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裁判 2

 入り口でしばらく待っていると、陛下が出て来た。


「ん?聖殿にクレア?それに帝が3人もいるとは?何事だ?」


 陛下がメンバーを見て驚いている。


「お父様、申し訳ございません。もう一度裁判を行って頂きたいのですが?」


「ウム、訳ありのようだな?分かった。戻って、話を聞こうか」


 陛下と私達は裁判所の施設内に戻り、控え室でこれまでの事情を話した。


「そうか………神聖王様と王妃様と聖殿のお力で助かったのか………確かに、余が裁判を行わないと成らぬ案件だな。して、力帝は?」


「はい、只今遣いの者を寄越しております。転移魔法を使えますので、直ぐに連れて来るかと」


「そうか。分かった。力帝が来たら直ぐに裁判を始める!!済まぬが全員席を外してくれ、余と聖殿とで打ち合わせをしなければならぬでな」


「分かりましたわ。では、こちらに」


 クレアが案内をする。


「聖殿?あの被告人達をどうするおつもりか?普通に牢獄に送るつもりか?イヤ、そうではなかろう?」


「そうですね。あの人達は私の空間で刑期をさせようかと思いますよ。もちろん、その刑期は陛下がお決めになって下さい」


「聖殿の空間でか?何かしらの仕掛けがあるのだな?」


「はい、私の空間は時間を早める事が出来ますが、空間に居る人間は、説明しなければそれが分かりません。現実にその時間を過ごしているのです。そして、大道芸人達は空間で老いも経験して貰いますが、空間から帰ってら元の姿に戻ります。まあ、私の空間牢獄は実際の牢獄よりもキツいと思いますよ。なんて言っても、たった3人しかいませんからね」


 看守も居ない。牢からも出さない。禁固刑に等しい。


「そうか?だが、食事や病気はどうする?」


「食事は私が魔法で自動的に出しますよ。それに病気はしないように魔法をかけます。トイレやお風呂、寝る布団などの日用品もしっかりと用意していますから大丈夫ですよ。ただ、大道芸人達が老衰で死なない程度の刑期にして下さい」


「分かったが、しかし、あの被告人達の刑期は最低でも10年以上の強制労働の刑になる。おそらく普通の裁判では死ぬまで出て来られないだろうな」


「終身刑で強制労働ですか?」


「ああ、裁判所は帝が関わった大事件とみなし、それに18年間も逃走していたのも大きなマイナス要因だ。たとえ自分の子供を育てる為と言っても、それは全くの理由にはならぬ。力帝の暴力の件も裁判の吟味の対象にはならないだろう。その理由は被告人達は生きているからな」


「裁判所側は虚偽扱いですか?」


「そうだ。それだけ、帝の利権が大きいのだ」


「なるほど、ここに連れて来て正解でした」


「私は正直困るのが本音だ。本来、あの被告人達は神聖王様達が居なかったら、全員死亡になっている可能性が高かったからな。私達の方は力帝の処分をするだけだったが、事実、あの者達は神聖王様達や聖殿のおかげで命を救われたという真実だ。ならばあの者達は、懲役刑よりもまだまだ沢山の人々に貢献しないといけないな!」


「そうですね。沢山の人々に楽しい大道芸を見せないといけません。彼らにとっては、これこそが本当の償いだと思いますよ」


「そうだな」


 そして、打ち合わせという話が終わり、全員が裁判をやる部屋へと向かう。


 雑魚帝のオブジェも着いたようだ。


 これから裁判が始まる。

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