裁判 1
私達は控え室に行き、大道芸人達とパパとママ、ステラ先生を連れて、陛下に会いに行く。
パパ達は帝の格好をしている。
私達が来る前に準備をしていた。
ミカ姉ぇ達やマリアとリクは控え室で待っている。5人が来ても仕方ない。
「おそらく、お父様は、宮殿内の裁判所の施設に居ます」
クレアが案内する。
「ここにも裁判が出来るのか?」
サトルが訊く。
「そうですよ。宮殿内で犯罪を犯す貴族達がいますから、陛下が裁判長となり、裁くのですよ」
「そうなのか?俺はてっきり、専用の裁判所でやるかと思っていた」
「そうなると、裁判にかなりの時間がかかりますよ?宮殿内の裁判所は貴族のみが裁かれる場所なのですよ。貴方方は帝や神聖王様達が絡んでおりますので特別ですよ。力帝も、今、遣いの者達を寄越しておりますから」
「そうか?また脳筋筋肉ダルマのオブジェが来るのか?」
「プッ!な、なんですか?その脳筋筋肉ダルマのオブジェって?」
クレアのツボにハマったみたいだ。
「ああ、その力帝って奴の事だよ。姉貴は雑魚帝と言っていたし、父さんは木偶の坊、母さんは人間生ゴミクズ、王子様が、口臭と体臭が臭いから嫌いと言っていたな?」
「お、親子揃って酷い言い草ですね?しかも、イスレイまでも便乗するなんて………」
「ま、実際、口臭や汗臭そうなそんな奴だったからな?正式な名前なんて知らないし、その時はそんな状況ではなかった」
3人が死に体状態だったからな。雑魚帝の正式な名前なんて、どうでも良かった。
「確かにそうかもしれませんね?」
「俺は元々力帝は気に入らん!奴が帝に入るのを反対したぐらいだ」
パパが怒気を含んで言う。
「そうね?力帝は顔を合わせるといつも睨んでいたわね?」
「ああ、力帝と言っているが、系統は俺の拳帝と被る。定例会で会う時はいつも殺気を飛ばしていたが、クレア王女様で加わった頃からは、しなくなったが、それでもずっと仮面越しから俺を睨んでいたな」
パパは雑魚帝の視線を感じていたのだろう。
「そうだったのですか?」
クレアが答えた。
「そうですよ。私達は最古参の帝ですから、新人の帝達をいちいち相手にしません。まあ、その当時の夫が目が見えなくても、力帝は夫に戦いを挑んでも敵わないと思って、殺気や睨みつけていただけで精一杯だったのでしょうね?それにもたもたしていたら、クレア王女様が加わったので余計に手が出なかったのでしょう」
「なるほど。確かにわたくしが居て、帝同士の無意味な争いをした場合は、最初に煽ったり、仕掛けた方をわたくしの権限で罰しますね。殺気を飛ばすのも論外ですよ」
「そうですね?クレア王女様が加わった事で、定例会での帝達の揉め事が無くなりましたね?」
「王家の力が健在だからこそだな。ではなかったら、帝の所に王女様を派遣しないぞ」
先生が言った。
「そうですね?着きましたよ。ここが宮殿内の裁判所です」
入り口には兵士たちが2人立っていた。兵士が居るということは陛下も居るということになる。
「コレはクレア王女様に帝の方々までコレは一体?」
「王女様や帝の方々がなぜこの様な場所に?」
兵士たちが、緊張していた。分からないでもないな?クレアにパパ達、帝3人だからな。兵士たちにとってこんな大物達が纏めてここに来るなんて思ってもみないだろうな?
「はい、詳しい事は貴方方に話せれませんが、この犯罪者の3人はここでしか裁判が出来ないのです。お父様はまだ中に?」
「はっ!国王陛下はまだお見えにならないようです。まだ、裁判中かと」
「そうですか?では、ここで待っていましょうか、裁判中は如何なる人でも建物内には入ってはいけない決まりがありますから」
「そうなの?」
「ええ」
そうなら、仕方ない。私達はしばらく待つ事になった。




