再会 1
村に戻った俺達は、ラキさんと夫妻に組織は壊滅したと伝えた。
夫婦はホッとしている。どうして、奴らに狙われてしまった理由を話してくれた。
簡単に言えば自分達が逃亡者だからとの理由みたいだった。
奴らは行方不明者を本当の行方不明者にして、その行方不明者たちを悪魔儀式の生贄としていた。そのため奴らはそんな人間達を見つけるのが上手いらしい。
人間観察の能力が高い奴らだな?それを別な事に活かせれば良かったのにな?
でも、ミカ姉ぇの説明によれば、悪魔に願いをしたいなら、生贄は自分達の身内ではないといけないらしいが、その悪魔を信仰していた場合は、どんな人間でも生贄として捧げれば良いみたいだ。
おそらく、奴らの目的は後者に当たる。
もうそれも過ぎ去ったし、夫婦を宮殿まで送って行けば良い。
ラキさんに別れの挨拶して、夫婦をエリサの部屋へと連れて行った。
「ここは?」
「ここはエリサの部屋です。今、エリサとイスレイくんがいますよ」
「まあ?イスレイも居るの?」
「はい。弟のような存在ですよ」
ピンポーン。と、玄関のチャイムを鳴らすと、バーストが出て来た。
「あっ、聖様!お戻りになられたのですね」
「ええ。そして」
視線を後ろに向ける。バーストさんもつられて見た。
「えっ?あっ!テ、テレサ様!?聖様が見つけて?」
「偶然にね?まあ、見つかって良かったよ。で?イスレイくん目覚めたの?」
「は、はい。ですが、聖様が居ないと分かるとお泣きになりまして、今、お嬢様があやしておられます」
凄い困り顔をしていた。
「そう、分かった。行きましょう」
「はい、ご案内いたします」
ミカ姉ぇと夫妻は客間に残して、バーストさんに案内してもらうと、だんだんと泣き声が聞こえてきている。そして、エリサがあやす声も。
「うええええええーーーーーーーん!!!!お姉さんどこーーーーー」
「イスレイ泣かないで、聖は帰ってくるから。聖!早く帰ってきてよ!私の手ではおえないわ!!」
と、エリサも泣く寸前だ。
「はい、お待たせ」
「聖!」
「お姉さん!」
エリサは俺の姿を見て安堵し、イスレイくんは泣くのをぴたりと止めて俺の方に来た。
そんなイスレイくんを抱いて。
「イスレイくん?泣いていたでしょう?」
と言うと。
「うんん、ボク、泣いていない」
と答えた。
エリサが。
「嘘をおっしゃい!起きて、聖がいないと分かったらすぐに泣いていたでしょうが!」
「ほら?お姉様がそう言っているぞ?」
「うんん、ボク、泣いていない。信じて」
と、イスレイくんは意地を張っていたが。
「おめめが真っ赤っかだぞ」
そう指摘すると、イスレイくんは俺に見られないように顔を伏せた。
「…………」
「ごめんね?寂しかったのでしょう?」
「うん。起きたら、お姉さんが居なかったから………」
「うん、分かっているよ」
背中をポンポンと叩きよしよしする。
「聖?アトランティスの村はどうだったの?」
「ああ、村は至って平和だったよ。そして、エリサ達に会わせたい人物が居るんだ」
「えっ?会わせたい人物?誰なの?」
「それは部屋に行ってからのお楽しみだよ。ついて来て」
俺はエリサ達を客間に案内して、ノックをして扉を開ける。
「えっ?う、ウソ!?お、お姉様!?」
「久しぶりね?クレア。また一段と綺麗になったわね?」
「お姉様?お姉様ー!!」
エリサはテレサさんに抱きついた感動の姉妹の再会だ。
「お姉様?お腹が?」
「ええ、妊娠しているわ」
「大丈夫なのですか?」
「ええ、安定期に入っているわ」
「そうですか。お姉様おめでとうございます」
「ありがとう。クレア」
しばらく、姉妹で話をしていた。




