出所と感動?
私は空間に入る。
牢の中には年老いた3人がいた。25年の歳月が物語っていた。私は牢を開ける
「出なさい!今日は出所の日よ!」
「そうか…………」
「という事は25年が経ったのか………」
「1つ聴いても良いか?」
「なに?」
「メアリーとサトルは結婚したのか?」
やはり、この質問か?
「いいえ、してはいないわよ」
「な、何故だ!」
「絶対にお嬢とヤジリは一緒になっていると………」
「いいから、出なさい。その理由もこの空間から出れば分かる」
「わ、分かった………」
3人は牢から出た。そして、空間からも出る。ここ空間は特殊で、私の後を付いて来た人間達は私と一緒の出口に出る。そうでないと、大道芸人達は、宮殿の裁判所の中に出てしまう。
私と大道芸人達は、リビングに行くと。
「パパ!!」
メアリーが寄ってきた。
「メ、メアリー?何故?25年前の姿に?」
「えっ?パパ達も何時ものパパ達よ?」
メアリーに指摘されて。
「えっ!?」
「あっ!?」
「まさか?」
「俺達は若返ったのか?」
「信じられない………」
3人は戸惑っていた。
「はい、朝食が出来ているから、食べながらでも話せられるでしょう?」
私が言い、朝食となった。
「そうか?全ては魔法でか?それにしてもあの25年が現実世界だと昨日の今日だったとは………」
「しかし、25年での牢生活はきつかった。何もやる事がなく、ただ、出来るとしたら風呂に入るか運動か団長達との話だけだった」
「ああ、しかし、風呂や飯は良かったな?」
「ああ、風呂はずっと綺麗だったし、飯は柔らかいパンだったからな」
「ああ、普通は堅いパンが主だがな。おかずも、普通の牢獄よりも良かったと思う」
「それは良かったよ。こっちは25年間分を用意するのが大変だったからな」
「えっ?まさか?聖様がずっと?」
3人が驚いていた。
「当たり前でしょう?私の空間の牢に閉じ込めて、あとは知らんは無いでしょう?最後まで面倒は見るよ」
「聖様。ありがとうございます。しかし、25年という歳月は本当に永かったこの25年間を牢で無駄に過ごす虚しさを感じた。やっぱり、悪い事はしない方がいいな」
と、ダンさんが悔いるように言う。
「そうだと思うなら、陛下と聖に感謝しろよ?お前達はあり得ない程の恩赦を受けているのだぞ?」
先生が言う。
「はい、私達3人は肝に銘じてこれからを過ごします」
「ああ。それから、貴方達の指名手配書は全て破棄となったからな。もう逃げ回る必要は無いぞ」
「そうですか。ありがとうございます」
「良かったわ。またパパ達と大道芸を続けられるわ」
「ああ。本当に良かった」
「その事で、話がある」
「えっ?」
私が言うと、大道芸人達が驚いた顔をする。
「貴方達3人は私の空間で25年間の禁錮刑を受けたが、本当の償いはこれからだ!貴方達は不幸になった人達よりも多くの人々に大道芸を見せて笑顔にする事。その笑顔を増やすために各地に今まで通りに回って下さい。これが貴方達の本当の刑罰です!」
「はい、分かりました。その刑罰をお受けいたします」
ダンさんは言った。
「パパ?本当にずっと大道芸をやるつもりなの?」
「ああ、この体が動く限りな。これは、メアリー、お前が生まれた時に俺達が決めた事だ」
「そうだったな」
「ああ」
「そうなのね?ヤジリは……………って?ヤジリ?なに泣いているの?」
「イヤ、だってな?ご飯に刺身に味噌汁があるのだぜ。2度と食べることが無いだろうと思っていた食べ物がここにあるから感動してな」
「この食べ物で?」
メアリーは呆れているようだ。
「そうだ。これらは俺達が居た世界の食べ物だった。しかしな、この世界では食べることが出来ないんだ。たとえばこの刺身は魚だ」
「さ、魚!?コレが!?」
凄く驚いている。
「そうだ。生魚を切り身にして食べるんだよ」
サトルはその刺身をわさび醤油を付けて食べる。
「ああ!美味いな」
味噌汁も飲んでいた。
「本当に食べているわ」
「マジか!?」
メアリーや3人の顔が嫌そうな顔になっている。まるでゲテモノを見ているような顔だ。
「本当に美味いぞ。私も食べる前はお前達と同じ表情だったが、実際に食べると美味いぞ。な?」
「うん」
「そうですね」
「妾も刺身を今まで食べる習慣がなかったが、実際に食べると美味い」
「そうなのね?」
4人は納得しつつも刺身は食べることはなかった。食べるのに抵抗があるようだ。




