カフェに王族がやって来た 5 ~イスレイくんの突然の反抗期?~
陛下達の食事が終わった。
「いやあ、とても美味かった」
「ありがとうございます。陛下」
頭を下げる。
「ところで、食べる前にカレーライスとか言っていたが、どういう食べ物なのだ?」
「はい。言葉では説明しにくいので、創造魔法でお見せ致します」
創造魔法でカレーライスを陛下達に見せる。
「これがカレーライスです」
「なるほど?ご飯の上にかける食べ物か?」
「色が茶色いですが?これは?」
テレサさんが質問した。
「はい、色んな香辛料や漢方などをブレンドしていますので、こういう色になってしまいます。しかし、カレーは体には良い食べ物ですよ?野菜や肉も入っておりますのでね」
「そうなのですか?けど、味の想像が分かりませんわ」
「でしょうね?食べた事がない人達には分かりませんね?そうですね。また一度作ってご馳走致しましょう」
「えっ!?本当に?私、カレーライスは好きなのよ」
クレアが言い出した。
「クレアは食べた事があるのか?」
「はい、聖の部屋で、あの時は神聖王様と王妃様がいらっしゃって、聖が作ってくれたのですよ。あの時も5時間以上は掛かって調理していました」
「「「「ご、5時間以上!?」」」」
「カレーライスという料理はそんなに掛かる料理なのですか?」
テレサさんが言った。
「そうですね。あの時は、これでも、作る時間は短い方ですよ。本格的に作るなら…………そうですね?1週間ですね」
じっくり煮込んで色んなダシを取ったり、カレールーを固形物にしたりと色々と手間ひまが掛かる。
「「「「いっ、1週間!?」」」」
「か、カレーライスを作るのに1週間って?そんなに時間が掛かるとはな?」
皆がカレーライスの料理で驚きの連続をしていた。
「ま、それだけ、店で出す場合は手間ひまが掛かる料理なのですよ。家庭料理のカレーライスは遅くとも30分で出来ますよ。市販品が売っておりますのでね」
「そうなのか?なんと極端な料理だな?時間が掛かったり掛からなかったり」
「アッハハハ。でも、一番作りたい料理はラーメンなのですよ」
「ラーメン?また、新たな名前が出てきたわ。一体どれだけの料理があるのよ?」
クレアは呆れている。そんな事を言ってもラーメンは美味しいのだよ。
「そのラーメンとは?」
「ああ、こういうモノですよ」
また創造魔法を出す。出したのは醤油、味噌、塩、とんこつを出した。
「コレがラーメンです」
「麺が液体の中に?それに具材も?」
「そうですよ。各種がそうです」
「だが、これはパスタとは違うのか」
「はい、同じ小麦粉で麺は作られていますが、麺の太さが違っておりますし、各種のスープによっても全く違っておりますよ。一番細いのが、とんこつの麺で、普通や太いのが味噌や醤油、塩になりますね」
「なるほど?これが出来るのにどの位かかるのだ?」
「そうですね?まともに修行したら10年以上はかかりますね。ま、幸いに私は魔法が出来ますし、母に市販品を買って来て貰えれば食べられますがね」
「そうだな。しかし、修行に10年以上とは………」
陛下が絶句している。
「料理というモノはそういうモノですよ?陛下が雇っている料理人達もそうですよ。陛下達の為に必死に料理を作っていますから。それでも、更に私以上の色んなバリエーションがあれば良いのですがね?」
宮廷料理人達の料理や味は皆が固定されている。同じレベルの料理と味だ。まあ、その腕前に超が付かないと到底出来ないが。
「そうだな?聖殿は色んな料理を作れているな。さて、長居をしてしまったな?そろそろ行こうか」
「はい」
「お父様?ボク、お姉さんと遊びたいな?」
イスレイくんはキラキラとした目で陛下に訴えた。
「イスレイ?まだ、公務が残っているからダメだ!お前にも少しずつでも覚えてもらいたいのだ」
「イヤだー!!ボクはお姉さんと遊びたい!大道芸も見たい!お姉さん、ボクと遊びたいよね?」
と突然そんな事を言う。
「えっ!?イヤ………困ったな?陛下が、まだイスレイくんにも御公務があるなら、私は陛下に何も言えないわ。これが昨日みたいなプライベートなら言えたけどね?私が言える事は御公務をしっかりやってね?としか言えないわ………」
「えーっ?そ、そんな…………イヤだー!!お姉さんと遊びたい、公務は詰まらない。お姉さんと一緒に遊ぶの!!」
イスレイくんは泣いてしまった。しかも、私に抱きついて。
「ちょっとイスレイ!聖から離れなさい!」
「嫌だー!お姉さんと遊びたい!遊ぶの!離れない!」
クレアは離そうとするが、対抗して更に抱きついてくる。
「クレア?そうイスレイくんを離そうとしないの。イスレイくん?御公務は王族にとってはとても大切なお仕事よ。御公務が終わったら、遊んであげるからね?」
「本当に?それにボク、あの大道芸人達の芸も観たい!お姉さんの水芸も観たい」
結構欲張りだな?ま、子供はこうだな。
「分かったわ。大道芸人達を宮殿に連れてってあげるわ」
「本当に?お姉さん?約束だよ」
そう言ってイスレイくんは、今度ははしゃぎだした。
「陛下?という訳で、池がある広い庭を貸していただけませんか?」
大道芸人達の了解もなく勝手に予約を入れた。
「ウム、分かった。来たときに案内しょう」
「ありがとうございます」
頭を下げる。
「という事で、お父様のご許可が降りたのでイスレイくんは残りの御公務をしっかりやってね?」
「うん」
元気よく返事をした。
そして、お会計の時に陛下が100万グランのも大金を出した。
私もパパも驚き。
「陛下!いくらなんでもこれは多過ぎです。せいぜい1万グランで足りますよ」
私が言うと。
「イヤ、これで間違っていない。コレは今日の食事代金だ。受け取ってくれ」
「はっ。ありがたく頂戴致します。ありがとうございました」
パパが頭を下げた。
私はこのやり取りを驚いて見ていた。
「ウム、聖殿。夕方頃に来てくれれば良い」
「あっはい。分かりました」
陛下達は馬車に乗り去って行く。
パパがそのお金を私に差し出す
「パパ?」
「陛下はああいうお方だ。一度言ったら変えないお方だ。そして、この金はお前の金だ。陛下は食事代といったが、本当は王子様の家庭教師の代金だ。だが、家庭教師の代金は陛下といえども堂々と渡せないから、食事代として払ったのだ」
「分かったわ。私達も生活費が無いと暮らせないから頂戴しておくわ」
「ああ、それが良い」
「ところで、ママと先生が居なかったけど判る?」
「さあな?2人共に急な仕事でも入ったのだろうな?それか、2人でお茶会は無いか?それならリリカが言っているな?」
「そうだね?ま、ママも先生も強いから、事件に巻き込まれても解決するわ」
「だな?それよりも昼ご飯を食べろ」
「そうだね。食べてから、リクの様子を見て、サトルの所に行くよ」
「ああ」
私は遅い昼ご飯を食べた。リクの様子を見たがリクは寝ていた。看病していたマリアは読書をしていた。あまりやる事が無いので久しぶりに本を片っ端から読破するようだ。
私は久しぶりに着物を着て、大道芸人達の所に行った。
あー意外と長かったです。書いている私は2話で終わる予定でしたが、最終的には5話まで続きました………あー書いていてしんどかった。
この王国の通貨の名称はグランです。これは、重さのグラムと大昔のフランスだったかな?その通貨のフランからも来ています。
そして、後から気づいたのですが、グランパニ公国の名前と丸々と被っていました(笑)




