リクの異変
報告と軽食が終わり、これから、朝練をやろうとした時に。
「お、お姉さま。待って下さい………わ、私、股が、急にもぞもぞして、き、気持ち悪いのですが………」
「はぁ?股がもぞもぞって?ママ!ちょっと」
ママを呼び止める。
「え?どうしたの?」
ママにリクの状態を言う。
「え?それって………まさか!?」
「えっ?一体なに?」
私もリクも頭に【?】マークを浮かべていた。
「2人共知らないのね?まあ、聖は男だったから分からなくても仕方ないわね。今のリクの症状は生理よ」
「「せ、生理!?」」
「あ、あのう?せ、生理とはなんですか?」
私は驚いた。まさか、リクが生理を知らないとは。
「簡単に言えば、赤ちゃんを作る為の準備よ」
「えっ?あ、赤ちゃんですか?わ、私はお姉さまの」
「あのね?生理だけでは、赤ちゃんは出来ないし、私は女性なのよ?女性同士でできっこないでしょう?」
「いえ、お姉さまがお兄さまになれば………」
とバカなこと言う。
「あのね?私が男の変身魔法を使っても出来ないのよ。ただ外見上男に変身しているだけでなのよ」
「そうなのですか?」
「そうだよ。ママ?私、リクを連れて行くから」
「分かったわ。聖?生理の事は解るの?」
「ええ。神の知識のあるよ。だから任せて」
「分かったわ。皆には言っておくわ」
「お願い」
私とリクは空間から部屋に戻った。自分達の部屋に行き、リクを寝間着に着替えさせる。ベッドに寝かせて。
「リク?生理用のパンツを置いておいたよ。気持ち悪くなったら、遠慮しないで着替えなさい。そして、激しい運動は生理が治まるまで禁止よ」
「えっ?禁止ですか?何故ですか?」
「激しい運動は生理にとって良くないのよ。股から血が大量に出てくるからだよ。そして、お風呂もシャワーだけよ。リクの血があるお風呂には誰も入りたくないからね?」
リセットを言えばいいが、風呂でずっと言う訳にはいかない。
「はい………判りました」
私の言うことに従った。
「リク、少し寝なさい。ご飯が出来たら起こしに来るから」
「分かりました」
私は部屋を出た。
リビングには既にマリア達がいた。当たり前か、現実世界では10秒も掛からない。
「お姉ちゃん?リクが生理と、ママから聴いたけど?」
「そうよ。どうやら、初めてのようね?」
「えっ?初めて!?嘘でしょう?私なんか9歳か10歳位だったわ」
マリアは早いな?
「ま、リクは、幼い頃から激しい戦闘訓練をしていて生理が全く来なかったのよ。私が居た世界の一流スポーツ選手の中にも居たよ。現役中は生理が止まっていたが、現役を辞めた途端にいきなり生理が来たと証言しているよ。だから、リクは激しい戦闘訓練を辞めた途端に急に来たのよ」
「なるほどね?今の朝練はリクにとってはそれ程でもなかったのね?」
マリアが納得していた。
「そういうことよ。朝飯を作るから」
私はキッチンに向かい朝飯を作った。
しばらくすると、サトルとメアリーが来た。
「おはよう。皆、早いな?」
「本当だわ」
「そうでもないさ。皆、起床は6時30分だよ」
「そうなのか?姉貴?俺も手伝おうか?」
「イヤ、良い。私の料理をお前が評価してくれ。どれだけ、がぶり姉ぇに近づいているかをな?」
「なるほど、姉貴の料理を俺が評価するのか?まるで自分で自分を評価するようだな?」
「そういうことだ。そういうことは他には出来ないだろうよ」
「そうだな」
「結局はガブリエルですか?同じ姉としては嫉妬してしまいますよ?」
「ごめんミカ姉ぇ。でもさ、料理はがぶり姉ぇでしょう?ミカ姉ぇは作れないって言っていたでしょう?」
「うっ!!た、確かにそうですが………私だって聖さんの事を」
「分かっているよ。ミカ姉ぇはミカ姉ぇが出来る事を私達に教えてくれれば良いのよ」
「そうですが………」
「全く、可愛い姉だわ」
「そうだね?まるで、お姉ちゃんの方がお姉ちゃんだわ」
「そうじゃのう?ミカエル殿よ。そんなに焦ることはなかろう。おぬしは、聖達の姉になって日が浅いのじゃ。徐々にやって行けば良いのじゃよ。見てみ。聖なんか、もう既に母親のスキルを得とくしておるからのう」
「ちょっと、ヒルドさん?なんで私が母親のスキルなのよ?私は昨日、サトルに私の中の男の部分をあげたばかりだよ?」
料理を作りながら抗議する。
「なにを言っておる?おぬしは男の部分があっても、妾達に出会った時には既に母親のスキルがあったわい」
「そうよね?お姉ちゃんは私達の面倒を見てくれているからね。私も時々、お姉ちゃんがママに見えてくるもん」
「姉貴?諦めろよ。俺達は、前世でも父親役をやっていただろう?その結果だよ」
「うっ」
マリアやサトルに言われて今度は私が絶句する。
「分かりました。私の負けですよ。サトルとメアリー?朝飯の準備にはまだ掛かるから朝風呂でも入ってきなよ。どうせ、1秒もかからないしな」
「そうだな?そうしようかな?メアリーはどうする?」
「私は昨日教えてもらったばかりだけど1人ではまだ自信がないわ。汚すかもしれないわ」
と不安になっていた。
「大丈夫だよ。汚れても、リセットと言えば良いよ?」
マリアが言うが。
「私、魔力がないのよ?それでも大丈夫なのよ?」
「えっ?あっ!?お姉ちゃん?」
「ああ、大丈夫だよ。汚しても言ってくれれば良いよ。後で、やっておくよ。安心して入っておいでよ」
「分かったわ。そのお言葉に甘えるわ」
サトルとメアリーは空間に入って直ぐに出てきた。現実世界だと本当に入って来たのか?となる。
「あーさっぱりしたぜ。姉貴ありがとうよ」
「ああ。別に良い、お前達も頻繁に使うのだろう?」
「ああ、そうだな。どこからでもこの空間に入れるのなら、今後も利用したいな」
サトルがそう言ったが、元からその魂胆だろう?それを言うとぐだぐだになるから言わないが。
朝食が出来た。
「出来上がりだ」
魔法を使って、テーブルとイスを3つ増やし、皿を3人分用意した。
「えっ?3人分って?まさか?パパ達が!?」
「ええ、出所よ。呼びに行くから待ちなさい」
そう言って、私達の部屋に行くと、リクはスヤスヤと寝ていた。
「リク、リク。起きなさい」
「あっ!?お姉さま………」
「ご飯が出来たわ。食べられる?」
「分かりませんがリビングには行きます」
「分かったわ。でも、無理はしないでね?私は大道芸人達を呼びに行くわ」
「分かりました」
私は空間に入った。




