コレを罰としてやってもらいます
「聖?本当にお姉様達に罰を?」
心配するクレア。
「私、聖の名において命じます!テレサ並びにローラン!貴方方は陛下達の真理を知らずに、勝手に出奔は言語道断!よってその罰として火の貴族の当主代理人に命じます!以上!!」
「えっ?」
「ど、どういう?」
2人が困惑気味だ。
「なるほどね?」
クレアは理解し納得顔で頷いた。
「私は陛下のご命令で近々火貴族の当主になりますが、私自身、学園に通う生徒です。そして、私は火貴族の領の政治や経済も知らないのです。そんな私を火の領に住む貴族や領民達が心の底から歓迎をする筈はありません。ですから、陛下に代理人を立てたいと進言しました」
「その火の当主の代理人をわたくし達が?」
「そうです。貴女は王女様ですからね。そして、私の代理人に成る条件としては、私や陛下達からの信頼がある人間です。その条件に当てはまる人物は、テレサさん、貴女しかいませんので、陛下は、私からの頼みではなく、罰としたのですよ」
「そういう事だ!この罰は受けてもらうぞ。なんと言っても神聖王様のご令嬢聖様のご命令だ!!」
「ちょっと陛下!?その言い方は大袈裟ですが?」
「聖?これは真実でしょう?それに貴女だって、お父様の真意を汲み取って、尚且つ、お姉様なら代理人として上手く治めてくれると思ったからそう言ったのでしょう?」
「まあね?それにテレサさんはこの王国の女王様に成る気は今でもないのでしょう?」
「はい。このような事態を引き起こしておりますし、元々、わたくしは成れる器でもありません」
「お姉様、そんな事はありませんよ」
「いいえ、クレア。わたくしには無理です。この王国の王家の長女として生まれましたが、わたくしには王に成る器ではないと気付いてしまったのです。わたくしは……これは何を言ってもただの言い訳にしかなりませんわね?聖様、代理人の件、引き受けされていただきますわ」
「はい。お願いしますよ」
「はい」
テレサさんが答えた。
「と言っても、聖殿の就任式はまだ先の話だ。それに火の領の新たな屋敷も建てていないからな。それらが出来上がってからだ。その間は、ここでゆっくりとローランと暮らすが良い。それに、私達の初孫が産まれるのを楽しみにしているぞ?」
「そうですわね?」
「ありがとうございます」
2人は頭を下げた。
「お2人はまだ結婚式は挙げていないのですよね?なら、早い内に挙げたらどうですか?」
俺が提案した。
「そうですわね?子供が産まれる前に挙げてた方が良いですわね?」
「そうだな。早い内に式を挙げられように手配をしよう」
あれよあれよの内に決まる。
そして。
「さて、陛下にご報告がいくつかあります」
「ウム」
「この度、私はアトランティス村の族長に就任致しました事をご報告いたします」
「えっ?聖が族長?」
「ど、どういう事だ?」
クレアと陛下が驚いていた。
「はい。アトランティス村の人々は新しい族長を勝手に私にしました。その理由が皆で村を盛り上げて行きたいとの事です。族長は象徴扱いになり、神聖王の娘である私を全会一致で選出したのですよ。私に迷惑をかけないようにと」
「なるほど。では?仮に反乱を起こした場合は?」
「私の責任ですね。そして、村の人々には滅びていただきますし、私も処刑されても文句は言いませんので、そうならないようにしっかりと村の管理をいたしますよ。まあ、村の人々も王国に対して反乱を起こす気はないでしょうね」
陛下を安心させる為に俺の命を差し出した。
「だろうな。聖殿を族長として祀り上げた時点で、反乱を起こす気はない。起こしたら神聖王様にも逆らう事になる」
「そういう事です。次のご報告ですが、イスレイくん?悪いけど、降りてくれる。そして、違う部屋に行っててくれる?」
「なんで?お姉さんと居たい」
「今から話すのはイスレイくんような子供が聞いたらいけない内容なのよ。だから、別の部屋に移動して欲しいのよ」
この話は子供には刺激が強過ぎるからな。




