。


「最後は私の水芸を皆さんご覧じろ!!」


 池の水を存分に使い盛大に派手に水芸をしたのだった。


 私の水芸が終わると、誰よりも盛大な拍手が起きた。


 そして、大道芸が無事に終わったのだった。

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