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カフェに王族がやって来た 1

 カフェをオープンし、客が入って来る。ミカ姉ぇ達が、客を接待する。


 1人の老人の紳士が入店して来た。


 ルエルさんが対応した。


「いらっしゃいませ」


 席に着いた老紳士は店内を見回して。ため息を吐く。


「お客様?どうかなさいましたか?」


「ああ、すまないね。聖ちゃんは今日もいないな?と思ってしまってね。自然とため息が出てしまったのだよ。あの子の笑顔をただ見ていると私は癒される気持ちになるのだよ」


 老紳士は寂しく笑みを浮かべた。


「そうでしたか?今、聖さんは厨房を担当しております。聖さんではないですけど、代わりに私の笑顔はどうですか?」


 ルエルさんは本物のエンジェルスマイルを見せた。


「キミの笑顔も素敵だ。すまないね。こんな老いぼれのワガママを聴いてもらって………注文、良いかな?」


 この老紳士はルエルさんの笑顔はあまり気に入っていないようだったが、ルエルさんを傷付けないように言葉を選んで言った。


「はい。どうぞ」


 そのルエルさんは注文票を持って、私に話してくれた。


「………と、言う訳で、あのお客様は私の笑顔はあまりお気に召さなかったようでした………」


 ルエルさんは少しシュンとしていた。


「そうなのね?ルエルさんの敵討ちで私が持って行った方が良いかしら?まだ注文が少ないしね?」


 そう言って、私は老紳士の元に注文料理を持って行くことにした。


「お待たせ致しました。ご注文の料理です」


 私の登場に老紳士はびっくりしていた。


「確か厨房担当だと聴いていたが………?」


「はい、ですが、お客様のご要望にお答えするべく私が来ました。この料理も私が作りましたので。ごゆっくりと」 


 最後に笑顔を見せた。


「ああ、この笑顔だ。この笑顔を見る為に私はここに来たのだ。ありがとう。そして、この忙しい中、私のワガママを聴いてくれてありがとうよ」


 この老紳士の人生の中で何かがあったのかもしれないが、それを訊くのは従業員としてタブーだ。


「いえ。それでは」


 お辞儀をして、私は厨房へ戻った。それからが忙しくなった。ひっきりなしで、注文票が届く、基本、注文票の順番からやって行くが、作るのが早い料理もあるので、その料理を捌きながら順番通りに作っていった。


 今日は兄さんが本業で出掛けているから、皿洗いをする人がいない。仕方ないので、自動食器洗い機で全てやる。その方が綺麗になるが、兄さんの副業を取ってもいけない(笑)


 午後13時を回って徐々に注文票が減って来たそろそろ昼の部が終わりだ。


 13時30分にパパが準備中の札を出すと、立派な馬車がやって来る。


「この馬車はまさか?」


 その馬車が店の前に止まり、なんと陛下が馬車から顔を出した。


「ウム、丁度良かった。ファルコンよ?店に寄りたいのだが、大丈夫か?」


 と聞いて来た。


 当然、国王陛下の要望に拒否する人間はいない。


 パパに至っては陛下は嘗ての上司で最高権力者。


「はっ!どうぞ、お入り下さい。多少のお客様がおりますが」


 と、絶対に断れなかった。


「そうか。すまないな。今日は新たな美術館の式典に一家全員が呼ばれな。ファルコンの店が近いからこうして寄ったのだ」


 陛下は馬車を降りながら答えた。


「そうでしたか?どうぞこちらへ」


 パパが陛下達を店の中に案内する。


「ウム」

「ファルコン殿、お世話になります」

「お姉さん?いるー?」

「イスレイ?静かにしなさい。まだお客様がいるのから」


 そして、テレサさんとローランさんも居た。


 一家全員で店にやって来たのだった。

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