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学園手続き2

 コンコンコンとジェーン先生がノックをした。


 扉越しから「開いておるよ」と、老人男性の声が聞こえる。学園長は老人か。


「失礼します学園長。転入生が来ました。どうぞ、お入り下さい。では失礼します。聖さん、終わりましたら、まだご案内致しますので」


「はい、ありがとうございます」


 ジェーン先生は出て行った。


 そして、


「良く来た。ワシの名はベルモット・オルティスじゃ。この学園の学園長をしておる爺じゃよ。宜しくのう」


 ベルモットと名乗る学園長は典型的な老人で真っ白な長い顎髭を生やしていた。


「聖 山瀬です。宜しくお願いします」


 俺は挨拶をした。


「ウム、では、始めるかのう。資料を読むと、おぬしはマーカー家の一員じゃな?」


「はい、孤児である私を養子にしてくれました」


「なるほどのう。ファルコンとリリカは息災じゃな?」


「はい、元気です。しかし、学園長は養父母を知っているのですね?」


「ウム、2人ともワシの教え子じゃよ」


「そうでしたか」


 ということは、ジェーン先生もか。話は俺のクラスに。


「おぬしのクラスは高等部の1年A組じゃ。学園が始まる前日までには寮の部屋に居るようにのう。当日は寮の食堂で待っておれば、担任教師が来るでのう」


「(マリアと同じクラスで良かったぜ)分かりました。私の部屋を知りたいのですが?」


「それはジェーンが知っておるよ。案内をさせよう」


「分かりました。失礼致しました」


 俺は学園長室を退室した。出ると、ジェーン先生が待っててくれた。


「待っててくれたのですか?」


「はい」


「ありがとうございます」


「いいえ、これもお仕事ですので、では、これから貴女が住む寮の部屋に案内します」


「はい」


 俺は寮に案内をしてくれた。寮は、初等部の男女寮から大学部の男女の寮と各部に別れて、建てられていた。更に貴族専用の男女の寮と王族の男女寮もあるが、王族寮は現在どちらとも使われていないという。


 俺は高等部の一般女子寮と思ったら。


「ここの寮は特別室の寮部屋になります。学園長が聖さんの部屋にと。どうぞ、中へ」


「はあ?」


 特別室に入ると広い廊下が一直線にあり、両サイドには3ずつドアがあった。そして、突き当たりにもドアがある。


 ジェーン先生はそのうちの一部屋に入る。


 部屋の中も広い。一部屋で4人が余裕で寝泊まりが出来る部屋だった。


「この部屋が6つありますから」


「はあ?ちょ、ちょっと!お、わ、私1人ですが?こんな部屋は使い切れませんが?たとえマリアと一緒でも」


「ですよね?私もそう思いますよ。リリカも聖さんの部屋は一般の寮部屋と希望していましたからね?それにこの部屋の家賃も一般寮よりも高いですからね」


「えっ?家賃を取るの?」


 学費も当然取られるからな。家賃はないと思っていたが、違うのか。


「はい、学園経営も大変ですからね。まあ、一般寮の家賃はそんなに高くはないですよ?貧困層もいますしね。取るなら王侯貴族と大富豪や大商人の人達ですね。彼らは貴族専用の寮で暮らしていますからね」


「でも、何故この部屋に?」


「学園長からのお達しですよ。聖さんの部屋は特別室にと、家賃は一般寮の同じで結構ですよ。聖さん自身が希望していなかった部屋ですからね。それにもうここと決まっていますのでね?却下は出来ません」


 そう言われた。


「なら、マリアもこの部屋に呼びたいですが?いくらなんでも、1人きりは寂しすぎますよ?」


「それは、私では判断は出来ませんね。寮部屋は1人一部屋と決まっています。この特別室も同じですから………一緒に暮らすのなら学園長の許可が要ります。それに特別室は、本当に特別でして、ここに来る家族以外の人達には学園長や寮長の許可が要りますし、その理由も書かないといけません」


「そんなに面倒くさい部屋なんですか?」


「はい、たまに色んな理由でこの部屋を希望する生徒がいますし、今回のように学園長が特別室を使わせるようにとの指示もありますよ。まだこの部屋の説明しなければいけませんので、行きますよ」


 その部屋を出て、突き当たりに行った。


「この部屋はリビングとなっていますが、その前にお風呂場と御手洗い場の説明をしますね」


 リビングの扉を開けると一番広い部屋が。その奥の方に扉がある。ジェーン先生はその扉を開けるとトイレがあり、トイレは全部で4つのドアがあった。そのうちの一つを開いた。


「見ての通りです。4つありますので、余裕でしょう。ま、使用人達も使う想定で作られていますので。次にお風呂場です」


 お風呂場は、トイレとは違う場所にあった。広いお風呂場だった。


「ここの特別室のお風呂場は一般寮のお風呂場よりも広いです。見て分かるように、浴槽も2人でも余裕で入れますよ」


「なるほど(ま、俺の空間の風呂場の方が断然広いな。フッ勝ったな)」


 意味不明のガッツポーズをする。


「? 続いて、リビングの方の説明です。行きますよ」


 俺の意味不明ガッツポーズを無視してジェーン先生はリビングに行く。


「リビングは全員が集まる場所なので、一番広い部屋となっていますよ。勿論、食事も作れますから、自炊しても構いませんよ」


「おおっ!食事が作れるのか、あっ!しっかりとキッチンが整っているし、火を扱う所も十分使える。これなら、本格的な料理が出来るぞ」


 もうキッチンを見て興奮状態だ!


「聖さんは料理を作るのですね?将来は料理人ですか?」


「んー?まだ決めていませんよ。自分自身、何をやりたいかは、この学園生活で決めても良いと思っていますよ」


「そうですね?この学園生活で決めても良いですね?では学園長室に戻りましょうか?」


「はい」


 俺達は特別室を出て、学園長室に戻った。

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