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疑惑 1

 今回はいつもより話が長めです。キリの良い所まで書いたので2,500文字を超えています。

「先生?どうした?」


 俺が声をかけた。


「すまんが、私もお前達に同行する。確かめたい事があるんだ」


「なに!?どういう事だ?」


「ああ、もう18年前にもなるのだがな。この王都に4人の宝石専門の盗賊が居たんだよ。その4人の犯行は鮮やかだった。人を傷付けなく犯行に及んでいたが、ある日を境にぴったりと4人の盗賊が消えたんだ。私達は王都中をくまなく捜したが見つからなかった」


「それが俺の大道芸人一座とどういう関係があるんだ?」


「その4人の盗賊達は普段は大道芸人に扮して居たんだよ。その後の私達の調査で分かっているんだ。そして、お前の所の大道芸人一座も4人だ。確かめずにはいられない」


「しかし、メアリーの年齢は18と言っていたぞ…………そんな偶然があるのか?それにあんたは学校の教師なんだろう?何故警察じみた事をやっているんだ?」


「警察?なんだそれは?」


「警察は俺達が住んでいた所の犯罪者を捕まえる組織ですよ。で、先生も俺もギルドに所属しているんだ。そして、ギルドは犯罪者を捕まえる権限を持っているバウンティーハンターなんだ。先生?その盗賊の似顔絵はあるの?」


「ああ、ヤツらの最後の仕事で、分かったんだよ。その目撃者の証言を元に似顔絵を描いたんだ。確か、まだ、似顔絵がギルドに保管してあるから持ってくる」


 先生は転移魔法でギルドに飛んだ。


「その間に俺は宮殿の結界を直して来る。まさか、魔族が入り込むとはな。俺の結界も弱っていたのだな?ならば、顔を出した時に修復するべきだった」


「そうですわね」


「では行ってくる」


 父さんが転移魔法で宮殿に行った。


「えっ?宮殿に結界を張っていたの?」


「そうよ。あそこには大事なモノがあるのよ。で、父さんの結界で守られていたんだけどね。まあ、結界を張っていたのが1,000年前の話だからね?弱っていても仕方ない話だわ」


「1,000年前の結界かよ?」


「そこまで保つ結界はすごいな?」


「大事なモノってなに?ボクも見たことがあるの?ないなら、お姉さんと一緒に探しに行く」


「それはダメなのよ」


 母さんがイスレイくんに注意をする。


「どうしてなの?」


「その大事なモノは、貴方達の家のお宝のモノなのよ。貴方達の王族は代々それを守って来ている一族なのよ。だけど、それをけして見たり触れてはいけないモノなの」


「そうなの?」


「そんなモノを宝にしているって?」


「それが、父さんとの約束なのよ。だからこそ、この王国の王族として長年に渡り君臨しているのよ」


「そうなのか?じゃあ?結構深い繋がりがあるという事か?」


「そうね?私達とここの王族は深い繋がりがあるわ。だからこそ、宮殿全体に結界を張っているのよ。悪魔・魔族達から王族の人達も護るためにね」


「そうだったのか?イスレイくん?聞いての通りだよ。探しに行かないでね?もし、探しに行ってしまうと、お父様、お母様、お姉様達が悲しむわ。勿論、私もね」


「そうなの?ボクが探しに行くとお父様達が悲しむの?お姉さんも?」


「そうだよ。皆が心配して悲しむわ」


「分かった。ボク、探しに行かない。お父様達が悲しむのは見たくない。お姉さんが悲しむのはもっと嫌」


「そうだよ。良い子だ」


 頭を撫でる。


「うん」


「この子は聖に懐いているわね?」


「まあね。イスレイくんが苦しい時に遊んであげたから、懐いていたのよ」


「だって、お姉さんは優しいし、遊んでくれるし、一緒にいたいもん。それにお姉さんが作ったくれたご飯が美味しいもん。ボク、お姉さんが大好き」


 そう言って、俺の腰にしがみつく。


「そうなのね。聖を大好きで信頼しているのね?」


「うん」


 元気いっぱいに返事をした。


 そして、父さんが戻って来た。


「イヤー、結構、結界が弱っていたな。そして、人間が発していた邪気もあったから祓って来た」


「じゃあ、宮殿は大丈夫なのか?」


「ああ、大物の魔族達が束になってもびくともしない結界を張ってきたぞ。そして、結界破りも出来ないように複雑な術式も使ったよ」


「そうか?その結界を通れるのは人間だけか?バーストさんは通れないのか?」


「イヤ、通れるようにしたよ。通れないのは悪魔や魔族。それに堕天使だけだ。宮殿に仕えている者は通れるよ」


「そうか?でさ、コイツの正式な名前はどうする?2人共、聖、ではややこしいでしょう?」


「そうね?」


「確かにな?」


 俺がそう提案すると、親が納得した。


「俺の名前を変えるのかよ?まあ、確かに俺達の名前が聖では不便だが、アイツの方を変えた方が良いんじゃないのか?もっと女らしい名前にさ」


 ヒジリも結構女らしい名前だがな?ま、慣れ親しんだ名前を変えるのは抵抗はあるのは解るが、転生をしたんだ。お前は名前を変えろ、俺は姿形を変えているのだからな。


「残念だが、聖はここの学園に通っている。既に名前を認識されている。お前の名前を変えるしかないが、ただ呼び方を変えるだけだ」


「呼び方を変える?」


「ああ、サトルだ」


 俺が神として使った名前だ。


「サトル?」


「漢字は同じだ。その呼び方の方より男らしいだろう?」


「そうね?貴方は名前を変えなさい。前世の姿とはいえ転生をして生まれ替わったのだからね?それにあなた達はお互いに名前を呼び合うのを躊躇っているでしょう?」


「確かに」

「ああ」


 アイツやコイツだったからな。


「ならサトルにしなさい」


「分かった。でさ?どっちが上になるんだ?」


「それは私の方だろう?」


「そうだな」

「そうね」


 親も頷いた。


「………分かったよ。じゃあ姉貴と呼ぶからな」


「姉貴って?それは更夜が舞を呼ぶ時の呼び方だろう?」


「良いだろうが!俺がお前の事をお姉ぇと恥ずかしくて呼べる訳がないだろうが」


「それはそうだな?」


「なら決まりだ!姉貴と呼ぶ」


 呼び方の称号(?)が増えた。


「私は普通にサトルと呼ぶ」


「ああそれで良い」


 そこにタイミングが良く先生が戻って来た。

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