探し人は忘れた頃に 2
「こちらになります」
案内された家だが………。
「ラキさん?これが私達が住む予定の家なの?」
「はい、そうですが?なにか不都合でも?」
「うん、言っちゃ悪いが、この家は欠陥の家だわ」
「えっ!?け、欠陥の家?」
「ええ、見た目は立派な家だけどね?家全体が歪んでいるのよ。まあ、それでも、数年は住めない事はないけどさ。でも、いつ家が崩れ落ちるかと不安になるよ」
鑑定すると、残念ながらそういう結果が出た。
「そうなのですか!?知りませんでした………はっ!で、では、この家に住んでいる方達に」
「そうね?さっさと避難させた方が良いよ。それと、家具があれば運び出して、この家は解体するよ」
「わ、判りました。直ちに」
ラキさんは家の住人に声をかける。
「ローランさん!ローランさん!ラキです!いますか?」
それと同時にドアもドンドンと叩いている。
『はい。今出ます』
出て来たのは、若い男性で体格は筋肉質でがっしりしていた。
「一体、どうしたのです?」
「はい、この家が欠陥の家と判りましたので、直ちに奥様共々出てください。新たな家を用意しますので」
「えっ?い、イヤ、急に言われても………」
男性は困惑している。当たり前だな?急にそんな事を言われたら、誰でも困惑する。しかしね。
「早く出なさい。命が欲しくないの?」
俺が促す。
「あ、貴女は?」
「こちらの方々は聖様とミカエル様です。そして、聖様は私達の族長になられます」
「ぞ、族長!?こんな若い女性が?」
「そうです。その族長からのご命令ですから、さっさとこの家から出て下さい」
「わ、判りました。妻を呼んできます」
しばらく経って、2人が出て来た。女性の方は大きなお腹をしているやはり妊娠をしているのか。
そして、その女性の顔を見て驚く。
「エ、エリサ?」
「確かにエリサさんですね」
そう、女性の顔はエリサとそっくりな顔をしていた。
そのつぶやきに驚いた夫婦。
「あ、あなた!!」
「ああ!!行こう!!」
夫婦が逃げ出そうとしていた。やはり、この夫婦は陛下から依頼されていたエリサのお姉様か。
「おっと、私達からは逃げられないよ。見つけたよエリサのお姉様」
「えっ?お知り合いですか?」
「いいえ、国王陛下からこの人達を捜してくれと依頼を受けたのよ。でも、たまたま、その探し人がここに居ただけよ」
「そうですか?あなた達は王族に繋がる方達だったのですか?」
「違うわ!!私達はもうこの王国の王家とは何も関わりはないわ!!」
「そうだ!!俺達は何も関わりない!!人違いだ!!」
2人は懸命に否定するが。
「ハァー。そうは言ってもね?陛下達はあなた達を心配していますよ?」
「う、ウソよ。お父様とお母様は私とこの人を別れさせる為にこの人に酷い言葉を言ったのよ?」
「それはそうでしょう?どうあろうと大事な娘である貴女と生涯一緒になるのですからね?陛下達も彼が貴女に対してどの位真剣に大事に思ってくれているどうなのかを試したくなりますよ。だからこそ、敢えて嫌みな質問や意地悪な言葉を投げかけたのですよ。陛下達の本心はあなた達の事をお認めになっていますよ?だからこそ、私にも極秘に依頼をして来たのですよ」
「そんな………では、本当にお父様達は敢えて?」
「そのようですよ?まさか、貴女が本気に怒ってしまって、出て行くとは思ってもいなかったようですがね?まあ、その辺りはエリサとそっくりかな?」
「貴女は一体?」
「エリサの友達の聖ですよ。まあ、ここの族長でもありますがね?」
「………」
「とにかく、私を信頼して下さい。けして悪いようにはしませんので」
「判りました」
「ラキさん?この家の家具類を運び出しますよ」
「はい!判りました」
俺とラキさんで家具類と今の家の状態を見る。ミカ姉ぇは夫婦が万が一逃げないようにの見張りだ。
「あっ!柱が割れているわ。前見たときはなかったのに?ここの柱にも………やはり、この家は?」
「そうだね。解体しないと危険だよ」
「そうですよね?判りました」
「家具類は私のボックスに入れておくよ」
「はい!」
全てを回収して家から出ると、すぐさま、家を解体した。あっという間に家はなくなる。
「す、凄い………貴女は一体?」
「私は「見つけたぞ!生け贄共!!」
俺の言葉をさい切って変な事を言う人物。
誰だ?邪魔をするヤツは?




